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「労災マニア」の炎上加害を考える

今回は以下の件について考察します。
まるで実写版現場猫!?大阪の中村工業(垢削除済)が若手社員の実績の様に上げていた700枚もの写真が労災の聖地状態だった - Togetter

記事中で話題になっている企業は、現場での作業の様子を撮影した画像をTwitterの企業アカウントで投稿していましたが、安全管理上問題がある画像が多数掲載されていた為炎上、これを受けて企業アカウントが削除されたという経緯です。

この事案の炎上の経緯を見ている際に、私はある二つの言葉が気になりました。

アオイ・ニンジャさんはTwitterを使っています: 「冗談抜きでこの画面全てが現場猫案件のグラインダー現場猫ですら労災の尖兵というか、後に発掘された危険からしたら初級のザコみたいな扱いになったからな...怖いわ中村工業株式会社... https://t.co/X3PxWBFAcm」 / Twitter

オランさんはTwitterを使っています: 「中村工業ほんとに現場猫の聖地だなこれ… 労災マニアにはたまらんでしょこれ https://t.co/SEfQTeKW9Z」 / Twitter

「労災マニア」「現場猫案件」いずれも近年生まれた所謂「ネットスラング」と呼ばれる言葉です。
「現場猫案件」とは、杜撰な安全管理の元で行われている作業・業務
「労災マニア」はそういった事案がネットに上げられているのを好んで観察している人達、の事を指すのでしょう。

「現場猫」とはイラストレーターのくまみね氏によって生み出されたキャラクターです。(正式名は「仕事猫」)いい加減な仕事を適当に確認して適当に「ヨシ!」と言ってしまう安全帽を被った猫のキャラクターが人気となりました。現場猫案件はそこから発生したネットスラングと考えて間違いないでしょう。しかし、安全への配慮を欠いた杜撰な仕事にこのような独自の呼称をつけるメンタリティは「ユーモア」で看過してはならないものだと考えます。

こういった事案に批判的に言及する行為は、一見良識に基づくもののように見えますが、命に関わる危険をネタにし揶揄する姿勢には意地の悪さが伺えます。そこには常識を欠いている、と思った相手に対する明確な悪意があります。一種のマウンティングであると言えるでしょう。
私はこういった言動に対し「良識マウント」という名前を付けたいと思います。良識マウントはSNSにおいては頻繁に見られる、カジュアルに行われているネットハラスメントです。他人の非常識な振る舞いを非難・揶揄し炎上に加担する。炎上させる事自体悪意しかなく、そこに善意など皆無なのです。いくら良識に基づいていようが正当化できるものではありません。

勿論労働の現場において安全管理を疎かにするのは重大な問題です。労働者を安全に働かせる為に事故のリスクを限りなくゼロにする努力をすることは雇用者(企業)の義務です。その点において杜撰であったことは容認も擁護も出来ません。しかし当該企業が自ら公開した証拠となる画像があったのですから、速やかに労基に通報すればいいのです。娯楽として炎上させても何の意味もありません。仮に燃やされたことによって企業が安全管理に対する姿勢を改めたとしても、それは法治国家においては私刑という不当な手段であり決して認めることは出来ません。

ネットで論い、非難・揶揄・嘲笑するのはただの集団いじめです。これは偏に叩く側のメンタリティの問題ですので、相手が組織だろうがいじめであることに変わりありません。

非常識なものを見て腹が立った時の対処法

他者の非常識な言動や振る舞いをネット上で目にした時、それに対する批判や非難をネットに書き込むべきではありません。
それはカジュアルに炎上加害に加担する行為であると自覚しなければなりません。じゃあ腹が立つ言動を見かけたらどうしたらいいんだ!と憤る人も居ることでしょう。そういう時にすべき事は怒りの対象に対して何かを表明することではなく、自分の怒りに対処することなのです。

腹の立つ言動をSNSで見かけたときは、その場で最大限の罵倒を口に出せばいいのです。「クソが!」でも「ボケ!!」でも、何なら「ぶち殺すぞ!!」でも構いません。相手が目の前に居ない状況で、公然と発言するのではなく個人的に、独り言として言う分には「殺す」と言っても何の問題もありません。人格攻撃でも何でも言いたい事を言って構いません。どうせその気持ちの実態は敵意であり悪意です。それらしく取り繕う必要もありません。その場で一度口に出してそれで済ませてしまうのです。SNSに投稿して残してしまえば、それは独り言では済まない相手に対する加害行為となるのです。
ですからその場で口に出しましょう。そして指先にありったけの憎しみを込めて、その相手をブロックしましょう。そしてそれが済んだら一切忘れてしまうのです。ムカついた相手の発言も、その相手の存在ごと永久に記憶から消しましょう。それ以上怒りを引きずらないようにしましょう。それが最善にして唯一の対処法だと思って下さい。

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