産物記録法
産物記録法とは
産物記録法は行動的産物(行動の結果生まれたもの)を観察して記録する方法です。
行動的産物の例
大学の講義で書いたレポート
子どもが部屋で遊んだ後散らかったままのおもちゃ
道路にポイ捨てされたゴミ
このような産物がどのような行動によって生み出されたのかを記録します。
実施方法
対象となる行動の決定
産物記録法を用いるか決める
決めるためには以下のフローが使えます。
行動そのものが観察可能か判断
↓
観察不可能である場合、測定可能な環境内の物理的変化が行動によって生み出されるか判断
↓
生み出す場合は産物記録法を用いる具体的な記録手続きの決定
記録する産物について、どのように記録するか、いつ記録するか、誰が記録するかなど詳細な手続きを決めます。
記録する産物は厳密に基準を決める必要があります。複数人で観察する場合はもちろん、1人の場合でも基準を決めておかないと精度の低い情報になってしまう可能性があります。
例えば、「壊れた備品の数」を記録する場合は形が変わっているものなのか、本来の機能を果たさなくなったものなのかさまざまな状態が考えられます
いつ記録するか、については十分な量の産物を記録できる時間にする必要があります。量が少なすぎたり多すぎたりと時間によってばらつきがある場合、検証したいことの効果による変化なのかどうかが判断しづらくなります。記録に必要な道具の準備
記録用紙やカウンターなど必要なものを準備します。記録用紙には産物の情報以外(周囲の状況など)付加情報も記録できると、想定外の要因による影響を検討する場合や分析に役立ちます。予備観察の実施
事前に計画した記録手続きで予備的に観察をし、記録手続きの課題を洗い出します。そうすることで、記録方法が適切なのか、本観察を行うにあたり問題がないかを検討できます。本観察の実施
予備観察までの計画をマニュアル化したものがあると良い。結果分析
結果データの視察や統計分析によって介入効果を検討する
メリット、デメリット
行動を直接観察できない場合も利用可能
例えば、タバコの吸い殻ポイ捨てを観察したい場合、街中に張り付いてポイ捨てする人が現れるまで待つという直接観察は時間と労力がかかってしまいます。産物記録であれば、落ちている吸い殻の数を数えることでポイ捨て行動を調べることができます。行動的産物は保存できる
直接観察の場合は行動を撮影する以外では、行動した瞬間しか観察の機会がないが、産物ならば産物が消えてなくなってしまう場合を除いて保存することが可能です。産物が誰によって生み出されたのかわからない
街中で起きている事象など、不特定多数による産物を観察したい場合誰の行動によって生み出されたものなのか、介入によって変化があった場合誰の行動がどのように変わったのかまでは特定できません。産物がどのようにして生まれたのかわからない
例えば道路にポイ捨てされたゴミを観察する場合、車の中から投げ捨てられたのか、歩いている人がカバンから出して捨てたのかまでは明らかにできません。また、捨てた人の属性もある程度は推測できたとしても明確に知ることもできません。
メモ
本で紹介されていた例では産物を定量的に計測して、統計分析にかけていました。
また、問題行動が明確になっていてそれを改善するための仮説検証のような使われ方をしているようでした。
身近で使えそうな状況も考えてみましたが、普通のことじゃん?感が…ただ、実際の行動の結果を見るので、インタビューによる検証よりは信頼できるのかもと思います。
また、仮説が外れていた場合でもテーマによっては新しい仮説を生み出すのに役立つのかもしれないなと思いました。
身近で使えそうな状況例
メンバーの自己研鑽モチベーションを上げたいとき
産物→ある期間の学習時間とアウトプットの数
仮説→モチベーションを上げるためにはxxをすれば良い
方法→1ヶ月間普通に過ごしてもらい産物を記録
次の1ヶ月は介入して産物を記録
その次の1ヶ月はまた介入なしで普通に過ごしてもらい産物を記録会議中メンバーの発言量を平等にしたいとき
産物→会議の議事録やボード、メンバーの発言回数
仮説→発言の少ないメンバーに発言させるにはxxすれば良さそうだ
方法→10回の会議は普通にやってもらい、次の10回は仮説を実施してもらう
ただ、このテーマと実施方法ではメンバーの関係性の変化や会議の議題によって産物がかなり変化しそうなのであまり信頼性のあるデータはとれないかも…
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