またはじまるために

2022年の7/23から8/10まで、僕はソロでの活動を始めてからはじめて活動を休止した。


正直かなり追い詰められていた。


いまあの当時を思い返すと
(といってもそれはつい先々月のことなのだが)

我ながらヤバかったと思う。


何に追い詰められていたのかは決して言わないけれど。




僕が幸運だったのは

「休みたい」

とそう言ったときに

「休んでいいよ」

と笑って言ってくれる人たちが近くにいてくれたことだ。


僕はその優しさに甘えられるだけ甘えて、休もうと思った。


どこからをソロ活動の始まりと呼ぶのかさえ疑問だ。

ピアノズというバンドを脱退した日をソロのはじまりというのならもう12年。

あれだけ触れもしなかったギターに、思い出したようにふと手を伸ばして新曲を書き上げた日からなら7年くらい。

本格的にギター&ボーカルとして人前に出たのは2019年10月のエマージェンザ予選。

勢いだけで岡山から上京してからは2年半。


とにもかくも

初めて設けた「活動休止期間」

結論から言うと、本当に休んでよかったと思う。


この活動休止期間の出来事をいくつか抜粋して記してみる。


1.ギター


初めての活動休止。

僕がまずやったことといえばギター(笑)


「活動休止じゃねーじゃんよ!」

そんなツッコミが入ってもおかしくない。

でも僕はゆっくりとギターが弾きたかった。

これまでだってゆっくりとギターを弾く時間がなかったわけじゃないし
(もちろん実際に弾いてたし)

でもこれまではやっぱり物理的にも精神的にも(ギター以外の)常に他の何かに追われていた。


言い換えると、これまでの活動において僕は

「ギター以外は素人」

だったということだ。

これからもいろんなことに悪戦苦闘するだろう(笑)
(最近ようやくTikTokというものを理解してきた)


まあ特にこの2年半はそうやってギター以外のことに注力せざるを得ない日々だったから、

日曜の晴れた朝にコーヒーを淹れて、部屋の椅子に腰掛けてゆっくりと確かめるようにギターを弾いて・・。

そんな時間は久しぶりだった。

そして思った。


「ギターは楽しい。
 音楽は楽しい。
 それは何ひとつ変わらない」

「音楽活動」の「音楽以外の部分」に少し疲れただけ。

そのことに気づけたのは本当に大きかった。

だから僕はまたちゃんと活動に戻ってこれる。


そう確信できたから、この活動休止を思いっきり楽しもうと思えた。


2.ニュートラルな身体へ


「活動休止」というくらいだ。
ベッドで横になりゴロゴロする時間も増えた。

当たり前だがそのぶん身体は楽になっていった。

身体が楽な状態なんてとうに忘れてしまっていたから、力んでいる状態が通常の状態になってしまっていたのだ。

そして歌ってみた。
とても楽しかった。

身体がいっぱいいっぱいの状態のときにはもう、振り絞って声を出すしかなかった。

ようやく身体がニュートラルな状態に戻り、声もこれまでよりはるかに楽に出たことで、

「これまでやってきたことはちゃんとこの身体に蓄積されているのだ」

と実感出来たときに

僕はシンガーとしてのこれからの未来もきちんと描けるようになった。


3.エンタメ


本当にひさしぶりに漫画を読んだり、映画やアニメを観たりもした。

これまでもたまに適当に映画やアニメを再生してみたりはしていたのだけれど、どうにも億劫ですぐに止めてしまっていた。

感受性が落ちてしまっていたのだろう。

無意識にシャットアウトしていたのかもしれない。

本当に久しぶりにいろんなことを忘れて泣いて笑って、作品の世界に入り込んだ。

まるで自分もその世界の住人になったかのようなあの感覚。

「なぜあなたはエンターテインメントが好きなのですか?」

もし聞かれたなら、そんな感覚がとても気持ちいいからだ。


だからもっともっと、自分自身の音楽の世界にも入り込んでいこうと思う。

僕より上手い人などいくらでもいるけれど、僕が作品の中で描く世界はここにしかない。


4.学生時代の先輩


ある日大学時代の先輩に飲みに連れて行ってもらった。

会うのなんてもう10年以上ぶりだろう。

その先輩がふと僕のことを思い出して、SNSで僕のことを調べたらその先輩の家のすぐ近くに僕も住んでいたのだ(笑)

ひさしぶりにただの後輩に戻れた。

なぜこのタイミングで再び僕の前に現れてくれたのだろう?

でも振り返ればその先輩に限らず、いつも苦しい時に先輩たちはふと呑みに誘ってくれてたりしていた気がする。

知ってか知らずかはわからないけれど。


5.一流ミュージシャン


ある日僕はとあるギタリストの公演を見に出かけた。

何の気なしに調べてみたら、ちょうどその日近くでライブがあるらしかった。

引き寄せられるように、僕は会場へ向かった。

日本を代表するギタリストだ。

もちろん半端なく上手い。

そしてこちらがビックリするくらい楽しそうにギターを弾いているのだ。


もちろんギタリストだけでなく、バンド全体が楽しんでいた。

音楽を楽しみ尽くしているのだ。

盛大に語弊があるが、例えば女子高生のグループとかがファミレスとかで楽しそうにキャッキャとはしゃいでいると、なんだかこっちまで楽しくなってしまうことがある。

でも彼女たちは別に誰かに向けてパフォーマンスしているわけではなくて、純粋に楽しくおしゃべりしているだけなのだ。


それをミュージシャンたちが「音」でそれをやっている。

楽しんでいる姿に魅せられて、こちらも楽しくなる。


インストゥルメンタルのフュージョンだからというのもあるのだろうが、いわゆる「ショー」を見るのとはまた違った楽しさがあった。


そう、楽しめばいいのだ。
ただひたすらに。



6.そして復帰へ


3週間の活動休止。
そこからスロースタートで活動の続きに着手し始めた。

復帰第一弾となるライブは渋谷ズンチャカ!というボランティアで開催されるお祭りだった。

メイン会場の野外ステージの選考には漏れたものの、地域とのコラボ企画としての屋内ステージが新設され、そちらへの出演の打診があったというわけだ。

「YouTubeで聴いていました。今日生で聴けるの嬉しいです」

リハーサルと本番のわずかな空き時間に、スタッフの女の子がそう声をかけてくれた。

手塩にかけた作品が、自分の知らない間にきちんと届くべき人に届いていて、そして生の声で「好きだ」と言ってもらえたこと。

必要とされて、この舞台に呼んでもらえたこと。

それが僕は本当に嬉しかった。


当日のセットリストは悩んだ末決めた。

人によると思うのだが自身で作った曲の中でも「どうにも苦手な曲」というのがある。

これは好き嫌いとか思い入れとかとは別のところで、歌唱において今の自分が苦手とする要素が比較的多く詰まっている、ということだ。

そしておんなじくらいに
「この曲を歌いたい」

という気持ちがあったから、せっかくの復帰第一弾だし、もしうまく歌えなくてもその自分も受け入れたらいい。

いつかちゃんと歌えるようになるから。

少しばかりの勇気を出して、
僕はある「大切な曲」を演奏した。

結論として、やってよかった。
やれてよかった。

そしてそれはこのお客さんたち、この会場、このスタッフさんたちあってのことだと、心からそう思っている。



そして僕はまた走り出そうと思う。

実は心の何処かで、もう無理のない労力と範囲で続けていけばそれでいいんじゃないかと、そう語りかけるもうひとりの自分だっていた。

それも決して間違いではないし、そちらの方が賢いだろう。

それでもやっぱりまた走り出そうと思う。

こう言っては何だが今はもう走っているという感覚さえないのだ。

「ダイエットのために走らなきゃ!」

ではなくて、

「気持ちがいいからジョギングしてるんだよね~」

という感覚に今は近い。



期間にしてわずか3週間の活動休止。
本当に休んでよかった。

とても晴れやかだ。

大好きだ。
たぶん前よりもずっと。



ぜひ10/10、中目黒spark joyで開催の生誕祭フリーライブでお会いしましょう!





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