【証券リテール向け】四季報の読み方
最新の四季報が、早ければ3月16日に届いております。
そこで、私が証券会社3年目の時に知っていたら、という四季報の読み方を紹介します。
また、証券リテールの方向けに「お客様(オーナー社長を想定)に伝えるとしたら」という観点で書きました。普段の営業活動に使えるような活用方法をイメージしております。
四季報1枚あるだけで、だいぶお客様との距離を縮めることが可能です。
なんなら、初回のアポは四季報だけでもよいのでは?
余計な会社説明や、募集物の投信のパンフをいきなり机に出しても興醒めするでしょうから、カバン持たず四季報片手にアポに挑んでも、パンチが効いてかわいがられるはずです。
さて、今回はPBR1倍割れ、アクティビストファンドが株主にいる、という企業を想定して四季報を見ていきます。
さっそくいきます。
まずD欄の【株主】を見ます。
ここでは
①オーナー系なのか、サラリーマン系なのかの確認
②外国人株主は何割保有しているか
③銀行、取引先は何割保有しているか
④アクティビストなどアクションを与えそうな株主はいないか
を確認します。
①オーナー系なのか、サラリーマン系なのかの確認
これは感覚的にわかると思います。筆頭株主に個人名や聞いたことがない会社がいればオーナー系、日本マスタートラストや日本カストディがいる場合はサラリーマン系と判断できます。以下、双方の特徴です。
オーナー系の特徴
・株価を上げればオーナー自身の資産も増えるので気合が違う
・リスクをとった事業戦略をとりやすい
・高齢の場合、相続税を意識して株価を上げたくないという動機も
・良くも悪くもワンマンなためガバナンスがオーナーに左右される
サラリーマン系の特徴
・株の保有比率が少なく株価を上げる動機がオーナー系よりは薄い
・サラリーマン社長はサラリーマンにとってのゴールになりやすい
・株主が分散しているため、外部株主としては意見が通りやすい
・名だたる大企業が多く、属人性が低くなり優秀な社員が多い
上記のようにどちらもメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いかはわかりません。
が、
・30代オーナー系は株価上げる気満々、高齢だとクエスチョン
・サラリーマン系にアクティビストファンドが入れば会社変わりやすいかも?
という推察ができます。
結論としては、
・30代オーナー系は社長自身の資産を築くためにも株価上げる気マンマン
(例→M&A総研、twostone&sons、PORT、エフコード、yutoriなど)
・高齢オーナー系は相続対策のために株価をできるだけ上げたくない
・サラリーマン系は特定の株主に偏っておらず、アクティビストの主張は通りやすい
・ただ、サラリーマン系は取引先、銀行などが会社側株主のケースも多く、株価の上昇より普段の取引を気にする株主が多いケースも。最近はそのような株主も手放すように
というふうに分けられると思います。
株主欄である程度その会社の雰囲気がわかり、お客様へもそのまま伝えてあげるとのちのちの話がスッと入りやすいと思います。
ちなみにこぼれ話をいくつか。
・立花証券はアクティビストが良く使う証券会社。
株主にいた場合、アクティビスト出現の可能性あるかも。
・光通信が株主にいる場合、企業に対してプレッシャーは少ないようだがアクティビストに転売する可能性あり(ジャフコの例)
・自社株はないものと考える(議決権無し)(知っている方には当たり前のことで恐縮ですがしばらく知りませんでした)
・Bloomberg、四季報オンライン有料版だと11位以下の株主も見れる
次はE欄の【株式・財務】を見ます。
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