4月「身長160cm.体重88kgの私はこうやって痩せた」。

4月入学式。母親と一緒に高校の長い登り坂をあがる。両脇には満開の桜が咲き、自分達新入生を歓迎してくれているようだ。坂を登り切ったところにソフト部顧問の村田陽一先生が立っている。大きい声で挨拶をする。すると先生が近寄ってきて、帽子を取って一礼、母に挨拶をする。その瞬間ピカッと輝く額に驚いた。その時、初めて先生が帽子を取ったところを見たからだ。そして、先生は母に
「お母さん始めまして。ソフトボール部顧問の村田です。私は、3ヶ月で娘さんを20kgは痩せさせますんで。期待しておいてください」。
そういうと、笑顔で私の肩を力強くたたき私たちとは反対側に歩いて行ってしまった。母も私もポカンとしている。唯一言えるのは、人が気持ちよく桜並木を歩いているのになんて熱苦しい人だと思った。そして、3ヶ月で私は何をされるんだ!!恐怖でしょうがない。が、次の瞬間その恐怖が一気に消えた。前から走り寄ってきたその人は、溢れんばかりの眩しい笑顔で私の両手を握り、「やっちゃん!一緒にソフトがんばろうね!」と言った。その後、私の母に挨拶をして部室の方へ走り去っていく。堀友美先輩だ。人前で恥ずかしげもなく両手を握りしっかり目を見て話す。気持ちを真っ直ぐ表現してくれる。私の憧れた人はそれを難なくできてしまう人だった。私は少し照れた。しかし、もっと好きになった。がんばろうと思えた。

ソフトボールは野球と似た球技。野球から派生したスポーツであるが、野球とは投球方法、競技場の規定、使用球、ルールなどが大きく異なっている。野球と比較して狭い土地でも行うことができる。日本では「塁球(るいきゅう)」とも呼ばれる。
私は、ソフトボール部に入ったんだよな、、、。ここは陸上部じゃないよな、、、。そう感じ始めたのは4月も下旬に差し掛かった頃のことだ。高校生になり2週間ちょっと。私は部活中一回もボールを触っていない。そりゃぁ、部活の始まる前の準備と終わってからの片付けの時は触る。だが、それだけだ。練習中は一切ボールを触っていない。どういうことかと言うと、、。まず、練習前にグラウンドを10周。その後体操からの外周と呼ばれる5km走。その後、グラウンドに戻りランメニューと呼ばれる20mくらいの間をもも上げしたりスキップしたり数種類こなす。そして、ランメニューが終わればみんなはキャッチボールが始まるが、私はそこから志賀スペシャルというものが始まる。
①グラウンド横の坂を坂ダッシュ×10
②ラダー10種×2本づつ
③アゲイン5km走
平日はここまで
土日は上記までし終わり昼食後
みんなで学校近くの海まで走る(約5kg)。海を見ながら浜ダッシュ
そして、5kg走り学校へ戻りベースランニング、略してベーラン。
毎日毎日走って走って走って走る。死ねる。
私の練習を見て、監督は笑顔を浮かべている。鬼めーー。甘かった。あの時(入学式)のあの言葉はこれを意味してたのかぁぁぁぁ。
しかし、成果はでた。普通にというか、がっちりおデブ体系からがっしりスポーツマン体系へ変わっていった。そして、後々のことだが私は3ヶ月で28kg痩せ60kgになった。そして、身長も高校生の間に7cm伸び167cmになった。監督のドヤ顔は今でも覚えている。気に食わないが痩せて嬉しいこともあった。5km走が前より楽になった。
こうして私は痩せた。とても健康的に。努力は裏切らないことを知った。
さて、時を入部して1ヶ月した頃に戻そう。
陸上部をすること3週間。鬼監督から「そろそろみんなに合流しよう」と有り難い指令が降った。その日は、ソフトができる有り難みが身体中をかけめぐった。少しのブランク、暴投は今日だけご愛敬。思いっきりソフトを楽しんだ。ははははは。「志賀!!気ー抜いてるとまた志賀スペシャルに戻すからな!!!」我に帰る。(いやだ)真面目にしよう。

その日の練習終わり、監督の長い長い話の後、5月の連休に遠征に行くという話が出た。

次回
5月遠征
「全国レベル」

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