去年の話

去年何ができただろうか
コロナで始まり、コロナで終わった年
そんな去年の話

去年、私は大学4年生だった
部活動に明け暮れていた学生生活
最後の年だった
吹奏楽部に所属していた私は最後のコンクールに出るチャンスの年だった
だが、コロナでコンクールはおろかオーディション、部活動も停止
何もできない夏だった

正直、当時実感は湧かなかったし、仕方ない、ぐらいに考えていた
しかし、最近後輩がホール練習しているのを見て一気に苦しくなった

出たかった

それだけだった
そう考えた瞬間涙が止まらなくなった

吹奏楽の名門で、コンクールメンバーになる事を1番の目標にしていた
4年目だった去年はかなり可能性が高かった
出れるという確信があった
しかし、コロナで挑戦する機会さえも奪われた
私はこの悔しさを、憤りを、気持ちをどこにぶつけたらいいのだろうか
悔しくて悲しくて、でも仕方なくて苦しくて、そんな気持ちをどう処理すればいいのだろうか

私が悪かった、そんなわけはない
他の誰かが悪かったわけでもない
ただコロナが悪く、運が悪かっただけなのだ
それでも
そんなことはわかっていても、1年経った今私は納得できずにいる

社会人の楽団に入って再挑戦すればいいかもしれない
でも違う

再挑戦しても、あの夏は帰ってこない

あの時間は帰ってこない

あの青春に対して私ができることは何一つない

それがたまらなく悔しくやるせないのだ

ただ出たかった
出れなくてもやりきりたかった

今日、去年をそんな気持ちを消化できなかった年にしてしまった

私だけじゃない
同じようなチャンスを奪われたり、気持ちの行き場を無くした人はたくさんいる

楽しみを奪われることが1番辛いんじゃない
持っていた気持ちをどこにもやれずに終わることが辛く、悲しい

私が何をしたと言うんだ

二度とこんな気持ちにならないように、と願った1日だった

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