バンドにおけるボーカルと楽器隊の付き合い方

ボーカルがいるバンドだとどうしても「ボーカルに合わせる」という場面があって、それはキーだったりテンポだったりするわけですが、ボーカルのバンド内における立ち位置によってその扱いは変わると思っていて。

サザンオールスターズやMr.Childrenのように「ボーカルが実質音楽の主導権を握っている」バンドだとボーカルは王様でしょうし、X JAPANのように楽曲制作がボーカル以外だとボーカルは「道具」にしかならなくて。MISIAや椎名林檎様や宇多田ヒカルのような「曲も作れて歌えてプロデュースもできる」ポジションもまた女王様になれるのかなとも思いつつ。

別に大したことないボーカルが、何を間違ったか散々わがままを言ってキーを変えさせたりテンポ変えたりアレンジを要求したりするのって、単なる勘違いでしかなくて、大したことないなら道具に徹すればいいのに自分を王様/女王様だと勘違いしてしまうことも多々ありまして。

原曲のアレンジのママキーを変えても、ベースの最低音どうするんだ問題だとか、ギターリフものだとチューニングどうするんだ問題だとか、管楽器が入ってくると音域どうするんだ問題だとか、いろいろ発生するわけです。音楽的知識があればアレンジの指示も出せるでしょうけど、「事象楽器はわからない」ボーカルだと非常に困るわけでして。

「よろしく!」で終わり、あとは楽器隊の必死の採譜とアレンジと工夫を待つばかり、自分はなにもせず気持ちのいい音域で歌うだけ。それでもね、MISIAや椎名林檎様や宇多田ヒカルだったらゆるせるわけです。素晴らしい歌い手ですからね。それが大したことないのにそうなってしまうと、困るわけですよ。

バンドというのはアンサンブルで、アンサンブルというのは基本「低い方に合わせるしかない」ものだったりもして。要するに下手な方に引っ張られるものであり、下手な方に合わせないと「アンサンブルにならない」ものなわけです。その「低い方」をボーカルが引っ張ってしまうとバンドとしてはこんな悲しいことはないわけです。

道具に徹しろとは言わないけれど、せめてMISIAとか(以下略)みたいに歌うならなんとでも言うこと聴きますよ、という話で。自分のレベル考えて物を言えと。そうでないならせめて「お願い」の体でやれと。

音楽というのは結局人間関係なので、人間関係はうまく行かないけど音だけは合うというのは(相当なプロフェッショナル出ない限り)ないわけです。楽器隊は気持ちいいけど、ボーカルがついてこない、なんてバンドはいくらでもあるだろうなと思うばかりで。

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