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なぜあなたは老害になるのか

突然ですがみなさん「缶切り」って使えますか?
え、知らない?
もしくは使い方を忘れた?

そんなんでこの先の生活大丈夫ですか…?

…的なことを言われた経験、皆さんたぶん少なからずあると思うのですが、
こういうことを主張する方々が、古来より恒常的に世に発生してしまう理由を自分なりに分析したいと思います。

この記事を見て老若男女、柔軟性と客観性がある方は首を縦に振ってくれると思ってますし、
逆に耳が痛いと感じる方々は図星つかれた防御反応で毛嫌いしてくるかもしれませんが、いずれにせよ私には好都合なので思い切って書いちゃうぞ〜✌️
(とはいえ目的は「該当の人種への攻撃」でなくあくまで「分析」なのでできるだけ客観的視点を持つよう努力しますし、言うまでもなく特定の誰かに向けて書いてる内容ではありません)

結論から言うと、弱者なりの生存戦略なんだと思います。

それでは紐解いていきましょう〜

そもそもなぜ「最近の若者は」がいけないの?

一応導入をまとめると、「自らの世代の常識を、違う世代に押し付けることはいけないよね」ということを言いたく、これが本記事のメインの前提となるのですが、そもそもそれってなんでいけないことなんでしょうか?

考えるに、

  • 生産年齢人口の中心である若い層に対して間違ったことを刷り込ませることで社会、組織、シーンの発展や多様化を鈍化させる

  • 生産年齢人口の中心である若い層のモチベーションを下げる

  • 自身の客観性や思考力の低さを露呈して、周りからの評価を下げてしまう

があると思っています。

上二つは「でもあなた今の時代のことわかってないじゃん😅」という内容なのですが、

例えば私がメインで活動している「音楽」で考えると、
消費のメイン層(=ここでは音楽を通して社会にお金を落としてる意味で使います)は高校生〜20代の、一般的に言われる若者です。
(以下「音楽メディアユーザー実態調査 2022年度」参照)

そこから30代〜60代にかけて標本した年度ごと絶対値に差はあるものの、どの年度も上の年齢層にいくほど基本的にお金を払って音楽を消費するパーセンテージは減っていきます。

これは消費側のデータなので「供給側≒発信者側」の年代を表すものではないですが、少なくとも音楽文化は若者の感性によって動かされてることの証明になると思いますし、供給側の年代がどうであれ商業的な成功という観点なら彼らの考え、感性、スタンスが重要視されて然るべきです。
そしてそれらはとても短い時間で移り変わっていきます。

まあこんなこと今更言うまでもないんだけど、
「定量的なデータがでている」というとこが大事!

ただご想像の通り、「最近の若者は」という枕詞の下の句として

・ツールが発展して後からいくらでも編集できちゃうから演奏技術が未熟!
・挨拶などの礼儀がなってない!普通は言われる前にやるべき!
・借金もせずリスクをとらずに活動するなんて甘い!

みたいな厄介百人一首キメ散らかしていらっしゃる方々がいたりいなかったり。
(厄介百人一首ってめっちゃいいな、みんなで実際に言われたことを集めまくって製品化したい)

これらは観点によっては事実だろうし、コミュニティによってはわりと普遍的な「乗り越えるべき課題」として扱われてることもあるんでしょうが、当てはまる対象が局所的であったり、正しくない場合も多くあります。
「主語でかすぎ」ってやつです。
「最近の若いバンドは〜」とか言う人に「じゃああなたがこの1年間どこのシーンのバンドをどれだけの標本数みたか教えてください!」とか聞き返したら多分答えられないでしょうし😂(多分泣いちゃうからやらないけど)

音楽の楽しみ方、提供の仕方、ブランド感の作り方などは時代によって変わっていきます。

たとえば演奏技術はあるにこしたことはありませんが、技術があってもなんの変哲もない退屈な楽曲をただひたすらアングラなライブハウスでやっているアーティストより、
ライブ技術はまだまだでも多彩なジャンルやサウンドを通して様々なエンタメを戦略的に消費者に与えることができるアーティストが求められるでしょうし、

挨拶はもちろんしたほうがいいとはいえ、
目上と目下、レンタル側と被レンタル側、古参と新参、企画者側とそれ以外など問わず、気づいた方からすればいいと思います。
あと別に共演者だからといって必ずしもコミュニケーションとらないといけないわけでもないはずです。

借金でいうと、そもそも「リスクをとる」というのは手段であって目的ではありません。
目的は人それぞれですが多くの場合が「音楽活動を持続可能にする」「いい音楽を届ける」「認知度を上げる」であり、そのために必要であればリスクはとる、コストを払う、というのが理屈です。
借金をしたから、膨大な投資をしたからバンドとして偉いわけでもなく、むしろそれで活動が危ぶまれたら逆にアホだったね、となっちゃいます。(書いててバカらしくなってきた)

要は、その当時のツール、文化、経済状況の上に構築された常識が、
土壌であるツール、文化、経済状況が変わったら同じく変わるのが当たり前で、
技術だけ追い求めるより自分が与えたいものを伸ばすのを最優先にしたほうがいいし、現場での礼儀やコミュニケーションも最低限常識的な範囲であればいいと思います。
物理、論理共にいろいろなプラットフォームが揃った現代で人脈含めた資産は「浅く広く」より「狭く深く」することのメリットがより大きくなるのは時代の流れ的に合ってるな〜と個人的に思いますし。
(私は時代とか流行問わず仲良くしたい人は自分からガンガン行く派です!仲良くしてくれる方、面倒見てくださる方、いつもありがとうございます✌️)

借金についても、SNSや配信サービスなどの台頭でよりリスクとコストを抑えた発進や活動ができる現代では昔ほどのメリットはないかもしれませんね。いや、時代に沿って"別の価値ある資金の使い道"ができてるはずだから需要の絶対量は変わらないのかな。

とにかく、
現代では通用しづらいこと≒正解とは言い難いことを、正しくない範囲設定で"正解"として押し付ける
ことで、それを信じた若い人がミスマッチな手段で時間や労力を浪費するかもしれないし、
現代に合わない小言をえんえんと上から言われることで、むしろあなたより優秀で生産力のある若い人のモチベを下げてしまうかもしれません。
そうでなくとも、あなたが無意味な説教をしている間に「こういう発想する時点で、この人は前時代でも大して優秀じゃなかったんだろうな」と心の中で嘲笑されてあなたの評価を無駄に下げてしまうかもしれません。
これらが「最近の若者は」がダメな理由だと思っています。

音楽に例えて言いましたが、基本的にどの社会、組織、シーンでも新陳代謝があるコミュニティであればあてはまることだと思います。

なぜいつの時代も老害が出るの?

ピラミッド建設者が、作業途中に壁面に「近頃の若者は」と書いた形跡があったことは有名な話で、
こういった方々は、少なくとも5000年前からいたようです。

なんでいつの時代もいるのか、
一言で言うと人間の視野には限界があるからであり、
こういった方々はその中でもより狭い視野しか持てなかったタイプの個体なんだと思います。

手料理しかなかった時代を生きてきた人は、冷凍食品や既製品を使って合理的に栄養獲得と時間短縮を実現した主婦に「心がこもっていない」とケチをつけますし、
同じく小説が手書きのみで作られていた時代からタイプライターが出現した際は「作り手の熱がこもっていない」と批判をされたらしいです。
寿司屋でプリンや肉寿司など、魚以外が出回るようになって久しいですが、ご想像の通り架空の「寿司のあるべき姿」を求めて声高に叫び散らす人もいたらしいですし、
漫画の背景に写真使うな!論で、さまざまな漫画家の方が知見を出し合っていたのも印象的でした。(以下参照)

でも、いまでは既製品を利用しての時短料理なんか当たり前ですし、
今日日、活字で書かれた小説や魚以外の寿司に文句をつける人もいません。
漫画の背景に写真を加工したものを使うのも結局は好き嫌いはあれど「正しい / 間違ってる」のものさしは存在しません。
「芸術的発展」の観点で「在るべき形」は議論する価値があるかもしれませんが、少なくともこれらは商業的観点では残ってますし、
淘汰されてしまった価値観はいずれの観点でも結局求められなかったものだと私は思っています。

私も優秀ではないので、目に見えるものが全てだと感じて行動をしてしまい痛い目をみてきたことは無数にあります。

例えば、架空の話ですが
もし自分がバブル期に就職活動をした大学生だったなら、
求人倍率3倍、説明会にいくだけで1万円もらえて就活はザル、みたいな現状しか体験をしないので、その後の就職氷河期や現代の就活生をみて「甘えじゃね?」とか思っちゃう可能性は大いにありますし、
優秀でなくとも職に困らず、大して功績あげなくとも自動的に給料はあがって家や車などの資産を持てた世代しか知らなければ、自身のことをデキる人間だと勘違いして「最近の若者は何も欲しがらないナヨナヨした奴が多いよな」とか宣ってたかもしれません。

でも、老若男女問わず優秀な人はこういった考え方をしません。
ここでの優秀の定義は客観性があり先入観にとらわれず思考力のある人とします。

優秀な人は環境、文化、時代が異なれば前提やとるべきアクションが変わることを知っています。
また常に変化する流れを読むため新しく精度の高い情報を得ています。
なので、限定的な範囲でしか通用しない(そもそもかつて通用してたのかも怪しい)ステレオタイプを無意味に持ち続けることもしなければ、他者にそれを押し付けるメリットがないことを理解しています。

ただ、そうなれる人ってめちゃくちゃ限られてるんだろうなと思いますし、自分もいつ思考停止&品性をどこかに落としていわゆる老害になってしまわないかビクビクしている毎日です。

なんで老害になっちゃうのか。
これが本記事冒頭に書いた「弱者なりの生存戦略」だからだと思っていて、
「弱者」というのは語気が強いですが、ここでは「発展を目的とした社会・組織・シーン内で、牽引する存在とは対局にいる存在」として話します。
「弱者」の根拠は
客観的視点を持てない→精度の高い情報を得ることができず精度の高い判断をすることができない→正しくない情報の元に生きている
です。
要は新しいものを取り入れる能力・度胸・知性が欠落しているか、そういったものが必要のない変化の止まったコミュニティに属している方々という意味です。

仮説にはなりますが、こういった方々は上述の「優秀な人」とは違って、
他者に自身の価値観を押し付けないと自身の存在が危うくなってしまう、と顕在的 / 潜在的に感じているのかなと思います。

優秀な人は他者に押し付けずとも正しいものは正しいものとして追い、理解し、扱っていくことができますが、そうでない人々は
「これが正しくあってほしい」
「じゃないと自分がやってきたことが無駄に思えてしまう」
「自分の立場がなくなってしまう」

という焦りから、主観的で根拠のない価値観を他者に押し付けることで安心をしているのかな、という。
わざわざ押し付ける必要があるのは、彼らの持ちうる価値観が時代や本質的な正しさから乖離しているからに他ならないですし、本当にそれが正しかったら押し付けずとも伝わるし、そもそも初めからみんなそうしてることも多いよね、みたいな話です。

要はどれだけ視野を広げて、自分の常識を疑うことができて、フラットに物事を見て、情報収集と分析ができるかが重要で、
結局いつの時代もこういった客観性と思考力を持った人々がコミュニティや文化を牽引していっているんだと思います。
優秀な経営者、発明者、時代やシーンを引っ張る存在は常に柔軟で凝り固まらない思考と行動を以て固定観念の壁を破壊してきています。

老害はどこかのタイミングでそれができなくなったのか、もともとできなかったのかはわかりませんが、
結局カチカチに凝り固まった思考になるのであれば「あなたのいう"俺らの時代"でも、自分で思ってるだけでそんな優秀じゃなかったんじゃないの」とか変な説教されるたびに私は思っちゃったりしてます✌️😂

視野が狭すぎると俯瞰的に物事を見ることができないので、
それまでの時代からの変遷や、そもそも同じ時間軸でも違う文化やルールが存在するコミュニティがあることを認識できず、
自身が生きた時代や界隈を絶対的是と考えてしまうんだろうな、と。

もし彼らのそういった主張を通してしまうと、

みたいなことになっちゃうわけです。
「缶切り使えないの?」どころじゃないんですよ。

お前自分で竪穴式住居も建てられないしマンモスの狩り方も知らないの?
え、お前がいった「俺らの時代は」論と何が違うの?
ツアーのときは車中泊が当たり前だった?
車なんか使うなよ、江戸時代は徒歩で箱根の山2日間かけて越えたんだぞ?

なんていうちょっと考えればわかりそうなこともわからなくなっちゃうわけです。
そんなレベルで冷静さを失ってしまうくらい、時代や文化に置いていかれる恐怖や焦りが彼らをそうさせてしまうのですが、
そうならないために常に俯瞰して物事をみて、先入観にとらわれず、変化を許容し謙虚に学んでいく、というのがどんな人にも必要なスタンスなのかもしれませんね✌️

まとめると「老害」とはいうものの、

・客観視できずに思考力がないタイプは老若男女問わずコミュニティの発展の足を引っ張る
・歳をとるとなまじ人生のプレイ時間が長い分、そのダメさが際立つ

という2点で、必ずしも年長者や歴が長い方がかかる病というわけではないのかなとも思ってます。みんな気をつけなきゃいけないね。

いろいろ書きましたが私は年長者の方からいろいろなお話を聞くのは好きですし、現在関わらせていただいている方々は年上年下関係なく素敵で尊敬できる方ばかりです。
こういった方々に少しでも近づけるよう日々謙虚に生きたいと思います。

「普遍的に正しいことを言う」が絶対的に求められるべきだと思わないですし、主観無くして意見交換もできないと思っています。
私も現に根拠のない仮説やイメージで喋ること、めちゃくちゃあります。

大事なのは「これはお前にも正しく当てはまることだから」と押し付けず、「正しいと思うことでも観点によってはそうでないかもしれない」という可能性を忘れずコミュニケーションをとっていくことだろうなと思っています!

最後までお読みいただきありがとうございました✌️











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