きみを死なせないための物語第1話感想 その8

その8は大地登場からですね。
このコマの父親の後ろの窓枠に把手のようなものがついていて、あけられそうな雰囲気を出してますけども…流石に「こういうデザインが地球っぽくて流行っている」インテリアとして捉えていいんですよね?
ひいお婆さまの窓枠にも竹風の装飾がされていたり、畳に布団だったりしましたし、このコマでも畳にちゃぶ台ですし、個人宅ではある程度のインテリアを楽しむ余裕があるのでしょうか。
こういう床置きの家具は無重力期はどうしているのか少し気になりますが、一般的に使用されているということは相応の対策がなされているんでしょうね。

兄貴と呼んでいるにも関わらず、当たり前のように髪を撫でてたりおんぶしてたりと歳の離れた弟に対する態度ですし、アラタも当然のように大地に甘えてます。アラタは自分のことを「まだ子どもであと20年は子どもの予定だった」と3ページ目で言っていますし、外見年齢は10歳程度。おそらく5〜7歳くらいで外見年齢を追い越されたアラタが大地に対してまるで弟のように振る舞うのも、ある意味処世術…と思うのは穿ち過ぎでしょうか。

番外編の3話目でここのシーンの大地視点が出てきて、だいぶ拗らせてるなあと感じたのは記憶に新しいですが、このネオテニイの兄と旧人類の弟のバランスは漫画としては美味しいですよね。
例えばですが、大地もアラタと同じくネオテニイだったら。33話で言及されているように別々の家庭で育つことになって、ターラの生殖パートナー候補として登場したりしそうです。立ち位置的にはほぼほぼキュヴィエ博士ですかね。ターラちゃんに対してアラタとほぼ同じ容姿でプロポーズしてくる大地…決定的なセリフは「アラタと同じ配合ですから生殖も期待できると思うんです」とかになるのかなあ…
そうなった場合、アラタとは仲が悪そうですね。「自分がターラのキッズパートナーだったらアラタじゃなくて自分が選ばれてた」とか思って劣等感拗らせるんですよ。
そうなるとなあ…パートナー決定に至る過程で「アラタと大地、どっちを取るの?」的な展開が…シーザーとアラタだと完全にアラタに惹かれているターラちゃんなので関係性がスッキリしてますが、大地がネオテニイだと厄介なことになりそうですね。キュヴィエ博士は作中ほぼ当て馬だったのでわかりやすかったですね。そんなキュヴィエ博士、結構嫌いじゃないです。
で、もし大地が旧人類の兄でアラタが弟のネオテニイだったら…と考えましたが、大地が生まれた時点で生殖パートナーを解消していると思うのであり得ない展開ですし、ストーリーにほぼ絡んでこない部分しか変わらないでしょうね。

読者視点では旧人類の代表的存在な大地くん。言動がまだまだ子どもっぽいシーザーや疲れておんぶされてるアラタと比較して、大人びた表情と言動で描かれています。シーザーの態度からして、シーザーと大地は以前にも会ったことがあり、その時はおそらく言動がまだ幼かったのかと推測されます。仮に5年前だとして13歳の大地に会ってるとしたら、自分達よりは成長してるけどまだ子どもっぽい大地だったのでしょうね。実際中高時代で人間って一気に成長しますし、自分の成長スピードと比べて驚くのもわかります。

で、ここでのやり取りですけども、シネマコクーンでシーザーがターラに迫っていた「キッシングパートナー」が「第二パートナー」だということがわかります。大地はすでに契約者がいるとのことですが、聞かれて答えるまでの「…」が少し気になったところ。ここのシーンは番外編の大地視点で心情が語られてますけども、個人的に少し気になったところが。

大地はあくまで脇キャラなので、本編ではパートナーについては全く触れられていません。アラタ同様複数人のキッズパートナーがいるもしくはいたのでしょうけども、きっと普通に東京コクーン内の旧人類なのでしょう。第二パートナーは本編途中でクラスメイトの男性であったこと、番外編でキュヴィエだったことが明かされます。
そして作中では特に描写はなかったですが、旧人類とネオテニイがパートナー契約を結ぶことは禁止されてる訳でもなんでもないんですよね。
それなのに彼らと2歳しか違わないのに大地はそういう契約の対象としてシーザーやターラから見られてないんですよねえ…  シーザーにパートナーについて聞くときの「なんといってもネオテニイだし」を普通の顔して発言してますけども、穿った見方をすると自分が対象に含まれていないことへの皮肉にも感じられますね。その辺はまあ、番外編を読んでいるからこそ感じることでもあります。

そんな大地に「アラタはどうですか」と突っ込まれて、通り一遍の返事しかできないターラちゃん。宙港での発言もそうですが、ターラちゃんはこの時点では模範的な教科書に書いてあるような発言しかできないキャラですよね。自分がどう思うかよりも、周りの目を意識してしまう。もちろん女性のネオテニイが少なく、生殖について期待されているのを感じているからこその模範的な解答なのでしょうけども。
しかも恋や愛の話が不道徳だとされる社会ですからね…ってことがここでさらっと描かれてるんですよね。加えてネオテニイが長寿なので体の成長が遅いのだとわかります。何百年も生きる、確かにすごいですし、きっとTVの特集もそこに焦点を当てて「新人類」だと紹介していたのでしょう。

煮え切らない態度のターラちゃんに対する大地の反応もすごいですよねえ。
「自分がいなくなった後の兄が心配」と言いつつも、1番近くにいるのは兄弟である自分だとマウントとってるのが見え見えです。確かにパートナーは解消できますけども、アラタと大地はもしファミリー契約が解消されたとしても血のつながった兄弟であることは変わらないですものね。とはいえ、全員が成人した後のファミリー契約がどうなるのかは少し気になります。生まれた時からのファミリー契約を維持しつつ、第二や第三パートナーと子どもを含めたファミリー契約を結べるのでしょうか。

そんな契約に関する疑問を考えつつ、今回はここまで。
大地、めちゃくちゃいいキャラですよね!!