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財産だと思う出会い

わたしなんかより、あなたが先生になって教えてほしい。そもそも、あなたか言ったんじゃないの、「一緒に先生になるんだよ」って。素敵な大人がたくさんいる。次世代に種を撒くつもりで、ねえ、先生になって。わたしは、もしわたしみたいなのがいたらきっとあなたに救って欲しい。それくらい、大きな出会いだったのだから。


教育学部にいたから、周りは先生になりたい人ばかりだった。なんで先生なんかなりたいんだと思って、随分いろんな人に聞いた。いろんな答えが返ってきたけど、わたしの動機になりそうもなかった。


そりゃそうだ、誰かの言葉が何かの理由になるなんてそんなことありっこない。


なんでこの学部にいるんだと思うような友人がいた。彼の言葉は好きで、いろんなことを話した。相槌がうまいってことでも、流暢でもない。けれどとにかく聴くのがうまい人だった。どうしてそう思うかというと、きちんと答えるからだ。どうして分かったんだろう、と思うほどに核心をつく答えが返ってくる。


今は全然違う仕事をしている。だけど彼の言葉は生きていて、とても鮮やかだ。


あなたが言ったんでしょう、と噛みつきたいけど、変わらず鮮やかな言葉をくれてわたしを肯定し続ける。もらった安心感と鮮やかな言葉がわたしを生かす。


こんなに心に触れる出会いがあるなんて。当時のわたしに言ってあげたい。生きていて、よかったよって。

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