野良古 2017年度 冬・新年の句

冬・新年 17句

鰭酒のほうから口へ入ってきた

先生の黙や水始めて氷る

川涸れてなほ橋であり仮屋橋

話しかけないでこの炭くずれそう

藷粥の最後の藷といふ甘さ

セーター着る君が緋色と呼ぶ色の

マフラーのひと巻きごとに伸びる背や

レンチンのスープの破裂十二月

卒論を蠢く赤字年の夜

正月の軒先撮って送りけり

教え子は奥から五人目のラガー

追ふ追ふ追ふラグビーボール撥ぬはぬ跳ぬ

ボブスレーの橇にひかりの尾の刹那

五人降り探梅らしきのが三人

春隣下見の部屋に母の声

大学と海がある街春隣

街じゅうの旗新しき春隣

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