壊れたMARLOWE
MARLOWEというプリン屋さん。
「手作りビーカープリン専門店」という神奈川県葉山町にある、地元では知らない人のいないプリン屋さん。
その名の通り、プリンの容器が特注のビーカーになっていて、食べ終わった暁には計量カップとして、コップとして、プリン容器として再利用・・・と一度買うと何度も美味しいのが魅力的。
もちろん、プリンはめちゃくちゃ美味しい。
シーズン毎に期間限定のプリンも出していて、いつ行っても心が踊る。
たぶん今行ったら、カボチャとか栗のプリンとかが食べられると思う。
何時だったか、何かのご褒美と称して二つ買い、食べた後はビーカーを小物入れとして使ってた。
今回の引っ越しでも大事に包んで持ってきた。
そんなビーカーを、つい先ほど割ってしまった・・・。
ここ最近一番の衝撃過ぎて、優に十秒はフリーズしたと思う。
私は控えめに言っても重度のおっちょこちょいで、この家で暮らし始めてからの五ヶ月間、他にも色々壊している。
新生活の為に揃えた食器セットも、小皿・中皿・茶碗と欠けさせてしまったし、コップも二つ割って、極めつけはオーブンのターンテーブル(ガラス)を真っ二つにしたばかり。
洗い物の際に手が滑って落としたり、不安定なところに立てかけて倒したり、自分でも「なんでそんな事した?!」と壊れてからびっくりする。
このMARLOWEのビーカーは、別に貰い物でもないし、特別な思い出も無い。
友達の引き出物のグラスとか、結婚祝いでもらったグラスを割ったときよりもショックだった。
なんでだろう・・・?と自分なりに考えてみた。
いくつか浮かんだ中で、”辛い時を一緒に過ごしたから” ”助けてもらったから” と言う理由がしっくりくる気がする。
ちょっと大げさかもしれないけど、これがぴったり。
ビーカーが小物入れだったときには、毎日目に入る所にいて、ふと疲れた時に見るとプリンを食べた時のあったかい気持ちになって、私を癒してくれた。
今の家に引っ越すとき、夫が調理器具は一通りあって軽量カップもある、と言うので殆ど処分してしまった。
いざ来てみると私の想像していた一通りは無かったし、軽量カップはオンス表記で、使う気になれなかった。
そんな時、メモリの入ったMARLOWEのビーカーが居ることを思い出して、小物入れから軽量カップになって助けてくれた。
なんだかとっても安心した気持ちになった。
それ以来、ずっと軽量カップとして大活躍してくれていた。
なのに、割ってしまった。
幸いな事に、もう一個残っているので料理にはさほど困らないと思う。
けれど、なんだか仲間を失ってしまったようで、寂しくて、取り返しのつかない事をやってしまった時の、ざわついた気持ちになってる。
人は失ってから気付く、なんてよく言うけれど、本当にその通りだと思う。
そして、辛い時を共に乗り越えた仲間ほど、絆を感じる。
日常の、他人からしたら取り留めるほどでもない事だけれど、こう言う些細なことの積み重ねで、気付いたり、気付かされたり、学んでいくもんなんだなぁと思った出来事でした。
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