生きることへの浮遊感、尽きることない不安感

死にたい、というと、面白い本や映画に触れられなくなる、とか、この先いいことがあるかも、とか、美味しいご飯が食べられなくなる、などと言われることが多い。ただこれが当て嵌まる人間は、きっと幸せに生きられる素質を持った人間なのだと思う。

無趣味、さらに言えば感受性に劣る人間は、なにものにも執着しえない。なまじ賢く生まれてしまえば、未来の喜怒哀楽を天秤にかけて判断することすらできてしまう。何かへの執着は、生きることへの執着ともなりうる。それに欠ける人間は、そもそも生きることに大した価値を見いださず、死んだ状態と等価だと判断する。そしてこの先の不安というものを見通したとき、どうしようもなく生きる気力が失せてしまうのだ。決定的な生存力不足、内面から生じる自殺衝動は、なんとも解決・理解の難しいものなのだ。

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