野に、咲く。第四話

野に、咲く。　　　　第四話

前回のあらすじ

小学一年生になった僕は、通学途中の堤でA4サイズの牛カエルをつかまえ、ランドセルに入れて

登校。　牛カエルの存在をわすれてしまい 給食、昼休みを楽しんだ後、五時限目で
事件が起きる‥


教室には独特の音がある。　机と机が当たる音や床と椅子の擦れる音、生徒の話し声や

廊下を走る音。　先生の登場で静寂となり授業が始まった。　

お昼からの算数はほんとに眠くなる。 算数が苦手だった僕はウトウトしだし催眠術にかかった

ように目を閉じてしまう。　真面目に授業を受ける同級生、居眠りする同級生、

外を眺める同級生、優しくわかりやすく授業を進める先生。　その時だった‥忘れていたあいつ

の独特の鳴き声が教室の空気を一気に変えた。

『ドゥゥゥウーーーーン！』　　ざわざわとなる教室、「なになに？」「何の音？」

「なんかおる！」「どこどこ？」騒ぎだす生徒たちに先生が動く。「静かに！」

ダウジングで水脈を探すように先生は後ろのロッカーに近づく。

『ドゥゥゥウーーーーン！』　　女子たちは怯えだし男子は呆然とロッカーを見る。

「ここだ！」先生が僕のロッカーのランドセルを手に取りロッカーを見る「何もおらんね」

その直後だった‥ ランドセルのロックを外し中を開けたとたんあいつは飛んだ！！！

スローモーションでその光景が僕の目に映る、「ぎゃーーーーーーーーー！！」と叫び出す女子

「うわぁーーー！」と叫ぶ先生  「きもちわりー！！」っと叫ぶ男子。　そこから事態は

最悪の展開になる。　女子の吉川さんが嘔吐、給食のフルーツヨーグルトが床にこぼれ落ちる

「ぎゃーーーーーーー！！」男子が叫ぶ！　　続けて城戸くんが嘔吐　中川、松崎、藤井

と続けて嘔吐　騒然となる教室に隣の教室から中村先生が登場すると飛び回る牛ガエルを見て
嘔吐！　嘔吐！　嘔吐！　叫び声！　悲鳴！　鳴き声！　嘔吐！　嘔吐！　牛ガエルは飛ぶ！

床は一面、フルーツヨーグルトと黄桃のコントラスト。　僕はこの光景をスローモーションで

見ていたんだ。　飛ぶ牛ガエル、叫び声、フルーツヨーグルト‥


僕は1人‥ 笑っていた。


つづく