思考論 6/30
この文章を書いてから、早いもので、半年。
33歳の1年間は「働きなおす」を個人テーマとして、考えながら過ごしています。少しずつ、できるときに、思考したことを書き起こしていこうと思います。
今日は「なんだかこのヒトと仕事がうまく進まない」というときの思考法について。
『つらい』が言えないメンバーの話
先日、会社のメンバーがお休みに入りました。軽度のメンタルダウン。上司と1on1で進めていた、とある仕事が主な原因みたい。
この仕事は、やることが決まっているものではなく、「こういう状態に持っていきたい」というビジョンだけが決まっていて、そこにどうたどり着くかを設計し、必要なヒトたちに協力も仰ぎながら進めていく、というもの。
彼女にとって、なにをどう進めるかの設計・計画をつくるところから自分でやるのは今回が初めて。もちろん、右も左もわからない。
でも、彼女は「わからない」が言えなかった。
もちろん、彼女自身の性格や癖もあると思うのだけど、様子を聞くに、上司から具体的なサポートはなく、『本当にそれで結果が出せるの?』『これはいつ終わるの?』という確認だけを日々されていたらしい。
上司が成果と自身の成長を求めていることを感じとってしまい、もっと頑張らなきゃ、私の問題だから、私がなんとかしなきゃ、と思うがあまり、「わからない」が言えなかったらしい。
わからない、うまくいかないが積み重なり、それが「つらい」になっていく。もちろん、上司には「つらい」も言えない。
そして彼女は体とこころの調子を崩し、いま、お休みしている。
こういうときに、ありがちなこと
上司たちに話をしていると、よく「言ってくれないとわからない」、「言ってくれれば、全然動くのに!」という言葉を耳にする。
一方で、先ほどの彼女のようなメンバーはみな「言えたらこんなに苦労しない」、「なんでわかってくれないんだろう…」と、口をそろえて言う。
どちらのことも、よくわかる。
『見えないから、見えるようにしてくれ』という上司。
『見えないところに気づいてくれ』というメンバー。
さて、どうしたものか。
上司の立場からできることも、もちろんあると思うのだけど、僕は日ごろメンバーであることが多いので、メンバーの立場で「こういうとき、どうやって解決しているかな?」と考えてみました。
今日の思考法:2人じゃなくて、4人。
こういう場合、僕は
2人ではなく、4人でMTGしているつもりで考えてみる
という思考法を試してみることがあります。
・私の裏に潜んでいて、ちょっかいを出してくるAさん
・相手の裏に隠れていて、同じくなにやら囁いているBさん
を連想して、私+相手にこの2人を加えた「4人」の関係を紐解く感覚で今起きている問題を考える、というものです。
AさんもBさんも、少し悪い顔をしてニヤニヤしているのを想像します。あー、嫌な感じ。
こうすることで「相手が嫌なやつなんじゃなくて、Bさんが悪いんだ」と、黒い感情をちょっと外に追いやることができます。
自分に対しても、Aさんという人格を用意することで「なんだか嫌な気持ちになってる…。Aさんがなにか言ってきているなこれは」と、自己嫌悪に陥ることなく、自身の気持ちをフラットに整理することができます。
相談を受けたヒトにおすすめしたいこと
こういうことが起きると、よく「わかってくれる人に話を聞いてもらう」ことをおすすめされますよね。実際に、相談を受けたことがある人も、多いのではないでしょうか。
このこと自体は、とっても良いことだと思うのですが、根本の上司などとの問題が解決されないままに、友人や同僚など他の人に愚痴を吐いたり、相談したりすることが常態化すると、かえって問題そのものが悪化する、というケースもよくみかけます。
分かってくれる人がいればいるほど、わかってくれない本人のことが嫌になってきて、どんどん距離を空けていく…こんなことが良く起こるなあと思っています。
その仕事や関係性が続くのであれば、根本の問題、つまり本人と会話しないと、前には進まない。でも、1人で立ち向かい、乗り越えていくのは勇気と体力と精神力が必要です。相談を受けた方はぜひ、話を聞きつつ、本人の様子を見ながら、問題に立ち向かえるよう、背中を押してあげてください。
ちょっかいを出してくるAさん(架空)も時には役に立ちますが、一緒に立ち向かってくれるあなた(現実)がやっぱり、一番の助けになりますから。
あとがき
相手の気持ちを汲み取るとか、相手が言ってきている背景に、どんな力関係が働いているかに想いを馳せるとか、よく言われると思うのですが、問題が解消しました!という体験談、あまり聞かないんですよね(笑)
どんなヒトの、どんな場面にも聞く処方箋は僕にも出せないので、代わりに、僕自身が普段、どんな思考をして対人関係の問題を解決しているのかを書いてみました。
僕らしい仕事ってなんだろうって考えてみたとき、WEB制作とかプロジェクト運営とか、そういうことよりも、問題にぶちあたったときや、ヒトが抱える問題を紐解いているときの『思考法』だなあと感じたんですよね。
なので、さまざまな実際の場面に対して、自身がどのように思考したのかを書き起こしていくことが、仕事について再考し「働きなおす」ことに繋がるのではないかな、と。
ということで、思いついたときに、思考を言語化していこうと思います。
”大切にしたいことを大切にできること”を支援するフリーランスチーム「インブルとノンブル」として、WEB制作やプロマネをしています。いただいたサポートは、前に進もうと働く人たちの”休憩所”として不定期に開いている場「mochi.」の運営に使わせていただきます。