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人生初のメイドカフェに行ってきたよの話


 タイトル通り、先日人生初のメイドカフェに行ってきたので、そのレポートみたいなものを書きたいと思います。記憶を頼りに書いているので、デティールが異なっているかもしれません。そして長いです。許してください。また、メイドカフェを楽しんでいる僕の描写がどうしてもキモく感じるかもしれません。これに関しては許す必要はありません。気が済むまで罵り倒してやってください。どうぞよろしくお願いします。




※ ※ ※




前日譚

 もともとそれなりのオタク気質があり、東京にも住んでいるので、「人生で1度くらいはアキバのメイドカフェに行ってみたいなあ」という思いはあった。そんななか、毎週愛聴しているネットラジオ『匿名ラジオ』にて、初めてメイドカフェに行った体験談を語るという回が最近配信された(ちなみにこの回の後半では、パーソナリティが逆立ちでオシッコすることに挑戦していた。なんだこのラジオ)。それを聴いた僕は「今だ。今こそ行くべきなんだ、メイドカフェ」と倒置法で思い、ついにメイドカフェに赴く覚悟を決めた。とはいえ単独で乗り込むのは些か不安だったので、同じラジオを聴いており、自分と同じくらいの温度のオタク度を持つ友人を誘うことに。友人もメイドカフェ未経験ながら行ってみたいと思っていたらしく、何なら僕以上の情熱でメイドカフェの候補をリサーチをしてくれた。「人間に恩返ししたいネコたちが、神が作ったカフェ内では人間の姿になれるため、そこでメイドとして働いている」という、設定を嚥下するのに水何杯飲めばいいのか分からないような店と迷ったものの、最終的に歴史があって王道を楽しめる某大手? メイドカフェに行くことにした。ここまでが前日譚。ここからが実際メイドカフェに行ったときの話。

 

帰宅

 帰宅と書いたが、別にメイドさんに門前払いされて自宅に帰ったとかそういうのではない。メイドカフェの客は客でなくご主人様なのであり、よってメイドカフェに入店することは入店でなく帰宅と呼ぶそうなので、こういうふうに書かせてもらった(ここら辺からどんどん気持ち悪くなってきます。気分が悪くなったらすぐに読むのを辞めて、温かい飲み物でも飲んで、早めに布団に入って下さい)。今回行ったメイドカフェは7階建てで、各フロアごとに勤めているメイドが異なるそうだが、この階のこのメイドとかは分からないし、7階ではポムポムプリンのコラボカフェがやっているらしいが、自分はポムポムプリンに対し「可愛さが1つの評価軸となるサンリオの世界において、大胆にも肛門を露出するスタイルを取った"攻め"のデザインのキャラクター」くらいの認識しか持ち合わせていなかったので、そのときに空いていた5階を選んで入店、いや、帰宅した。

 帰宅したのは日曜日の12時前とかで、すぐは無理だけどちょっと待てば入れるくらいの混み具合だった。まず驚いたのは、普通に男性スタッフがいたこと。あ、いるんだ。いや別に僕は全然いいんですけど、コンセプト的に大丈夫なんですか? というか、メイドカフェで働く男ってめちゃめちゃ羨ましいな。前世でどれだけの徳を積んだんだよ。ただ男性スタッフは入口にて基本的な説明なんかをざっとしただけで、席案内からはメイドさんが応対してくれた。席に着くと、初来店であることを確かめられたのち(正確には「ご主人様は久々のご帰宅なため、メイドカフェについて色々忘れちゃってるかもしれませんね?」みたいな感じのことを言われた)、会員カードを貰う。このカードは「ご主人様の普段の行いが他のご主人様の規範たると認定されたため発行された」らしい。真面目に生きてきて良かった。カードの「○○ご主人様」という欄に、メイドさんが直々に名前を記入してくれるのだが、その名前がすなわち、自分がメイドさんに呼ばれる名前ということになる。僕は色々迷ったが、最終的に「のむにぃご主人様」と呼んでもらうことにした。僕の名字が野村で、さすがに兄属性とご主人様属性両方入れるのは強欲ではないかと悩んだのだが、メイドさんの「盛っちゃっていいと思います!」という力強い言葉に後押しされた。「のむにぃ」と記入してもらう際の、


「『い』はおっきい『い』ですか? それともちっちゃい『ぃ』ですか?」


「ちっちゃい『ぃ』で、お願いします」


というやり取りをしているときの自分のキモさはちゃんと自覚はしていたので、そこはどうか安心して欲しい。


注文

 カードのくだりが終わったあとは、メニューの説明をメイドさんが1から丁寧に説明してくれた。いつも吉野家とか日高屋とか茶色が基調のメニューばっか見てるので、黄色とかピンクとかのカラフルなメニューが目に痛い。結局単品を選ぶよりも、飲み物+食事+記念撮影orゲームのセットメニューの方がお得っぽいので、そっちを注文することに。飲み物は僕も友人もケミカルチックな色のドリンク、食事は僕がオムライス、友人がカレーで、二人ともメイドさんとの記念撮影を選択。僕はちゃんと"オムライス"じゃなく"ぴぴよぴよぴよ♪ ひよこさんライス"と言ったので、メイドさんから褒められた。やったね。友人もカレーのサブタイトルまでちゃんと言っていたのだが、メイドさんにリピートされてなくて寂しそうだった。

 また、出されたお冷はただの水じゃなく「カフェの地下深くにある萌えの泉から汲み上げた萌え萌えウォーター」らしい。試しに飲んでみたら仄かにレモンの風味がして、完全にラーメン屋の水の味で笑ってしまった。ラーメン屋の地下にも萌えの泉があんのか?


ドリンク

 2人が注文したドリンクは、シェイカーに入ったドリンクをメイドさんが振ることで、鮮やかな色に変化するというものだった。メイドさんがシェイクする際に魔法を唱えるのだが、「ご主人様たちも一緒に魔法を唱えてください!」とお願いされてしまった。「魔法はメイドさんだけでよくない? 僕らオタクも魔法唱えちゃったら、何か変なカスとか沈殿しちゃうんじゃないの?」と思ったけど、斜に構えるのは最悪、こういうのもメイドカフェの醍醐味なんだから直球で楽しまねば、と恥をかなぐり捨て全力で魔法を詠唱した(ぶりっ子ポーズみたいな振り付けつき)。シェイク後グラスに注がれたドリンクは、友人のものは透明感のあるグリーン、僕のドリンクは鮮やかなピンクになっていた。そのあとメイドさんは「ご主人様ごとに色が変わるんですよ~」と言っていたのだが、そのとき僕は我慢できずに「HUNTER×HUNTERの水見式みたいですね」と一発かましてしまった。やっぱりさほどウケなかった。だから妙なマネはするなって言ったのに……

 

食事

 先に届いた友人のカレーもまた、魔法を込めたら色がピンク色に変化するとのこと。僕も巻き添えでメイドさんと一緒に萌え萌えな魔法を唱えたのち、「……でも本当にこんなのでカレーの色が変わるんですか?」と言った。察しの良い方なら気づくだろうが、僕は明石家さんまがよくやる「こんなん美味いわけ……あっ、ホンマや」みたいな感じで、「まさか本当に色が変わってるわけ……うわぁホンマに変わっとりますやんおったまげ~!」みたいな茶番劇をやりたかったのである。しかし僕の発言を聞いたメイドさんは、


「……もし変わってるか不安だったら、もう一回魔法唱えておきますか?」


 と返してきやがった。ボケ殺し。恥ずかしくなった僕はちっちゃい声で「ア、ハイ」と言い、結局もう1回魔法を唱えるハメになってしまった。確かに先ほど、メイドカフェでイキッた行為・発言をするのは最悪だみたいな話をしたし、水見式のくだりは僕が完全に悪いけど、これに関して言えばメイドさん側にも非があると思う。皆さんはどうお思いますか?


 その後、僕の注文したオムライス、いや"ぴぴよぴよ♪ ひよこさんライス"が運ばれてきた。このオムライスにはメイドカフェであるあるの、メイドさんにケチャップで絵を描いてもらうやつができる。『匿名ラジオ』ではぐるぐるの線やあいうえおを描いてもらって、"文房具屋の試し書きオムライス"にしていたが、流石にそんな尖ったことは凡人には出来ないので、メイドさんおすすめというひよこの絵を描いてもらった。可愛らしい絵でよかったんだけど、2つの意味でひよっちゃいましたかね、なんつってね(笑)


 ちなみに友人は何故かルーをかける前の状態を写真に撮っていたので、ピンク色のカレーってことが全然残せていなくて後悔していた。愚かなり。


記念撮影

 記念撮影はこっちからメイドを指名するシステムになっている。あらかじめメイド一覧アルバムみたいなのを渡されるわけだが、写真の画質もそんな良くなく、別でプロフィールが書いてあるわけでもないので、写真に書かれたメイド本人のものだと思われる落書きからパーソナリティを読み取ろうとした。しかし、あまりにも情報量が少なすぎる。「アイドルが好きです」みたいなのはかなり情報が詰まっている方で、「5Fの全力デーモン」みたいな落書きから、いったい何が分かれというのだろうか? なんでデビルじゃなくてデーモンなの? 上位種ってこと?

 実際に会ったことのないメイドさんを指名する勇気もないので、1番最初に応対してくれたメイドさんを指名して写真撮影することにした。「のむにぃご主人様」と呼ばれ、店の奥のステージみたいな場所で撮影が行われる。ポーズどうしようかさんざん悩んでいたのだが、メイドさんから「ハートかうさぎさんかネコさん、どのポーズで撮りますか?」と言われ、ああそっちで指定してくるのね、と半分安心、半分がっかり。あと写真を撮る前に「ネコ耳かうさ耳、どっちつけますか?」と言われてうさ耳を選んだんだけど、それは僕がつけるものだったらしく、メイドさんはつけてなかった。辱められているのか僕は? 総じてメイドカフェは「それ俺が(も)やるの!?」と内心でツッコんだ回数が多かった。

 

出発

 メイドカフェにおいて客は客でなくご主人様なのであり、よって退店することも退店ではなく出発と呼ぶそうだ。席に着いて1時間で出発しなくてはならないルールなので、記念撮影を終えてからは時間になるまで店内を見回して時間を潰すことに。見た目30代~40代の男性が多く、20代前半の僕たちはかなり若めっぽかった。あと結構クールな人が多くて、何なら自分たちが1番全力投球でメイドさんに立ち向かっていた気がする。あとはちらほら女性のご主人様やカップル? のご主人様もいて、メイドさんの話によれば外国人のご主人様も結構来るそうだ。天井の換気扇? が萌え萌え空間に似つかわしくない無骨なものだったのでウケていたり、カウンター席もあったのでそこでイヤホンしながら飯だけ食ってすぐ帰ったら面白いかな、いやそれは流石にコキ過ぎでしょ、みたいな話をしていると、「今日お誕生日のご主人様がいらっしゃいますので、皆でお祝いしましょう!」とのアナウンスが。先ほどのステージに誕生日のご主人様が登壇して、店内のメイド全員に囲まれ、ケーキを持ちながら記念撮影をしていた。流石に誕生日にメイドカフェに行く勇気はないなあ、と思いつつも、午前中は風邪で寝込み、午後なんとか回復した体で1人でびっくりドンキーに行き、ハンバーグとパフェを頼んだ僕の誕生日に比べれば100倍楽しいんだろうなあ、と感じ入った。あの時のパフェ、何故かちょっぴりしょっぱかったな。

 先ほどの記念撮影の写真は、メイドさんに落書きしてもらったうえで受け取ることができる。写真のメイドさんは可愛らしかったが、だからこそ隣のうさ耳男が本当に邪魔だと腹が立った。そうこうしているうちに時間になり、テーブルに伝票が置かれる。入場料とドリンク+食事+記念撮影のコースで3000円くらいだったかな? これが高く感じるか安く感じるかは、実際にメイドカフェに行き、どれだけ楽しむことができたか、それによって大きく変わると思う。ただ僕は料金云々より、伝票に書いてある"新規男性2名"の表示に文句を言わせていただきたい。せめて店を出るまでは夢の中でいさせてくれ、ご主人様でいさせてくれよ……

 あと出発という体なので退店の際はメイドさんに「行ってらっしゃいませ」と言われるわけですが、どう返すのが正解なんですかね? 「行ってきます」って答えるの、なんかキモくないですか? キモかったから言わなかったという話ではなく、言った後にキモくねえかと思ったという話です。くりぃむしちゅ~の上田晋也は「帰りは遅くなる」と返す(正確には、「俺ならこう言うね」だったかな? ラジオで言ってた気がする)らしいです。さっすが上田さん、かっこいいですね。自分もいつかは使ってみたいな……




※ ※ ※




 とりあえず以上が、人生初のメイド喫茶に行ってきたレポートです。感想としてまず思ったのは、予想以上にご主人様側のコミュ力が要る、ということ。メイドさんはとにかくフレンドリーに話しかけてくるタイプのコミュニケーションを取ってきて、相手の巧みな話術に乗せられて自然と会話が進む、という感じではありません。なのでこっちも頑張って話さないと、会話が上手くいってないように感じてしまうかも。だからといって、「どこ出身?」みたいな普通の会話をするのもなかなか難しいです。「何歳?」って聞いたら「永遠の17歳です!」って返ってきますからね。相手が野郎なら頭ぶっ叩いて終わりなんですが、メイドだとそうはいかない。言ってしまえばご主人様とメイドという関係性は巨大な茶番劇なので、そこに全乗っかりする思い切りが無いと、メイドカフェを100%楽しむことはできないのでしょうね。ツッコミの立場をとって茶番劇をシニカルな視点で見て面白がる、というのも楽しみ方の1つかもしれませんが、メイドカフェに来たからにはその方法はちょっと違うんじゃないかなあと思います。まあ言うて僕も恥ずかしさからちょっと引いた視点で見ようとしていた瞬間はあって、そこは反省すべきところです。

 でもなんだかんだいってメイドさんは可愛らしかったです。そういえばメイドカフェに行く前「メイドさんのコスプレ感すごすぎて馴染めなかったらどうしよう」とか思ってたんですが、実際にはそんな違和感全然ありませんでしたね。見た目もそうですけど、愛嬌があるので可愛さ100倍、って感じでした。すごい明るく、肯定的な態度で接してくれるので。もし中学生の僕がそんな態度取られてたら絶対勘違いしてたでしょうね。友達にこっそり「ここだけの話……○○って俺のこと好きなんだと思う」とか自慢して、マジかよ告られたらどうすんだよとか言われたら「まあ……ナシじゃあないよな」みたいな100億%アリなのに格好つけて偉そうなこと言って、でもバレンタインデーに普通に他の男子にチョコあげてるのを知っちゃって、周りにはノーダメ装いつつも家帰ってマジ凹みする、みたいな。想像しただけで切なくなってきましたね。幸い現実の僕は勘違いするほど女子とコミュニケーションを取った記憶がないので、そんな哀しい思いは経験せずに済んでいます。言うほど幸いか?


 書きたいことがたくさんあったのでかなり取っ散らかってしまいましたが、とりあえずこれで僕の人生初のメイドカフェに行ってきたよの話は終わりです。日常ではなかなか味わえないような経験や感情を獲得することができたので、行ってみて良かったのかなと思います。興味があれば皆さんも行ってみるといいかもしれません。そのときは一切の恥を捨て、ご主人様になりきって思いきり楽しむことをオヌヌメします。




 以上、全国のご主人様の規範、のむにぃご主人様がお送りしました。それでは皆さん、さようなら。







 帰りは遅くなる。






 

 

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