見える孤独をあじわいたい 05
year 1
八王子へ
2006年の秋に告白し、好きではないが付き合うことになったふたりは、喧嘩をよくしていた。言い合いは一度もない。一方的にぼくがポツポツと延々と吐露する、彼との関係の不安と不満を、という陰湿な喧嘩を当初はループするように繰り返していた。出口がないような感覚もあった。相性が悪いふたりのようであったと今は思うが、客観的に関係を眺める余裕はなく、終わりにしたいとは一度も思わず、とにかく前だけを、その場その場だけを見てきた私であった。彼がどうその関係世界を見て