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幾夜の中で先人たちの地獄が、それぞれに合った地獄が、踊り狂う文字の中にデザインされている

誰が好きでも良いし、誰のことも好きになれなくても良い、大切なのは、君がカテゴライズされずとも君自身であることに確かな安心を抱いて生きられること

こんな質問をしたのは、何かによって君を判断したいと思ったのだ、そうすれば、君を好きにならないわけを作れると思ったから

いつか季節が君を包み、その歩みがなだらかな老いと共に生活の中に沈む時、それでも生きるということ生きてきたということに関して、きっぱりと肯定的にあれていることを願っている

滴り落ちた言葉がカップから溢れて私たちの足元を濡らし、窒息、薄れゆく意識の中で幸福な夢を見た、人生のふくよかさを、君に感じる

私が言葉を好むのは、それがどこまでも受動的だから、言葉を道具とする人間は、使い手として不十分すぎるけど、言葉自体は実に鮮やかで嫋やかだ

誰かの求める形に私をあてがうことなんて、この先一生できない、ただふわふわとした上面を押し当てているだけであって

無印良品のお菓子売り場で壁一面に整理整頓されたお菓子達を見上げながら、これら全部を一つずつ気まぐれに齧ることが許されるなら、それこそお姫様みたいな生活だといえるわね、なんて考えている



通り過ぎてゆく五月を
誰かの涙みたいに深い青緑色に潤んだ五月を
さざめく風に手をのばしながら見送る
縋り付くみたいにこの季節に生まれ落ちて本当に良かった
薄桃色の風船は、青春のさよならを告げて溶けていく
だとしても忘れない、いつまでも愛しているよ、もっと優しい人間になるために。

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