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パナップというアイスについて

先日、近所のスーパーがリニューアルオープンした。
そのスーパーといえば、夕飯を作っている時に足りないと気付いた食材を、ほぼパジャマ姿のまま買いに行く(この前はごま油を買いに行った)くらいでしか使わない。

おまけに中学時代の旧友の数人がそこでアルバイトに明け暮れており、ややノストフォビア気味の私にとっては如何せん近寄りがたい場所なのだ。

そのスーパーは揚げ物が美味しい。その代わり寿司が不味い。
コロナ禍から少し明けたくらいだったか、お昼ご飯を買いにそのスーパーへ行ったときのことだ。500円玉2枚を握りしめながら(ここまで豪遊できる額を持っていた訳は…察していただきたい。)軽い足取りで店内に入り、真っ先にエナジードリンクの陳列された棚に向かった。当時ZONeとウマ娘がコラボしており、ウマ娘のことについては何も知らなかったが、いちエナドリヤーとして飲まないという選択肢はないだろう、と意気揚々と飲もうとしたのだ。
エナドリに合わせる肴(もはや昼飯というより、昼呑みに近かった)は、揚げ物一択だろう、と察していた。炭酸飲料と脂は相性が良い。悪玉コレステロールを糖尿病のもとで流し込む。死へのカウントダウンを0コンマ何秒縮めるだけの行為だが、そこには全年齢対象の快楽が鎮座している。カラッカラに揚げられて。
結局オムライスとチキンカツ、そして鉄火巻きを選んだ。
今回の話において惣菜の食レポは関係ないため割愛させていただくが、鉄火巻きは不味かったのだ。オムライスは美味しかった。

なんだかんだあって最近は自発的に行かなくなってしまったが、リニューアルオープンしたのならば、確かめなければならない。知的好奇心はこういう小さなところで満たさなければならない。


ほとんど変わっていなかった。
棚の配置は相変わらずだったし、モランボンの韓国料理の類いをやけに前面に出していた。内装が綺麗になっていたり、無人レジが増えていたりなどの点は良かったものの、惣菜もやや衰退気味のように感じられた。
インスタントラポッキの棚の前で大きくため息をついた。もはや私の求めるスーパーではないと、身勝手な落胆に陥りかけていた。

大人しく帰って冷凍のそばメシでも食べよう。そんなふうに考えながら冷凍食品/アイスコーナーを歩いていると、懐かしいパッケージが目に入り込んできた。

パナップである。

ご存知ない方もいらっしゃるだろうから、説明させていただきたい。

ピューレ仕立てのとろける果実ソースやパリパリ食感のミルクチョコレートとコクのある優しい甘さのミルク風味アイスのハーモニー

パナップ公式サイトより引用

もう美味しい。

1978年発売以降、パナップはグリコのロングセラー商品として最前線で戦い続けている。一時は低迷期で売り上げに伸び悩んだものの、幾度もリニューアルを重ねながら消費者に変わらぬ味と進化の歴史を味わわせてくれている。

私が人生で初めて食べたアイスは、パナップである。
3歳のころだっただろうか。石川県に住んでいたとき、毎週木曜日に体操教室に通っていた。今でこそ運動音痴だが、幼い頃は抜群の運動神経の持ち主だった。どこで道を誤ってしまったのか。
今思い返すとかなりハードな教室だったのだが、帰り道にいつもご褒美としてお菓子を買ってもらっていた。ちなみに、そのときのご褒美の中で「飲むプリン」を知った。

母親にアイスをねだり、なんとなく選んだパナップを買ってもらった(この辺は記憶が曖昧だが)。
あの時食べた味は忘れられない。まず冷たさが来る。そして暴力的な甘み。冷たさと甘味料のせいで舌がピリピリと痺れ始める。グミとか、チョコとは、動員される知覚の量が遥かに違う。アイスクリームを食べるというのは、「知覚を研ぎ澄ます」ことであるし、初めてのアイスクリームとは、「知り得なかった知覚に出会う」ことだったのだ。

それから、アイスを食べる機会があると必ずパナップを選んだ。一度何かにハマるとそればっかり選ぶという性格は、もうこの頃からあったのかもしれない。

やがて様々なアイスの存在を知り、アレやコレやと食べていくうちに、やはりパナップは抜きん出て美味しいんだということを知った。
やがて埼玉に引っ越すと、段々とパナップを食べる機会が減っていた。そのことに私も気づかずにいたのだった。

なんだか、地元の幼馴染に再会したみたいだ。小学校くらいの頃は毎日のように遊んでいたが、中学になるとなんとなく恥ずかしくて疎遠になり、高校が離れてしまってからは全く会わず、気にも留めなくなってしまい…みたいな。そんな感じ。

彼女は許してくれるだろうか。一度は離れた僕のことを。あの日のように手を引いてくれるだろうか。笑ってくれるだろうか。







ウッヒョ〜〜〜!!
肉だァ〜〜〜〜!!!



普通にパナップの気分じゃなかったので、半額になってたステーキ肉(アメリカ産)を買って帰りました。

見よ!!この肉の表面!!美味スギィ!

これで500円ってヤバくない?
パナップどうでも良くなっちゃって、コレ焼いて米二合食べて寝ました。


次の日。ドラム練習の帰りにパナップを買いました。ほんまごめん。

鎮座

まず思ったのは、「こんなに小さかったかな?」ということ。
だが最後に食べたのもおよそ10年前。手のサイズもかなり変わったのだから、感覚的なものなのかもしれない。

※気になって調べたら小さくなってました。切ない

幼馴染の手紙かと思った

外フタをパカっと開けると、ご丁寧な字で内フタに説明が書いてあった。
あの子の字は10年経っても変わらない(あんま覚えてないから変わってるかも)。

内フタをぺりっと剥がす。なんか幼馴染の女の子の服を脱がすみたいで興奮するな、と思ったが、幼馴染の服を脱がすことに懐かしみは覚えないので、たぶんエロ漫画の見過ぎなんだと思う。

開封

友達にこの写真を見せたら、「ブルーアーカイブの『色彩』みたいだね」と言われた。わからんでもない。
母親には「黒魔術で使いそう」と言われた。それはわからない。

一口めを食べようとスプーンを入れた時に、エロ漫画のワンシーンが思い浮かんだが、そんなことをアイスに考えるのは本当に末期な気がした。

口に入れた瞬間感じるのは、やはり抜群の懐かしさだ。
思い出す、体操教室の先生を。めちゃくちゃクセが強かったし、なぜか俺に会うたび毎回ブリッジをやらせてきた。おかげでブリッジだけは今でも得意です。

パナップの醍醐味とも言えるフルーツソースは、相変わらず濃厚だった。優しいミルクと艶めかしいグレープの香りに嗅覚は魅了され、舌に触れるたびにふたつの合わさった冷たくも優しい甘味が味覚を占領する。なんだこれ麻薬?

先述のキモ発言から繰り返しているが、パナップは「疎遠になった幼馴染」に近い。好きだったのに、思春期特有の異性に対してキツくあたっちゃう感じも、結局疎遠になったまま関わらないみたいなのも。今回久しぶりに食べたのは、たぶん同窓会で会った時みたいな感じ。久しぶりに会ってみると、成長し大人びていて(パナップは小さくなっていたりするが)、でもどこかあの頃とは変わらないものが残っていて。

私自身も、パナップと疎遠になった後に様々な出会いを経験した。生涯の友も、愛する人も、週一で食べたいアイスも、食べて後悔したアイスにも出会った。
でも、記憶の片隅に追いやっていたパナップに久しぶりに手を伸ばすと、まだ幼かった頃の、懐かしい自分や、それを取り巻いていた環境を思い出す。冒頭にて、カッコつけちゃって「ノストフォビア気味」なんて言っちゃってたけど、実はノスタルジーに浸るのが大好きだったり、するのかもしれない。





チョコパナップ食いてぇ〜〜〜〜〜〜



パナップ公式サイト

https://jp.glico.com/ice/panapp/index.html





Twitter

https://x.com/noisy_turkey?s=21


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