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2/16 SoB対FEC

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鬱蒼とした木立の間から地鳴りのような足音を立てこちらに迫ってくるガルガントの群れを見て‘‘名誉ある‘‘ウブリッヒトは、ため息に近い唸り声をあげた。なにしろあの馬鹿デカいのを見てみろ、まっすぐ向かってくるではないか。配下のグールキングに目配せし、兵を招集させ迎え撃つ準備を整えた。攻撃は最大の防御なのだから。

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木立を闊歩するデカ足ガルガント‘‘線を破る者‘‘ドルゴルプは、木々の間からチビどもがえっちらおっちらと戦の準備を整えつつある事に目を細めていた。子分の三人にうきうきした様子で声をかけた。

「おおぅ、今日のケンカは楽しめそうだのぉ」

げらげらと笑うと子分たちも下品に笑ってみせる。その笑い声をかき消すようにゾンビドラゴンの甲高い咆哮が耳を劈いた。呼応するようにまた地鳴りを上げながらガルガントの一団は、ウブリッヒトの陣に突撃していった。

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ゾンビドラゴンが、三人のガルガントに向け毒のブレスを吐き掛ける。その間を縫うようにグールの一団が、凄まじい速さでデカブツ共を取り囲んだ。グールの一団がむやみやたらに嚙みついたり骨の棍棒で殴打している間、ゾンビドラゴンもその乱打戦に加わっていった。

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子分の三人が巨大なる棍棒をぶん回し、蹴っ飛ばしている間にグールのチビ共に動くものはいなくなっていた。三人は、それぞれ

「おらが4人けっとばしただ。」

「ばかこけ!おめぇ数数えかたしってんのか?」

「はらへったなぁ」

などと好き勝手にくっちゃべっていた。その時腕鎧をじゃらじゃらいわせた先頭のガルガントの喉元にゾンビドラゴンの牙が突き刺さりそのまま振り回された。夥しい血を噴き上げながら腕鎧のガルガントは、討ち捨てられた。

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ゾンビドラゴンが勝ち誇ったように、甲高い咆哮を上げると物凄い勢いで突っ込んでくるドルゴルプ。むんず、とゾンビドラゴンの頭を掴み万力のように握りこみ始めた。ゾンビドラゴンはその鋭い爪で抵抗を試み抜け出そうと暴れたが、ばきゃ、と決して心地良くない音をあげ抵抗をやめた。

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グールキングは、ウブリッヒトに尋ねた。

「閣下、出し惜しみはなしですぞ。」

「...良い、任せる」

グールの長。グールキングは、鋭い雄叫びをあげた。するとどこからともなくグールの一団が現れたではないか。ウブリッヒトは、感嘆した。自分ではこうも多くのグールどもを集めるには敵わない。

参集したグール達は、迫りくるガルガントに躊躇なくとびかかっていった。

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ドルゴルプは、舌を巻いた。なにせあのチビ共またどっかから集まってきやがった。恐れなどなくとびかかってくるグール達に一瞬だけ驚いたが、巨大な樫の木の棍棒を振り上げると横なぎに何度も何度も振るった。赤い肉の塊がへばりつきまた棍棒を振ると地面にべちゃ、と不快な音を立てて転がった。

ウブリッヒトは、歯噛みした。このデカブツどもめと罵り生き残ったグールキングとともに闇に消えていった。

追いかける地鳴りの音も追いつけず次第に遠ざかっていった。

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