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【TI2022】今回は2週間開催のメインイベント、前半戦が終了!結果まとめ+個人的に気になったトピック4選【Dota世界大会】

今回神試合多いな!

すみません、のっけから感情が爆発してしまいました。
ここからはいつものテンションでお送りしていきます。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、だいぶ今さらな話をしますが、今年のTIは週末に試合をすることをかなり重視しているようです。

具体的にはグループステージが土日を含む4日間、
メインイベントと呼ばれるトーナメントが土日2回を含む6日間。
合計10日間の日程を土日6日間を含みつつ開催ということで、平日仕事の人でもそれなりに多くの試合をリアルタイムで視聴できるようになっています。

そしてタイトルの通り、執筆時点ではメインイベントの第1週が終了。
"Finals weekend" と銘打たれた29,30日の4試合を残すのみとなりました。

今回は10/20~23に実施されたメインイベント結果まとめと、いくつか個人的に気になったトピックを紹介していきます。

結果

画像をクリック/タップで拡大します。
もはや言うまでもありませんが、Liquipediaより。

この通り、Finals weekendに残ったのは4チーム。
Team Secret, Tundra Esports, Team Aster, Team Liquidとなりました。
Team 〇〇ばかり並べるとちょっと見辛いですね。

SecretとTundraはUpper Bracket、つまり無敗側のトーナメントにいるため、次の試合で負けてもまだ優勝の目が残る上に、勝てばすぐに決勝です。
AsterとLiquidは既に後がなく、負けたら即敗退の戦いが続きます。

そんなFinals weekendは日本時間10/29の13時から開始です。
そして最後の最後、優勝が決まるGrand Finalは10/30の17:30開始を予定しています。
日曜日のゴールデンタイムです。
今年最強のチームが決まるその瞬間を、みんなで見届けましょう。


さて、ここからは筆者の独断と偏見によりいくつかのトピックを取り上げて自由に語るコーナーです。

歴代最長試合:Royal Never Give Up - Entity(Lower Bracket R1)

グループステージまとめでも取り上げましたが、RNGのプレイヤーの内、xNova以外の4名はコロナウイルス陽性が確認されました。
そのため恐らくTIのメインイベントとしては初めて、プレイヤーが隔離された状態で試合が行われました。

世界一を決める大会に突如現れた4体のぬいぐるみ。

始まる前から特殊な状況だったこの試合、終わってみれば章のタイトルにも書いた通り、歴代TIのメインイベントの試合の中でも最長試合時間を記録する超ロングゲームとなりました。

そもそもDotaはゲーム終了時間が決められていません。
どちらかの本陣(Ancient)を破壊するか、どちらかのチームが降参することで試合が終了します。
どちらの条件も満たさない場合、理論上は永遠にゲームを続けることができます。

もちろんそうならないようにゲームの至る所に安全弁が設けられていて、実際には50分を超えるとロングゲームと言えます。

例えば今大会のメインイベントは今のところ36試合がありました。
50分超えの試合は8試合、割合で言うと2割強。
しかもその中で60分に到達した試合はたった1試合です。
もちろんその1試合はこれです。

振り返るにも長すぎるこの試合、一応ハイライトを、とか言いつつめちゃくちゃ長いタイムテーブルを投下する、というギャグをかまそうとしたんですが、それすら難しかったので断念しました。

一つだけ挙げるとすれば、個人的なハイライトは92分辺りです。
不利な時間が長く続いていたRNGが、マップ内のどこでもワープできるポータルを利用して敵の本陣に直接乗り込んで勝ってしまおうと試みます。

このゲームの名前を思い出す瞬間です。
Defense of the Ancients

もちろん勝ち筋の薄いギャンブルで、実際対応されてしまったわけですが、いかにプロでもTPがクールダウンに入っていれば物理的に対応できない可能性だってあったわけで、いい賭けだったのではないかなと思います。

最終的に1時間47分2秒にも及んだこの死闘に敗れたRNGはここで敗退が決定。
ミッドプレイヤーのSomnusが引退を発表するなど、"その後のお話"もちょっとあるんですが、それはまたの機会に。

Bグループの完全勝利!?

先ほども貼ったメインイベントのトーナメント表ですが、ここでは特にUpper Bracketの1回戦に注目します。

全部2-0なのは観戦しててもすぐ気付いたんですが…

勝った側を見てみると、Thunder Awaken・Team Secret・Tundra Esports・Team Aster。
なんとこれ、全部グループステージのBグループから上がってきたチーム。
A1位vsB4位のようにトーナメントを組むので、もちろん負けた側は全てAグループです。

偶然、と言えばそれまでの話ではあるんですが、開幕前は「Aグループの方が強いチームが多いのでは」なんて言われていたこともあっただけに興味深い結果とも言えそうです。

公式中継でもこの件には少し触れられていました。
その際のコメントを借りると「勝ったり負けたりした方が結果として得るものは大きいのでは」とのことです。
実力があまりに拮抗している今大会、ひょっとしたらそういうこともあるのかもしれません。

LCQからの刺客

今回から導入された新システム、LCQことラストチャンス予選。
これを勝ち抜いてTI出場を決めたのがTeam SecretとTeam Liquidの2チームでした。

各地域2,3位が参加する強豪ぞろいの大会を一つこなし、ひょっとしたら一番仕上がった状態で大会に乗り込むことになった彼らはグループステージも上位通過。
メインイベントでもその勢いは継続していました。

SecretはUpperBracketを無敗で駆け上がり、今や優勝候補の筆頭にまでなっています。

このチームのキャプテンPuppeyは11回のTI全てに出場している鉄人。
世界でも唯一の記録です。

しかも彼は栄えある初代王者Na’Viの一員でもあります。
そんな彼が今年再び優勝したら、実に11年越しの復活優勝となります。
(正直Puppeyは色んな大会で勝ち続けているのであんまり"復活"という感じはしませんが。)

一方のLiquidは初戦でLowerに落とされ、その後も何度となく"これを落とすと敗退"という試合が続く中を粘り強く戦い続けました。
特にThunder Awakenとの試合はどの試合もとんでもない展開でした。
戦っている本人たちですら幾度となく敗退の2文字がチラついたのではないでしょうか。

そんな苦しい戦いをなんとかかんとか乗り越えてFinals weekendの席を確保。
往々にして多くの人が見る大会というのは最後までこういうチームが何かを起こしてくれるんですよね…

また、キャリープレイヤーのMatumbamanが今大会を最後に競技シーンからの引退を表明していて、こちらもPuppeyに負けず劣らずの注目株となっています。

LCQ上がりの2チームがこれだけ活躍してくれれば、もう来年以降もこのシステムは継続されそうですね。

南アメリカチームの躍動

さて、そんなLiquidに敗れる形となったThunder Awaken、そしてbeastcoast, Hokoriの3チームが南アメリカ地区から参戦した今回のTI。
今年のメジャー大会の結果などから、"期待できるかもしれない"と思っていましたし、実際何度か私の記事でもそう書いてきましたが、本当に今回は彼らにとって飛躍の年になりました。

Hokoriやbeastcoastも、戦前評を考えれば十二分に番狂わせしてくれたと言えると思いますが、やはり今大会に関してはThunder Awakenでしょう。

特にメインイベント1回戦、Aグループ首位通過のEGを相手に2-0のストレート勝ちを収めた試合は、メインイベントの初日の初戦ということもあってインパクトがえげつないデカさでした。

その後LowerBracketへと落ちてしまいますが、Finals weekend進出をかけたLiquidとの死闘は本当に見ごたえがありました。

たった1体のクリープで勝敗が決まった第1試合も、HP1の差で勝敗がひっくり返ったであろう第3試合も、どちらもDotaの歴史に残る名試合として人々の心に焼き付いたでしょう。

また、ミッドプレイヤーのDarkMagoは第3試合でRampage(5連続キル)も達成。
記録と記憶の両面で彼らの戦いは刻まれることになりました。

TIが南アメリカに枠を設けるようになってから5大会目。
昨年のThunder Predetorが記録したリーグ戦0勝16敗を例に出すのはさすがに残酷ですが、とはいえそういう極端な事例を差し引いてもあまり強い地域とは言えませんでした。

しかし今大会は他の地域のチームが姿を消していく中、強豪とされる西ヨーロッパ・中国に次ぐ3番目の地域として戦い続けました。
(まぁこれに関してはトーナメントの枠を西ヨーロッパのチームが取り過ぎていたという側面もあるんですが)

"RESPECT SA YOU SHITS"
SA(南アメリカ)を舐めんじゃねえぞ、てめぇら

Thunder Awakenのコーチ、Vintageへの試合直前のインタビューより。
スペイン語と英語が混ざったインタビューで聞き取りが難しい部分もありますが、
ある意味必見です。

彼のこの言葉がどの程度観衆受けを意識したもので、どの程度本気だったのかは定かではありませんが、長い年月を経てようやくここまでやってきたぞ、という矜持がそこに見られたのは間違いありません。

後書き

というわけでメインイベントが分割開催となった今年のスケジュールの恩恵にあずかり、第1週目の結果や話題となった出来事をいくつか取り上げてみました。

最初にも書いた通り、決勝戦を含むFinals weekendは10/29・30の2日間行われます。
日本との時差もほぼありませんので、ぜひリアルタイムで今年最後の戦いを見届けてください。

会場も第1週は今までと比べると小規模な会場でしたが、Finals weekendは最大収容人数12,000人のインドアスタジアムを使用するようです。

(とりあえず何かリンクでも、と思ってちょっと調べてみたら、この建物なんと日本人が設計したとのことでビックリしました。)

さぁ、いよいよFinals weekendです。
フル出場の鉄人、2度目の栄冠か。
最速のアグロチームが新たなメタを証明するか。
引退を決めたDota仙人が最後の一花を咲かせるか。
6年越しの中国勢復活か。

泣いても笑ってもあと4試合。

それではまた。

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