妊活日和#20

2020年4月。妊活開始から20ヶ月目。

今月は初めて体外受精にチャレンジすることになった。

まず初めに行われるのが、採卵という処置。排卵の直前に卵巣から卵子を採取する処置のことである。

先月の時点で、先生からは「目標は10個ね。」と言われていた。10個という数が一般的に多いのか少ないのかはよく分からなかったが、今までの治療で排卵を促す薬を服用しても1〜2個しか排卵されなかった私にとっては、とても多い数に思えてプレッシャーだった。

ちなみに、採卵には卵巣を刺激する方法と刺激しない方法がある。刺激をするということは、内服薬や注射薬を使用してより多くの成熟した卵子を採取する目的で行われて、逆に刺激をしないということは、自然に排卵される卵子を採取することとなる。どちらが自分に合うのか、主治医と相談して決めていくことになるが、私は今までの治療実績から、自然に排卵されるのも1個だし、内服薬の刺激だけではおそらく目標の数が採れないだろうということから、注射薬で連日卵巣を刺激する方法を勧められた。連日の注射は体にも負担になる可能性もあるとの説明を受けたが、やってみないことには自分に副作用が強く出るかどうかも分からなかったので、挑戦してみることにした。

採卵までの治療スケジュールは以下の通り。

<生理開始から2日目>

病院受診。心電図と採血にてホルモン値検査。電話にて注射薬投与開始日が明日からと伝えられる。翌日に行われる自己注射講習会の受講申し込みをする。

<生理開始から3日目>

自己注射講習会にて指導を受け、その日から7日間は自宅で投与する。

<生理開始から10日目>

病院受診。育った卵子は7個。目標の10個に達していなかったため、注射をさらに4日間追加処方され、自宅投与。採卵日は4日後に決定。

<生理開始から14日目>

採卵日を迎える。



振り返ると、自己注射を選択することで通院回数がこんなにも少なく済んで本当に良かったと思う。確かに、自分で注射を打つことに抵抗がなかったかと聞かれるとなかったとは言い切れないが、それよりもなによりも、通院回数が増えることで仕事に支障をきたすことのほうが自分の中ではデメリットとして大きかったからこの方法を選択して間違いではなかったと改めて思う。また、副作用も心配していたが、それは取り越し苦労となったので、結果としては良かった。


迎えた採卵当日は、絶飲絶食で朝6:30に病院へ入り、処置が始まるまで点滴で管理された。

待つこと4時間。いよいよ、処置台へと案内される。

処置には麻酔が施されるが、部分的な麻酔にするか全身麻酔にするかで金額が相当変わるらしい。私の通院している病院は全身麻酔のみの一択だった。全身麻酔にするからには、処置中の痛みは感じないだろうと思って台の上に登ったが、いざ登ると「麻酔が効かなかったらどうしよう…。」という不安が一気に吹き出した。しかし、実際には静脈から麻酔が入ってから3秒後以降の記憶が残っていない。

そして数分が過ぎたと思われた後、看護師さんから「終わりましたよ〜」という声がかすかに聞こえてきて、意識を少し取り戻した。体を看護師さんに支えてもらいながら台から降りて、安静用のベッドまで歩いて移動した。しかし、意識の限界だったのか、ベットのある場所に着いた瞬間、枕とは反対の方向に倒れてそのまま2時間くらい寝てしまっていた。起きると、枕が足の横に置かれていた。


麻酔から覚めて朦朧とした意識の中、今日の採卵の結果と次の受診について説明を受けた。

結果的に採卵できたのは10個。目標クリアである。

そのうち、4個を標準体外受精(精子を振りかける方法)とし、6個を顕微授精(元気な精子を選択して授精する方法)としたとのこと。

精子を振りかけて受精をするのか、顕微鏡で元気な精子を選択して授精するのかは、当日の精子の状態を診てその割合を決定されるため、自分では判断できない。ちなみに金額は顕微授精のほうがお高めである。少々治療費が高くなることを覚悟した。


そして翌日、病院から受精有無と個数確認のメールが届いた。

受精したのは、10個中7個だった。

さらに翌々日、病院で受精卵の経過報告の説明を受けた。

標準体外受精の4個中4個が受精し、顕微授精の6個中3個が受精したとのことだった。事前に初期胚移植ではなく、一度卵巣・子宮の状態を整えてから移植したい旨を伝えていたため、凍結胚移植が行われることとなっていた。次回の1週間後の受診の際に、受精胚(受精卵が細胞分裂をした状態)の状況確認と、凍結の組み合わせを行うことが伝えられた。

1週間後、7個の受精胚のうち、4個はグレードが良く1個の移植で着床が期待できそうだが、3個は3つ同時移植していずれかが着床するかもしれないというくらいのグレードだと伝えられた。とういうことで、凍結するグループ分けは1+1+1+1+3の5グループに分けられることとなった。


今月の治療はこれで終了。

不妊治療を初めて一番忙しかった今周期。

怒涛の3週間だった。

でも、初めて妊娠に対して前向きに期待を込めて治療に励めた周期でもあった。

高い壁だ、と勝手に思い込んでいた治療に本気で向き合った周期にもなった。


来月は、ホルモン値と子宮の状態を確認して移植できるかどうかが判断される月となる。


来月には移植できるよう、規則正しい生活を心がけていこう、と決心した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?