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相互無償で撮影してもらった写真は自由に使えるか?

20代の女性から相談を受けました。
相互無償で、カメラマンさんに撮影してもらった自身の写真を、生写真(ブロマイド)などグッズとして販売するなどの商用利用して良いか?と言う趣旨です。
端的に言えば、そのカメラマンさんが「自由にどうぞ(無償の範囲)」と言ってくれれば何の問題もないのですが、著作権の観点から少し掘り下げてみます。
まず、「相互無償」って、何だろう?ってことから始めます。
一般的に、プロに写真を撮ってもらうと、お金を支払います。これを撮影料金としましょう。
また、カメラマンが人物(今回は20代の女性)を撮影するときには、その被写体となる女性にモデル料を払うのが一般的です。
この、撮影料金とモデル料を、お互い相殺する形で、お互いお金のやり取りは無しで、撮影をしましょうということだと考えられます。
撮影した写真(画像)は、カメラマンさんから、モデルとなった被写体さんにデータ等で送られ、それぞれで使いましょうと言うことになります。
おそらく、SNS等で投稿するなどの用途を想定していると思いますが、その撮影した写真をどこまで自由に使って良いか?そもそもその写真の権利(著作権)はどちらに帰属するのか?までは細かくやりとりしてないケースが多いのでは?と言う気がします。
さて、今回相談のあった課題、
この、細かく取り決めをせずに相互無償で撮影した時の写真の用途を決められるのは、カメラマン側であると言うことがポイントになります。
相互無償と言う言葉からは、どちらも完全対等のような印象を持ってしまいがちですが、撮影した写真の著作権はカメラマン側に帰属します。
つまり、カメラマン側が、写真の利用範囲を判断したり、その商用利用で得られる対価への権利主張もできる立場にあると言うことになります。
撮影時に、お互い明示的に合意した範囲を超えた用途については、被写体側は、著作権者であるカメラマンに改めて承諾を取る必要があると考えられます。
もし、この承諾を得ずに、被写体側が勝手に撮影写真をグッズとして販売した場合、カメラマン側から訴えらるリスクが発生します。
(もちろん、これは著作権法の観点であり、カメラマンさんが気にしなければ、そのまま何も起こらないことも十分あり得ます。)
そのため、撮影時に明確に確認した用途以外に、写真を使用する場合、特に商用利用の場合は、カメラマンさんに、相談して何らかの承諾を得ることが重要になって来ます。その際、契約書面までは必須ではありませんが、いざと言う時に確認できる証跡としてDM等で残しておくことは必須です。
商用利用〜つまり、撮ってもらった写真で儲けること〜の場合は、その儲けの一部を著作権者に還元すると言う考え方が発生します。
これも、カメラマンさん次第なのですが、権利主張されてしまうと、法的には、被写体側の立場は弱いのです。
では、いくらぐらい還元すれば良いのか?と言う話になりますが、これは全くのケースバイケースになります。
商用利用の権利をまるっと買い取ってしまう考え方もあるでしょうし、儲けた分の一部をライセンス料のように実績ベースで精算する考え方もあるでしょう。
儲けた分の一部と考える場合、数量がごくわずかなら、やや多めの還元になるでしょうし、数量が非常に多いなら、CDの著作権料のように数パーセント程度が適切かもしれません。

ここで、整理してみると、
相互無償で、撮影した写真は、その利用範囲や権利を具体的に定義して合意しない限り、カメラマンに著作権があり、具体的に定義していない用途については、カメラマンの承諾を得る必要があると言うことです。

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著作者:Freepik

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