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おばけちゃんファンクラブ ~発足編

世間が第一次オカルトブームだった頃、
私は小学3年生だった。

小学3年生と言えば、
「ギャングエイジ」と呼ばれる時期で
児童発達に表れる特徴のひとつとされ、
児童が教師や保護者よりも友達を大切に
し始める時期だといわれている。

いわゆる「徒党」を組んで
つまりは「グループ」を作って
教師から集団の形で自立し、
仲間だけで遊んだり、行動したりする
「群れ遊び」の時期だ。

(ちなみに、現代ではこのギャングエイジは喪失しているらしい。)

学校では、クラスの中で
気の合う仲間同士、ちらほらとグループができつつあった。

私ははじめ、女の子だけのグループ
「お料理クラブ」に所属していた。

友達の家で、お菓子や簡単なお料理を作る
その名の通りの女子っぽいグループに参加していた。

実際にメンバーのお家で
クッキーを焼いたり、
グループの証に
おそろいでスヌーピーのキーホルダーを
ランドセルにつけたりして
それなりに楽しんではいた。

が、しかし、
あるグループができかけていて
そちらが気になって気になってしょうがなかった。

それは、まだ
はっきりしたグループ名は
決まっていないようだったが、
明らかに「オカルト」つながりで集まったグループのようだった。

その主要メンバーは幼稚園の頃から知っている男の子だった。      家もすぐ近所だった。
その子たちがオカルト話をしている声が聞こえてくると
入りたくて入りたくてたまらなかった。
ああ、このオカルト談義に交わりたい。
「あなたの知らない世界」で、培ったオカルト知識を披露したい。

だがしかし、私はすでに
「お料理クラブ」を発足している。
私のランドセルには
証のスヌーピーが揺れている。
スヌーピーを裏切ることはできないのだ。


オカルト談義への誘惑に勝てなかった私は、
さんざん悩んだ結果、
お料理クラブと、そのオカルト研究会(勝手にそう呼んだ)の
合併を申し出た。一緒にしたらいいじゃないか、
それなら、裏切り行為ではない。

オカルト研究会(仮)は、ブームの波もあり、クラスでも徐々に勢力を広げつつあった。お料理クラブのメンバーの中にも、オカルト研究会(仮)を気にしているメンバーもいる。

少々強引な手を使ったが、合併が快諾され、
めでたく私もオカ研(仮)メンバーの仲間入りとなる。

そして、名前があやふやだったグループの名前が決まった。

はじめは、オカルト研究会、通称・オカ研でもいいじゃないかと
いう意見もあったが、正式に決まり発足した。

その名も

「おばけちゃんファンクラブ」略して「OF」

小学生らしい、いい名前だ。

なかば冗談でつけた名前のグループだったが
その後何十年も続くとは、このときの私は知る由もなかった。


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