なぜ予防歯科がしたいか

まず最初に歯学部に行くまでのお話も書きます。(よく質問で頂くため)

私は岐阜県の高山市で生まれ、実家に医療系は誰もおらず、医療というものに触れる機会がないまま地元で中学生まで育ちました。

高校生になり、山梨県の駿台甲府高校に進学するころ、姉が医学部に進学、医師となることから私も医療に興味は持ち始めていました。

しかし、国語と英語が昔から成績が良く理系に嫌気がさしたこともあり、女子アナやキラキラOLに憧れていた私は、理系をやめて文転をすることにしました。

先生に提案しに行くと、"これは文系の成績が良いかどうかではないんだよ、君みたいなタイプは就活で勝っていけるタイプじゃない。だから何か資格を取りなさい。"と返されてしまいました。
自分の欲しい資格を考えている時に、たまたまテレビで見た歯科医の女医さん(誰かは忘れました)を見て私もあんな風に仕事が出来たらいいなと思い歯学部に行こうかなと思い始めました。

朝日大学の歯学部に進学し、私にとっては全てが初めて見るものでした。
そして授業で習うほぼ全てが"歯の治療"でした。
歯医者とは、とにかく治療で患者を幸せにするのだという概念が完成されていきました。
大学も5年生となり、病院研修が始まりました。
そこで私の心がぐっと掴まれる出来事がありました。
20歳の女の子の患者さんが、ほとんどの歯がなく、入れ歯を勧められて泣いているといった診療を見学しました。
その患者さんはしっかり歯科医院には通っていました。
そして私が今まで習った精確な治療を施されていました。その結果がこの状態でした。
その時の私には、では歯医者としてどうしたら良かったのかという正解はわかりませんでした。

なんとなくその出来事が心に引っかかったまま現役で歯科医師となり、歯医者になってから2、3年くらいは、患者さんとの関わり合いや基本的な治療の練習や学習の毎日でした。

そんな中、病院の先輩に誘われて行ったプレオーラルフィジシャンセミナー(日本最先端の予防歯科のセミナー)で、今まで習ったことのない予防の考え方を学び、また講師の先生の、患者利益を追求するキラキラした真っすぐな姿に心を打たれました。
そしてこれが5年生の時の答えだったのかと知りました。

患者にとって良い治療とは、歯が悪くなってから初めて患者と関わり、悪くなった歯をどんどん削ったり抜いたりするのではなく、
歯が悪くなる前にどうしたら悪くならないのかを患者に教育し共に考える、患者のお口の中をしっかり精査検査をし、現状の把握とリスクの判定を行い何年も先を見据えて予防を行う。
定期的に検査をし、バイオフィルム(細菌の膜)の破壊をし、管理をしていく。

例えばセラミックを何万本入れたというのは言えると思うのですが、
何人の何万本の歯を予防したということは実証しがたく言えないですよね。
日本ではまだ、セラミック何万本の方が凄い歯科医師だと思われがちです。

しかし、いくら綺麗なセラミックも自分の生まれ持った歯には敵わないし、できることなら治療したくないですよね。

私もまだすごい先生たちから学ばせて頂いている途中です。生涯学習していきたいと思っています。
今私ができることは必死で勉強することと、将来日本人の予防意識を大きく変えていけるように、学んだことをしっかりとアウトプットすべくオフィシャルな活動を一般の方向けに行っていくことだと思っています。

予防歯科は評価もされなければ、今の日本の保険制度では予防をしっかり行うこともままならない。自費にするしかなく自費診療にしても患者さんで予防歯科の価値を分かる人はまだ少ない。私もつい先日、しっかりと検査を行ったら早く歯石だけ取ってと怒られました。。

私もそんな因子が絡んで模索しながら発展途上ですが予防の診療を行っています。
自分も尊敬する先生達みたいに日本の予防歯科の水準を意識を、あげれる一人となれたら良い人生だなと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?