相手の言っていることがどうにも意味不明なとき
なんど読んでもわからない、けれどもじつに不快になる「レビュー」や「メール」をもらったとき「だからいったいなにが言いたいんだ!」と叫びたくなることが一度や二度はあるでしょう。
これこそが相手の伝えてきていることなのです。
「何がいったい、言いたいのだ?」
と私が言われているわけです。でもこれと違った複雑怪奇な表現が採用されているにすぎないのです。
いくら臨床心理士とは言えこうまで言われれば
「いや!ちょっと待ってよ!」
くらいは言いたくなるでしょう。これが、相手のいわんとしているセリフの中身なのでしょう。
「あまりに一方的すぎる!」と言いたくなる気持ちというのは、相手からの「あなたはあまりに一方的だった!」という訴えなのです。
ただこれはカウンセリングの中での話です。そのため「あなたはあまりに一方的だった」の「あなた」が、必ずしもカウンセラーその人を指しているとは限りません。
というより、どんな場合でも、およそ誰かを激しく罵っているようなとき、罵られている相手こそ、罵られている内容の責任者であるとは限りません。
本当は夫にぶつけたい憤懣を、手近で聞いてくれるからという理由で目の前の息子にぶちまけるというのは日常茶飯事です。そういえばうちの母もよくやってくれました。いまから見るとかわいい話です。
カウンセラーなどというのは「憤懣のぶつけ先」としてはまさにうってつけとも言えます。
だからこれが大きなヒントになりえるのです。一方的に言いつのられて自分が思わずいい返したくなる言葉こそ、相手が伝えてきている内容です。
必ずしも「私に」言いたいことではなく、その人が誰かに言いたくても言えない内容を、代理人として「自分がかぶっている」というわけです。
私はこれに気づいてから、家庭でも、仕事の関係者とも、とてもやりとりがしやすくなりました。
何か厳しいことを言われ、傷ついて、気分が悪くなったとき、これを思い出すとよいのです。
相手はほとんどの場合「私に」言っているわけではない。(わたしだけに言っているケースなど皆無に等しい)
私がそうならされた「気分」こそ、相手が抱いてしまった「気分」だ
この線に沿って相手とコミュニケートすれば、だいたい何とかなる。放っておいてもいいケースも多い