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見える孤独をあじわいたい

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代々木4丁目のマンションから八王子の雨漏りする平屋に移り住んだことで起こったこと、変わった暮らし、人生について。タイトルの「見える孤独をあじわいたい」は、漫画家|手相家の卯野たま…
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見える孤独をあじわいたい 05

year 1 八王子へ 2006年の秋に告白し、好きではないが付き合うことになったふたりは、喧嘩をよくしていた。言い合いは一度もない。一方的にぼくがポツポツと延々と吐露する、彼との関係の不安と不満を、という陰湿な喧嘩を当初はループするように繰り返していた。出口がないような感覚もあった。相性が悪いふたりのようであったと今は思うが、客観的に関係を眺める余裕はなく、終わりにしたいとは一度も思わず、とにかく前だけを、その場その場だけを見てきた私であった。彼がどうその関係世界を見て

見える孤独をあじわいたい 02

彼のことはわからない わからないからいいということはある。彼とは結局恋人となった。25歳の彼に30歳のわたしは、プロポーズするみたいに覚悟を決めて深夜3時とかにタクシーで中野坂上の彼の部屋を訪ね、詰問するみたいに告白をした。彼は9月の生まれで、乙女座で、彼と知り合って初めてのバースデーに親の自動車を借りてなぜだろう日光に宿をとった。車の運転は得意なほうかなと思っていたが何年か運転から離れていたのもあり、日光への高速で「危険!」という本気のクラクションを鳴らされものすごく恥ず