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かっこつけない

ものごとを「スマートにやりたい」という欲望はたいしたもので、しかも非常に原始的なものだという研究もあります。

何度も顔を見ているだけでも基本的には好感を持つという「単純接触効果」で有名なロバート・ザイアンスによるとあの「ゴキブリ」ですら、「仲間の目」を気にするというくらい、原始的な欲望です。

ザイアンスは、社会的促進(social facilitation:他者の存在が行為を促進したり、抑制したりすること) が人間や他の動物(特にゴキブリ)の間でどのように働くかを提示し、社会的促進が高次の認知過程の結果だけで生じているわけではないことを明らかにしたことでも知られている。

ザイアンスの実験というのは単純で、シンプルきわまりない迷路なら、ゴキブリは仲間の目があった方がすばやくゴールにたどり着けるし、複雑な迷路だと、仲間の目があることによってゴールにたどり着くのに手間取るようになるようなのです。

私たちもよく似ています。

やりなれた簡単な作業だと、オーディエンスに「いっちょいいところを見せたろう!」というわけで作業効果が上がりますが、自分の手にあまるような難しいことを、数万人の聴衆がじっと見守る中でやるとなったらつらいと感じる人が多いでしょう。

だからこの動画でも「パターン化」と「未知のパターン」という話が出てくるわけです。「やりなれた作業」ほど緊張せずにやれるから、オーディエンスの存在がむしろ有効にも作用するし、パターン化できず不安だと、逆に作用してしまうからです。