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平成の恋#19

不便が、愛しいなんて、おばさんになった証拠だなと思う。

今の高校生たちは、好きな人の家に電話して、お母さんが出るかもしれないからと時間を決めて電話の前で待ったり、子機を握りしめて何時間もでんわをして「そろそろ切りなさい」なんて怒られることはないのだろう。

相手からのメールが詰まっていないか、センターに問い合わせたり、♥の絵文字を使いすぎないように気を使ったり、着信音を彼氏だけ特別にしたりしない。

きっと、恋文やポケベルがケータイの登場によって過去のものになったように、時代が変わる今、同じように、ケータイ文化のあれこれも過去のものになって、昔話になる。

さようなら、平成。

さようなら、あらゆる無様な恋。

今、振り返ると、全力で逃げたいほどそれらは恥ずかしく、不格好で、失敗の連続だった。

でも、なぜだろう、とても、色づいてみえる。

お気に入りを詰めたMDを貸してもらったり、今はない映画館に一緒に行った思い出。

雑誌で恋愛の研究やファッションアイテムを研究しながら古着屋を巡った、あの感じ。

彼氏と記念日ごとにプリクラをとり、プリクラ帖にはる、あのアナログな感じ。

ケータイにじゃらじゃらつけたストラップ、深夜に借りに行ったビデオ。

まとめ借りしたワンピースやクローズ、ドラゴンボールにスラムダンク。

思い出すといちいちエモくて死にそうになる。

さようなら、平成の恋たち。




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