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霜降の日の胚移植

一年を24分した24季によると今日は霜降の日らしい。次が入冬で、霜降から入冬の間にふく風を木枯らしというらしい。そんな強い木枯らしに体をすくめながら今日はいよいよ胚移植をしにクリニックへ。

今日も先生は楽観主義者で診察室に入るなり4AAの受精卵を写真で見せてくれながら「めちゃめちゃいいやつね~これ!いきましょう!」と言う。

採卵と違って麻酔をしないので、しらふの状態で煌々と明るい手術台に乗せられる。股全開の状態でエコーを一緒にみながら卵子を子宮に着地させる一部始終を先生が親切に実況解説してくれたのだが、股全開で何事もないかのように誰かと対話をしている時間は妙なものだった。移植が終わるやいなや子宮内に培養液が白っぽく乗っかっていることがわかるエコー写真をプレゼントしてもらった。おお、これが妊婦たちがもらうエコー写真なのか~ついに一枚目をもらってしまったという気持ちと、終わったなら先に股のほうを閉めてやもらえませんかという気持ちが共存した。

わたしは毎日晩酌を嗜んでいるので、どのタイミングからお酒をやめないといけないかはとても重要なのだが、ここの先生いわく「妊娠判定が出るまでは飲酒による害があることは実証されていない」という理由でお酒も薬も普通に飲んでいいよという。慎重を期して「飲まない方が無難」とも言えるところを、エビデンス基準でアドバイスしてくれるところがとてもいい。おかげさまで、いつも通り夫と家路で一杯引っかけて帰ってきた。

精子と卵子が性交によって出会い、卵管を移動しながら子宮に着床するという奇跡のような一連の過程を、わたしたち夫婦はすべて人工的にやってもらうことになったのだが、医者ていうのは本当に神のなす業をしているのだなと思わされる。もちろんわたしたち夫婦も「大枚をはたく」という意味では相当の努力をしているのだけど、私たち夫婦のポテンシャルでは到底できえなかった人間を医者が作り出している感がすごい。

ただ、いよいよこれからは私の体内の力で育てていくことになったわけで、先生がどうこうしてくれるフェーズではなくなった。ただ通院さえしてれば先生たちが勝手に卵と精子を取り出して培養させて凍結して着床させてくれる時代が終わり、自分にバトンがわたされた感じだ。

まあ、そうは言っても受精卵の機嫌によってだめなときはだめなのだから(先生が)人事を尽くして天命を待つしかやることはないけども。

お会計
凍結解凍・移植手術・お腹に貼るテープ
106,800円

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