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美容師のアシスタント

週刊台本 #44  漫才

A:美容師ってかっこいいですけど、美容師のアシスタントって大変そうですよね
B:ああ、駆け出しのうちはいろいろ下回りして仕事の能力を見られますからね
A:ちょっとやってみたいんだけどいい?
B:ああ、今から美容師のアシスタントをやってくれるのね。じゃあそれ見とくわ

A:それでは、これからカットするんで、前失礼しますね〜
(A、お客さんにクロスをかけてあげる動き)
A:苦しくないですか?
B:あ、お客さんに前掛けみたいなのをかけてあげてね
A:あ、苦しくない?大丈夫なんですね。わかりました。では、もう少しキツくしておきますね
B:苦しくないちょっと前でやめておけよ!なんでそんなところでギリギリ攻めようとするんだよ
A:カットまで少々お待ちくださいね
(A、別のところへ移動)
B:いろいろ並行で仕事があるから大変ですね
A:シャンプー入ります
B:シャンプーのお客さんもいますから
(A、腰を引いて手を目一杯伸ばして顔をできる限り離して顔に布を置く動き)
B:人の顔に布をかけるのそんなに怖いか!?わからんでもないけど、そこまでビリビリボールペンみたいにはならないだろ
A:はあ…、できた…
B:そんな疲れる作業じゃないだろ
(A、別のところへ移動)
A:あ、大変申し訳ございません。長い間お待たせして申し訳ありません
B:ああ、みんな忙しいと待ち時間が生まれたりするからね
A:代わりになるかはわかりませんが、私が口でチョキチョキ言いましょうか?
B:何の足しになるんだよそれは。お前がチョキチョキって口で言うことで、どうお客さんは収めればいいんだよ
(A、別のところへ移動、ほうきで床を掃く動き)
A:あ…、えっとー…お客さんってシャンプーしましたっけ?
B:そんなことお客さんに直接聞くな
A:した記憶あります?
B:万が一わかんなくなったとしても他の美容師にこっそり聞くんだよそういうのは
A:ああー、忙しいけど少しの暇を縫って先輩のカットの技術を近くで見て盗もう
(A、別のところへ移動)
B:お、勉強熱心だね
A:うんうん…。へー、あ、先輩先輩、その話知ってますよ。でも、その話って実は続きがあって、その店員さんって言うのが……
B:美容師と客との会話の主導権勝手に奪うな!先輩のカットの技術盗むつもりじゃなかったのかよ
(A、端へ移動、全体に向かって叫ぶ感じで)
A:すいませーん!3番しに行ってきまーーーす!
B:トイレに行ってくるって全員にばれたぞ!折角番号で言ってんのに、何で全体に言うんだよ!あと「3番しに」って言うな、「3番行ってきます」とかって言うんだよ。「しに行ってきます」はおしっこ感が強くなってるから
(A、戻ってきて)
A:あ、先輩。はい、スタイリング剤ですね、すぐとってきます
(A、別のところへ移動)
A:あー、スタイリング剤って言われたけど、ムースかワックスか聞くの忘れたな…。ムースかワックスかどっちだろ…。あー、ちゃんと聞いてくればよかったな〜、どっちだろうな〜…………
B:……とりあえず両方持って行ったら!?そんなに時間使うんなら、2つなんだし、両方持って行ってみたら!?
A:よし、一旦戻って聞いてみよう
B:いや、一番仕事できないやつの選択じゃねえか

祈りましょう