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堺市議会が開会しました 令和5年度予算と財政危機宣言について解説します

明日(2/16)より、堺市議会第一回定例会本会議で大綱質疑が行われます。今議会は令和5年度堺市当初予算を審議する重要な議会です。まずは3日間の日程で各会派から質問が行われる予定です。

さて今年度の堺市予算ですが、前年度以前から比べて最も大きな変化は、令和3年に発した「財政危機宣言」を解除し、延期していた保育料無償化などを突如復活させてきたことでしょう。

令和元年にスタートした永藤堺市政の運営方針は、端的にいうと「超緊縮財政」でした。保育料無償化の無期延期や保育士の処遇改善補助金の減額、高齢者のおでかけ支援の一部廃止、泉北高速鉄道の通学定期購入補助の廃止、放課後学習支援「堺マイスタディ」事業の廃止、自治会への補助金減額などを矢継ぎ早に打ち出し、維新の会が掲げる看板政策「身を切る改革」を、コロナ禍や物価高騰で苦しむ市民に対して突きつけました。

私は経済が停滞しているときこそ、自治体は市民から預かった税金を効率的かつ効果的に社会に還元するべきだと思いますが、現堺市政は「市民の身を切る改革」で歳出を絞り、予算を使い残し、それを基金(貯金)に積み増したのです。
財政の役割は、人々の生活がしんどいときには積極的に歳出を増やし、景気が回復したときには不景気に備えるというのが原則です。堺市は、なぜコロナ禍や物価高騰の中、国も特別な対策予算を手当てしたにも関わらず、市民の身を削りにかかったのでしょうか。私には全く理解できませんでした。

堺市はその理由を「財政危機」だと説明しました。しかしこの財政危機も「でっち上げられた」ものであったと、私は断言します。

令和3年2月、唐突に“市長から”出された「財政危機宣言」ですが、それ以前、堺市の財政は決して悪いものではありませんでした。私も議員でしたのでよく理解していましたし、様々な客観的な指標を見ても堺市の財政が悪かったとは思えません。

堺市が毎年出しているIR資料(投資家向け情報)によると、令和元年度堺市財政は40年連続の黒字、収入に占める借金の割合を示す数値は良い方から全国政令市中5位、将来負担すべき借金の額も良い方から同3位、市民一人あたりの基金額も同8位です(翌年の資料では5位に浮上)。
これらの指標を元に民間の格付け会社は堺市の信用度を、横浜市や名古屋市や大阪市(R2)すら上回る「国内最高ランク」と認定しています。※堺市のIR情報は堺市のウェブサイトで確認できます。

財政危機宣言では「このままでは予算が組めなくなる」「基金が枯渇する」などと、まるで堺市が破綻寸前のような市民の不安を徹底的に煽る表現が並びました。しかし実際は、先に挙げた指標を示すまでもなくそんな状況ではありませんでした。事実を歪曲する堺市行政当局の姿勢に強い不信感を覚えます。誰の方を向いて行政をやっているのでしょうか。

加えて、財政危機宣言から解除に至るまでの過程が無茶苦茶です。
先に述べたように堺市財政危機宣言は令和3年2月に出されました。それを受けて市政集中改革室は令和3年10月に「財政危機脱却プラン(案)」を策定します。そしてその令和3年度を閉じた後の決算は、なんと71.7億円という大幅な黒字でした。財政危機宣言とその対策案を出した「その年」の決算が大幅な黒字だったのです。
そんなことが起こり得るわけがありません。事実、市政改革担当のトップは決算審査の議会で「脱却プランの本格実施は令和4年度からであり、令和3年度決算における収支改善の要因ではない」と答弁しています。
決算は年度が閉じてから半年後くらいに発表されるので、ぱっと見、1年半くらいの間が空いているような印象がありますが、実際はほとんんど対策が実行されなかったわずか「半年後」に黒字化し、決算が認定されてから「半年後」に危機宣言は解除されました。

下記にその時系列を図解にしました。

これを見れば、財政危機宣言が選挙に向けたでっちあげとマッチポンプによる茶番劇であったことがわかると思います。

気の毒なのはこんな茶番劇の影響で、0~2歳の保育料無償化を受けられなかったご家庭です。堺市は財政見込みを誤ったことを認めて、子育て中の保護者の皆さんに謝罪しても良いのではないでしょうか。

このような現実に対して「永藤市政は財政を建て直した!」などと喧伝することは、悪意のあるペテンを弄しているか、あるいは財政への理解を決定的に欠いてるかのどちらかでしかありません。
どちらにせよ恥ずべき行為であると思います。

私は前回の市長選挙で「子育て・教育予算を政令市一に」することを掲げました。しかし今の堺市は真逆の方向に進んでしまったようです。
余談になりますが、兵庫県明石市の子育て・教育政策が話題です。明石市は子育て・教育へを手厚くすることが生産年齢人口を呼び込み、経済を活性化し、町に活力をもたらすということを実際に示しました。私は議員時代に明石市の教育予算の配分について調べ、自民党会派(当時)の予算要望として堺市に提案しました。それが堺市で実現されなかったことが残念でなりません。
今後は、どうにかして改善がなされるよう私も様々な形で活動してまいりたいと思います。

さて冒頭述べたように、予算審議の議会がいよいよ始まります。議会は、代表質問、予算審査特別委員会、常任委員会、予算総括質疑を経て3月17日まで続きます。
議会が終わればすぐに堺市議会議員選挙です。そして6月には堺市長選挙が行われます。
市民の皆様方におかれましては、各議員、各会派がどのような質問をするのか、堺市当局がどのように答弁するのか、しっかりと見定めていただき、今後の参考にしていただきたいと思います。

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