妊活日和#12
2019年8月。妊活開始から12か月目。
1回目の人工授精が残念な結果に終わり、意気消沈していた。
夫と話し合って決めた治療の回数は3回。
残り、あと2回。
あと2回でうまくいかなかったらどうしようという不安が頭の中でいっぱいになり、ある日ついに夫の前で泣いてしまった。普段はめったに感情をぶつけることのない私が泣いているのを見て、夫は少し動揺していた。
「とりあえず、あと2回治療を受けてから次のことを考えよう」
夫からそう励まされても気持ちが晴れることはなく、悶々とした日々を送っていた。
人工授精にかかる費用は約3万円。決して安い治療ではない。にもかかわらず、自然妊娠とさほど大差がない妊娠率。
果たして、そんな高価な治療を何の考えもなしに連続受けていいものなのか、ほかに自分でできる方法はないのか。
いろいろな書籍や雑誌を読み、辿り着いたのが「シリンジ法」であった。
ネットで購入したシリンジを使って、精子を注入する方法。
人工授精と原理は変わらないではないか!!!
さらに、人工授精に比べてたらはるかに安価である。
これは早速試してみなければ!!と、即ネット購入。
他にも妊娠率を高めるために、何か努力できることはないだろうか。
そう考えていると、いつもお世話になっているリンパマッサージのお店でよもぎ蒸しを始めたとの情報が入った。速攻予約である。
なんだか、いい風が吹いているような気がした。新しいことを始めることって、楽しいんだな。
そして調子に乗った私は、さらにその加速度を増した。
この勢いで何か新しいことに挑戦しなくては!とハイになった私は、何を血迷ったか、運動嫌いなのになぜかテニス教室に入会申請をしていた。
そうやって、新しい情報を集めるための書籍代、よもぎ蒸し代、テニス教室入会金や月謝で、結局、3万円くらい使っていた。
まあ、いっか。。。
お金は浪費してしまったが、気持ちは随分前向きになったと思う。
これでいいのだ。そう思うことにした。
特に私の心を軽くしてくれる良い書籍に出会えたことは、大きい。
『名医が教える不妊治療』(著者:浅田義正)
この本は有名な不妊治療専門医が書いた本であるが、信頼性の高い情報が得られるので、今まで間違って認識していたことや、今後の参考になりそうな体外受精の話など、私の頭をすっきりと整理させてくれるものだった。
私がこの本で学んだ内容を一部まとめてみた。
・不妊のほとんどが、原因不明であること。
・排卵は、毎月優秀な卵子が選ばれているものだと思っていたが、実はその時に成長している複数個の卵子からいずれかが「偶然」選ばれて排卵しているだけであること。だから、流産も起こりうるということ。
・優秀な卵子が成長しても、自然排卵では「偶然」選ばれた卵子1個が排卵されるため、そうなると優秀な卵子は自然消滅されてしまう。だから、排卵誘発剤を使っての治療は、複数排卵を促し、優秀な卵子を自然消滅させることなく採れることで妊娠の確率を上げることができるということ。
特に、この「偶然」という言葉にとても救われたのを覚えている。
私が妊娠できないのも「偶然」。
誰かが妊娠できたのも「偶然」。
そう言ってくれる人がこの世にいるだけで、心が軽くなる気がした。
私が生きているのも「偶然」。
誰かが生きているのも「偶然」。
私にとっては、貴重な学びとなった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?