見出し画像

まさに感想「ふくらまくら」【ロングコートダディ単独ライブ】

「ふくらまくら」を観た。ロングコートダディの単独ライブは、観るたびに自分の性根が清らかになっていくのを感じる。

全国4箇所5公演と、これまでで1番規模の大きい単独ライブだ。あまりにも素敵な90分だったので、この単独ライブがたくさんの人の目に触れていると思うだけで嬉しくなってしまう。

感想といえばただただ面白くて面白くて、ほとんどはそれに尽きるのだけど、同時に言語化したくなるような感激もあったことは間違いない。

※ここからはネタバレになるので、配信未視聴の方は観てから読んでください。買うか迷っている人は、買うことを推奨します。

全体の感想

全体を通して、改めて噛みしめるのは「うまいことできてる」だけじゃないということ。伏線回収も円環構造も、全てを分からせてくる演出のバランスも最高だったけど、それを凌駕する面白さが先行してる。

世代ではなかったけど、関係なくめちゃくちゃ笑って引き込まれた1本目「居酒屋へ」。ずっと堂前さん先行で、それに兎さんが戸惑いながら応えるような形で歌っているのに、サビの最後で兎さんがリード側になる瞬間がたまらなかった。

そして夢の中だからなのか、「やりたくなっちゃうけど、現実じゃ絶対にやらないこと」が詰まってて超爽快だったのが「あくまで提案」

その日引っかかった相手の言動を帰宅後に電話で指摘するなんて、ちょっと過ったとしても絶対にやらないことだ。そして、それが「きっかけにすぎない」とこれまでに溜まってきたモノの存在を説明することも。「あくまで」の提案、面白すぎる。

謝罪が欲しいんじゃなくて、理解してほしいという要望が伝わらない感じからの埒の開かなさはリアリティともどかしさだらけ。だからこそ、あのオチは爽快に思ってしまった。「モンスターの目から見る人間はモンスターですからね」は私の好きな言葉ランキングTOP100にランクインしそう。

一方で「買う紳士」は後から考えると奇妙な夢としてのリアリティが半端じゃない。絶対ありえないのに、道のど真ん中で着替えちゃったりするよな、夢だと。「縫っちゃってるんすね」と0から3万になってびっくりしちゃう瞬間が面白すぎた。

そして「想像するけど絶対やらない」の極致が形となった「憎悪」。

「もし蹴ってしまったら、どうなっちゃうんだろう」は考えるかもしれないけど、あいつは実際に蹴っちゃってるから「もし蹴ってなかったら、どうなってたんだろう」を連呼してるの変すぎて、めちゃくちゃ笑った。そして終わりがここまでだって決まってるものが延びるのは、私も本当に無理。

「トラウマ旅」はめちゃくちゃ笑ったし、着眼点というか面白がるポイントがすごすぎる。種出してるだけなのに。

そして1番愛すべきキャラクターたちは「うるさいばかしね」の2人に決定。強く生きてきたヨウコさんの愛情表現がこればっかりになっちゃうの、可愛すぎる。救いのなさは伏線でもありながら、ハートフルに収まらないところは個人的にとても好みだった。

幕間Vたち

笑いすぎた。咄嗟にルーペに変換できるすごさと「バッククロージャー」が出るすごさ。ぷよぷよは甘くしなくて大丈夫。信じられないくらい森羅万象から選ばれてる「好きな言葉」たちに一応系統が見いだせてるの変すぎる。「有名な肉の塊」に1番笑った。きんちゃん、大東しょういくん、マユリカはとてもとても功労者。事故率が・すごく・低いんや!!!!

表題コント「ふくらまくら」

「現実見なきゃ」みたいなこと考えて勝手に視野を狭めた生活に、そればっかり言ってても楽しくないじゃんか、と手を引いてくれる「ふくらまくら」。「これまで、こうやって生きてきてるんで」の感じで生活しちゃってる自分に現実ビンタをくれてありがとう。

加えて、ここで思い出しておきたいのは、前回の単独ライブ「じごくトニック」では、「しんどいくらいがちょうどいい」と、現世で魂を鍛錬することの楽しさを提示してくれていたこと。

一見逆に見えるような考え方が自分の中に共存することも、それぞれのマインドに都合よく救いを求めてしまうことも許してもらえるような感覚があった。

拍手1つで夢の中を移動してゆくウカベさんが本物の能力者みたいに見えたのは、兎さん自身の無邪気な人間性があってこそだった気がしている。うまく走れないとこ、夢すぎる。

あと正直、ウカベさんがデブ論語るとこは、本当に書かれたセリフを言ってる感じがしなかった。演者の心の底から発されていたのでは???


これからもロングコートダディの2人が面白いと感じていることが落とし込まれたネタを、たくさん見ていたい。

そしてまた単独ライブなんかで、ネタにそっと織り込まれた考え方を垣間見たいというのが私の勝手な希望だ。たくさん笑って、勝手に救われとくので。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?