「レンポは、日銀の金融緩和を支持し、連帯保証解除を推奨します」
米連邦預金保険公社(FDIC)は3月10日、カリフォルニア州を拠点のシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、すべての預金を管理下に置き、米金融システムの健全性に対する不安を抑え込むため預金を全額保護するとともに通常より緩やかな条件で銀行に貸し付ける「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」を設定すると発表した。
SVBは総資産約2090億ドル(約28兆円)、総預金1754億ドル(いずれも2022年12月末時点)で、米国で16番目に大きい銀行であり、2008年の金融危機時のワシントン・ミューチュアル以来の規模の破綻となった。
SVBの持ち株会社のSVBフィナンシャルグループは8日に210億ドル相当の有価証券を売却して18億ドルの損失を出し、経営危機を回避するために22億5000万ドルの増資計画を発表したが、取り付け騒ぎに見舞われたSVBを救済する金融機関は現れず、10日にFDICが管理下に置いた。
既に8日に暗号資産に特化したシルバーゲート銀行が破綻しており、9日はファースト・リパブリック株が74%急落したが、10日には全米最大級の銀行の株価は上昇に転じている。
米国の銀行は多額の資金を米国債や他の債券に投じているが、米連邦準備制度(FRB)がインフレ抑制のために急ピッチで金利を引き上げる中で、債券価格は下落し、SVBも含み損を抱えていた。
原題:Gundlach, Ackman Weigh Fed’s US Bank Rescue Impact on Markets(抜粋)
国内に於いては、日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和継続」政策の維持により、消費者物価(除く生鮮食品)は前年比4%程度の上昇だが、インフレ抑制のための金利引き上げはない。
10日の金融政策決定会合で黒田総裁は「金融政策は成功だった」と述べるなど、当面の金利引き上げも予定されていない。
仮に長期金利を1%引き上げると10年物の国債の価格は10円下がる(10年間1%の利息を得るから価格は額面100円に対し10円分下がる)ので、銀行などは100億円の保有国債の価値が90億円に下落する(つまり、銀行の業務純益が10億円なくなる=純損失にもなりうる)。
特にGDPに対する国債の発行量が多く、その保有先が銀行であることを考慮すると、国債の価値を下げるような「金利引き上げ」には慎重を期すべきであり、銀行が健全ならば中小企業に対する金融イジメは少ないはずだ。
ただし、2008年のようにアメリカ発の金融危機は全世界に波及したように、これを取り戻すのには10年単位の時間がかかる。
ようやくコロナの出口戦略を描けるように環境改善がすすんできた中小企業は、できるだけローリスク経営を実行すべきだと考える。
特に連帯保証の解除は政府が後押ししている。是非一考すべきだ。
令和5年3月14日 株式会社日本連帯保証解除協会 代表取締役村上光
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