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『世界同時演劇』一緒に作りませんか?


皆さん、初めまして!
ノーミーツの世界同時演劇『Lost and Found』プロデューサーの松本です。
6月21日にオーディションの募集が終了しました。どれだけの方にどれだけ届くのか、始まるまで正直不安でしたが、なんと14カ国の役者の方々からご応募頂くことになりました!
今回は、この場を借りつつ、僕自身の世界演劇への思いについて、話したいと思います。

たしかに一緒に時間を共有していたオンライン演劇

コロナ前、僕は映画会社で、海外との映画やアニメーションの共同制作の仕事をしていました。学生の時から、お金がたまったら海外にバックパックに行っていた自分にとって、月に1回は海外出張がある生活は大変でしたが、とても刺激的な生活でした。
2020年3月に緊急事態宣言が発令されて以降、そんな生活は様変わりし、海外どころか家からも出ない生活が続いていました。
そんな中で、ノーミーツの自主公演『門外不出モラトリアム』と『むこうのくに』を通じてオンライン演劇に出会った衝撃は、それはそれは大きなものでした。

演劇も映画も、何もかもが延期されている中で、一度も会わずに演劇を作っている人たちがいる。生配信だからこその手作り感のある演技を、見ている人もコメントで応援したり、自分自身の思いを語りながら一緒に「演じている」。何千人も見てるはずなのに、まるで小劇場のような近い距離感で、自分の気持ちを、かけがえのない時間を共有している感覚。
どれも、パソコンの中に流れる映像とは思えないほど、とても勇気を得られる体験でした。

こちらが、当時衝撃を受けて書きなぐったツイートです。このころから世界同時演劇をやりたい!というのが一つの強い思いになりました。

そこから主宰の林健太郎さんにお誘い頂き、実際にノーミーツのメンバーになったのが21年の春。いざ話してみると、ノーミーツのメンバーも海外に向けて作品を届けたい、という思いをそれぞれ持っていることがわかり、ここから海外企画への模索が始まりました。

失ってしまったものと、どうやっても無くならないもの

実際に進めることにはなったものの、どのような企画にするかは、メンバー一同非常に悩みました。PRムービーといった別の形式や、一つの地域に集中した展開なども模索しましたが、結果的に、まずはノーミーツの原点でもある「オンライン演劇」で挑戦しようということになりました。僕自身も感じていた、一体どの国・どの舞台と繋がっていくのだろうというわくわく感を一番演出できるものが、リアルタイムの芸術である演劇でしか演出できないなのではないかと思ったからです。

幸いなことに、文化庁メディア芸術クリエイター育成事業様より助成も頂くこともでき、無事企画を始めることができました。

そこから早1年。この企画が始まった時は、上演する頃にはコロナは収まって旅行も自由になって、国を超えたリモート演劇の需要はそもそもなくなってるかもしれないな、とも思っていました。
実際のところ、世界は決してそうはなっていません。去年より多少往来は増えたかもしれませんが、航空券は高く、コロナ前とは比較にならないほど贅沢な事になっています。そして、戦争など、コロナとは関係のない理由で、世界は以前よりもさらに引き裂かれてしまいました。

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(中国で実際に泊ったユースホステル。日本が好きで、実際に行った時の宝物が飾ってある、手作り感のあるホステルも、最早残っているか分かりません)

その間に、私達は余りにも多くのものを失ってしまいました。行きたかった場所や懐かしい場所かもしれません。留学やライブ、舞台や学校行事のような、一生に一度の思い出かもしれません。諍いや、或いは単純に会えない中で忘れてしまった、遠く離れた人との関係性かもしれません。
再び行き来ができるようになったとして、以前のままの自分でいられるのだろうか、何度もそう思いました。
ですが、そんな中でも失われずに残っている物はあるはずです。それを、オンライン演劇という、距離も国境も超えることのできる世界で、役者さんとお客さんとも一緒に探したい。
失ってしまったものと、どうやっても無くならないもの。それがこの作品「Lost and Found」のテーマです。

『Lost and Found』で大切にしたいこと

現在制作中の脚本ですが、その行き先は僕たちもまだ分かっていません。
「ユースホステルを切り盛りしていた主人公が、元旅人たちにいつかの忘れ物を届けようとする」という大筋はありますが、実際にどんな場所から、どんな演劇を送ることになるかを決めるのは、紛れもなくこのオーディションで選ばれる出演者の皆さんだからです。
それでも、こんな物語にしたい、という思いはあります。

1.リアルをできるだけ反映したい
この物語はフィクションです。ですが役者の皆さんはそれぞれの国で、日本に住んでいる僕たちとは違う経験をしてきている方たちです。
だからこそ、なるべく役者さんそれぞれの経験を取り込みながら、物語として面白いことは前提に、同時にそれぞれの場所で暮らしてきた役者さんの「今」が垣間見える。そんな話にしたいと思っています。

2.色々な人の選択を肯定したい
国境の閉ざされた今、国と国の狭間に生きる人たちは、戻るか戻らないか、決断をしなくてはいけませんでした。
母国に帰った人も、帰れず、或いはあえて帰らずに暮らしている人もいます。行きたい場所に行くことを諦めた人も、リスクを承知で向かった人もいます。
僕自身もそんな一人です。
この決断が本当によかったのか、今の時点では分からなくても、そんな一人ひとりの経験を共有し合いながら、肯定できる。そんな物語にしたいと思っています。

3.色々なシチュエーションで楽しめる劇にしたい。
今回の作品はオンラインでの無料配信、各国の字幕も表示できるよう機能を鋭意開発中です。
まだまだ模索中ではありますが、世界のどんな場所からでも見ることのできる作品だからこそ、演劇祭のような場所や、街のレストランのような場所でも、もちろんパソコンの前からでも、普通の舞台ではできない楽しみ方ができるような届け方をしたいと考えています。

一緒に楽しんでくれる方、募集中です


ここまで私の思いを語ってきましたが、実際のところ、まだまだ手探りの状態です。
越えないといけない技術的なハードルも多いですし、もっともっと世界の沢山の方に届いてほしいです。そして何より人が足りません。

もしこの記事を見られている方で、何か面白そうだから協力したいな...という方がいらっしゃいましたら、是非お声掛け頂けますと、感謝につきません...!

また、本企画の制作に関わって頂ける方も絶賛募集中です!もし興味がある方がいらっしゃいましたら、下記コンタクトフォームまでご連絡いただけますと幸いです。

一人旅のように先が見えない物語とその制作過程、皆さんと一緒に楽しんでいければと思います。


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