万世に思う

「肉の万世」が万世橋そばのビルから撤退する。近くに新しいテンポも出来るようだが、以前のような鉄板焼き専門店「千代田」はもう戻ってこないのだろう。仕方がないことではあるが、少しさびしさはある。肉ビルに関しての記憶を、一応記録として残しておく。

千代田について

「千代田」の思い出としては、就職祝いで大叔母が連れて行ってくれたのが初だったはずだ。今にして思うと何かにつけて「なだ万」を押す大叔母が何故千代田を選んだのか正しく思い出せないが、自分が高級料理なら鉄板焼きを食べてみたいと言ったからだったかもしれない。いずれ、コの字型の小さなカウンターに家族が揃い、食べたのを覚えている。中央通りの電飾に照らされた秋葉原を眺めた。鉄板焼きの味がどうという話だけでなく、あの景色自体が記憶としてある。

嫁の誕生日に行った際に、ステーキの焼き加減を聞かれ「そういえばそもそもどう違うかをちゃんと勉強できていないねぇ」などと会話をしていたら、ご担当のシェフの方が「じゃぁ150g、50gずつレア・ミディアム・ウェルダンにしましょう」と言ってくれた。初めて同じ肉をちゃんと違いを味わえた。あれは非常にありがたかったし、比較で勉強が出来た事が記憶に残っている。

鉄板焼きについて

3・4階のレストランは、席が広いので休憩がてらだらりとしに行く、ということが多かった(つまり空いていたのだ)。大体ハンバーグではなく「和牛鉄板焼き」を辛子醤油でいただいていた。あれが一番肉の味が分かるし、脂が強くないし、野菜でもビールが進むし、ゆっくりダラダラ食べられるのでよかった。
これは肉ビルじゃない万世でもやることが結構ある。

パーコーについて

新宿地下にあったころはパーコー麺を食べたこともあったが、肉ビルでパーコー麺やパコリタンを食べたことがそう言えばない。というか大体やっぱりパコリタンは意味がちょっとよく分からない。トルコライス的な話なのか?

ビル脇について

鉄道高架側が暗くて、パーコー麺の店舗から光が漏れてくると、サイバーパンクな感じがしてよかった。友人と1Fコンビニでカツサンドとビール買ってあそこでダラダラしたこともなぜか数回ある。

全体的に味というよりかは場所の記憶が強い。そういうところだったのだと思う。新しい店舗にも行くだろうが、あのビルに関しての記憶はここで止まるということを感じる。


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