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神霊と生きる。「いざなぎ流のかみ・かたち ー祈りを込めたヒトガタたちー」
横浜人形の家にて、「いざなぎ流のかみ・かたち ー祈りを込めたヒトガタたちー」を観てきました。
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高知県香美市 物部町に伝わる陰陽道・民間信仰であるいざなぎ流にまつわる展示。
いざなぎ流……
先に書いたように、かつての土佐国で独自に発展した、陰陽道の要素のある民間信仰。
太夫と呼ばれる神職が祭儀を執り行い、それを体系化して伝承してきたというものだ。
いざなぎ流の存在はこの展示を知ったことで初めて耳に(目に)したのだが、本物の御幣(ごへい)を見る機会だと思い足を運んだ。
というのも、昨年立った舞台『異説 東都電波塔〜陰陽奇譚』では蘆屋道満、土御門家の子孫、式神が登場。安倍晴明の名前も並び、「式を打つ」という演出が出てくるわけで(私は怪異側でしたけれども)。
(↑のリンク先で、初日公演の定点映像がフルで観られるのでご興味のある方は是非。東都電波塔を建てようとする職人たちの元に阻む怪異が祟る。それを阻止するために陰陽師の末裔がやってくるお話です。
紗幕あり、定点カメラなので見づらくはあるものの無料なので……。)
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その続編を演る今年、こうした式を見ることが出来るのはなんという巡り合わせ。
あのアニメの流行から、“呪術ブーム”を作ろうというムーブメントが起きているのは尊いことだ……。(それは悲鳴嶼さん)
しかしこのいざなぎ流、研究者に知られたのも1960年代、国重要無形文化財に指定されたのも1980年……と割と最近で驚く。
そして、
中世の京都で発展した陰陽師の家元である土御門家や賀茂朝臣氏とは歴史的な直接の関連性が確認されない状況が長らく続いたが、近年になって物部村の民家から土御門家による免許状が発見されたことで、江戸時代には土御門家から地方で独自発展した陰陽道の流れを汲む信仰と公認され、太夫も地方の民間陰陽師として認可されていた事は明らかとなった。
と、陰陽道との関連性が明らかとなったのも近年だという。
土御門家……
江戸時代に幕府のお墨付きを得ていた陰陽道宗家。
今回購入した本『いざなぎ流 祭文と儀礼』の冒頭にも、1999年3月、基本的には非公開のいざなぎ流の祭儀が初めて全面的に公開された……とあるからには、「知る人ぞ知る」だったのか。
ともあれ今回の展示はそれ自体は数多くはないものの、すべて撮影OK、そして実物の御幣(式王子・式神)や実際に使用する面も拝める。
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全部載せてしまうのは野暮なので、少しだけ。
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ドーマン(九字)とセーマン(五芒星)も
陰陽道、土御門との関わりがあるわけだから当たり前ではあるものの……
こうしてはっきりドーマンセーマンを見ると「おぉ」となる。
前述の舞台『異説 東都電波塔〜陰陽奇譚』も、生まれたきっかけというかテーマは「日本人の根底にあるプリミティブな祈り」というもの。
私を含め、日本人は無宗教の人が多いように感じるが、その分土着信仰・アニミズムを意識している人は多いだろう。
神社にお参りに行って御朱印を授かったり、初詣に行ったり、生活と地続きに神様が存在している。
山や水には神が、長く使った壺などにも魂が宿るという八百万の神が存在すると言われるくらい、特定の宗教を掲げるよりも、日々生きること生かされることへの感謝の念が強いのだろうか。
だからこそ、こうした神霊とともに存在してきた祈り、念、呪い(まじない)というものは、身近で面白いのかもしれない。
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「いざなぎ流のかみ・かたち ー祈りを込めたヒトガタたちー」は横浜人形の家にて7月21日(日)まで。
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