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野依博士の教育への批判に「AIに勝つ!」が答える


ノーベル化学賞を受賞し、後に理研のトップとなって、たまたま小保方晴子さんの研究不正(創造ではなく剽窃だった)の会見を行った野依博士。
今回の下記インタビュー記事ではAIについての言及はありませんが、創造性の芽を摘むような教育の横行に本気で腹をたてておられます。その内容の多くが「AIに勝つ!」と重なります。https://amzn.to/2F13wFR

以下、野依博士の主張をひいてコメントしてまいります。

・教育は国家百年の計であり人類文明の存続と発展を左右する。     これは、長岡藩の米百俵(小泉元総理が復興させた言葉)を残して教育に投資し、現役世代が我慢するという考え方と軌を一にしています。ところが、現実には、それに逆行するようなことがまかり通り、子孫のための年金資産を食いつぶすような政治、行政が行われていたりすることが明らかになってきました。

・日本の教育の現状は、入学試験に合格するため、金持ちや権力者になるために行われている

 最近の日本人大学生の消極性、受け身的態度は、筆者も感じてました。とくに、中国人、インド人の現役学生が近くにいると、違いが際立ちます。留学志望者が30年前より激減しているようで、実際、ボストンや、LA、サンディエゴなどに日本人留学生の姿は少なくなっています。他流試合に臨み、苦労して本物の実力、独創性を身に着けるよりも、日本の既得権の中枢にすり寄り、忖度するほうが手っ取り早い、と意識的、無意識的に考えているのでしょうか。

・自分で深く考えずに、教科書に載っていることをそのまま鵜呑みにしてしまう。

 加えて、本を読まず、個別に検索してすぐに結論に飛びつくことで知識が断片化。「AIに勝つ!」で重要性を強調した「世界知識体系」が身に付かない。すると、「巨人の肩の上」から物事を俯瞰することができず、新しい概念、知見の理解に、優秀な中高年の何十倍も時間がかかってしまう。

 本を買ったら、良書であれば、その目次を熟読し、新しい知識構造を理解して自分の血肉としていくべし、です。

・感性と好奇心、反権力、反権威が必要

 必ずしも権力に逆らう必要はないですが、「すべてを疑う」ことは新発想を生むために必須です。権威も疑うべし、です。新発想を生む感性と好奇心は重要。そして、生まれたての新発想は全て仮説です。独り善がりにならず、全ての新発想をも疑ってかかる必要があります。

・好奇心を持って自ら問う力、考える力、答える力が落ちている

 やはり私が「人工知能が変える仕事の未来」以来再三主張しているように、鍵は、「なぜ?」と問う習慣を身に着けさせることでしょう。教師は「自分で調べてごらん」(これでも随分マシですが)ではなく、「(なぜそうなるのか、それが必要なのか)自分で考えてごらん」と生徒に問いましょう。40数年前、公立中学の数学教師に「なぜ?マイナスの数があるのか?」と質問した私に、「自分で考えてごらん」と金子先生は言いました。野依博士に訊いても、これは、理想の教育だったとおっしゃることでしょう。(回答や背景は「AIに勝つ!」の中にあります)

・日本の教育から「考える力」が落ちているのは社会全体を覆う効率主義、成果主義のせい

 生産性向上を目指すこと自体は悪いことではないし、定量的な成果を求めることで、人間のアウトプットは量的にも質的にも向上することがあります。しかし、手段を問わない、理由などどうでもいい、再現性など(自分達だけで成果を独占するために)無いほうがいい、などでは困ります。


・多様性の尊重を。日本は人の均質、均一化、画一性を求める傾向にあるが世界は多様性の時代になっている。

 ヘイトに象徴される排外主義、ポスト・トゥルース、フェイクニュースが跋扈し、自分と同様のものの見方、価値観の人の書いたものしか見ない。これは、世界的な傾向でもありますが、陸地で接する国境線のない日本では、その傾向が顕著であるともいえるでしょう。

・これでは海外の優秀人材も確保できない。

 まったくその通りですね。

・大学側も安易な形式的公平性を排し、責任を持って主観的判断で学生を教育、評価する時代になるべき

 教師が学生、生徒と対等目線で意見を戦わせるような教育現場のイメージを「AIに勝つ!」の最後のほうに書きました。




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メタデータ(株)の野村です。人工知能研究40年、WordNet活用研究への貢献から、言語学の深みを活かした自然言語処理応用で知識処理、文書分析、対話、要約を高度化へと研究開発を展開。産業、社会、行政、教育(特に芸術、人文科学)の様々な問題について、なぜ?と自問自答し続けています。
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