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バンドエイド


自分が損してまで、誰かに尽くすこと。

そんな余裕はない。

「誰かのため」に何かをしても、最終的に「自分のため」と言う結論に返ってくる。

見返りを求めるくらいならやらない、

それが自分のポリシー。


「やってやったんだから、なんか返せよ」って1番嫌いだから。

「じゃあやるなよ」

そう言いたくなる。




ただ、自分の過程の中でできることなら、

自分が損しなくてもできることなら、

「ついでに」やりたい。



ここまで行きたい。

そう道を尋ねられて、

自分と逆の方向なら、口頭で説明するだけ。

だけど、自分と同じ方向なら、ついでに一緒に行きたい。

そう思ってる。


「誰かのためにやる」が表向きで、「自分のためにやる」が裏にあるなら、

最初から全部自分のためにやる。

そう言うことを、間接的に友達が教えてくれた。



公園で缶蹴りをしていた。

何十年ぶりかの缶蹴り、人生最後になるかも知れない缶蹴り。

私は、花壇の影に隠れていた。

そこから鬼の様子を伺う。


鬼をやっている友人が、私たちを探すために缶から離れる。


チャンスだと思った私は、必死に缶目掛けて走る。


出来るだけ直線距離で行きたかったので、花壇を回って行くのではなく、飛び越えた。


宙に浮く。

足が引っかかる。

一気に冷や汗が出る。


気づいたら、手をついて、花壇の上に転けていた。

痛い。

久しぶりに味わった転んだ時の痛み。

痛いと言うか重い。

体は土の上に転けたが、手はコンクリートに着いてしまった。

手のひらは真っ赤に染まって、ズボンの膝の部分も破れた。



JKが後ろでTikTokを撮っていて、私をみて、笑ってた。

恥ずかしくて、痛くないふりして、友達のところに行く。

友達も、「永旅、みっけ缶踏んだ」とゲームを続けていた。

まさか20を超えてこんなに血を出すなんて。



痛くて、重くて、ゲームどころじゃなかった。

歩いて血がついた手を洗いに行った。


冷たい水で手を洗った。


最近寒いのもあって、水が冷たかった。

より傷に染みた。


戻るとゲームは終わってた。

鬼が勝ってた。



私が転ぶところを目撃していた鬼の友達が「大丈夫?」と言いながら自分のバックを開ける。

何出すんだろうと思ったら、財布を出した。

あったか〜い飲みもんでも買ってくれんのかと思ったら、財布から出てきたのは絆創膏だった。

色んなサイズの絆創膏が出てきた。

なんかびっくりしたと言うか、感動した。



「1mmくらいでたまに役に立つなら、財布に入れといた方がいいじゃん。ついでに」

と言っていた。


それから、私も常に入れてる。

これが結構役に立つ。

たった数ミリ。

財布に入れても重くもならないし、嵩張るわけでもない。


友達が付け足した、「ついでに」と言う言葉。

今の私にとっての答えのような気がした。


誰かのために自分を犠牲にすることはまだまだできない。

けど、「ついでに」出来ることならやりたい。


今はとりあえずそう思う。

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