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免許合宿day13&14

day13「時速100kmの世界」
 今日はいよいよ高速教習の日。それだけでも緊張するのに、さらに衝撃の事実が伝えられた。なんと私は知らない男の子と二人で乗らないといけないらしい。そんなこと今までなかったのに、ここへ来てどうして……。とはいえ文句は言えず、じゃんけんの結果、行きは私、帰りは男の子が運転することになった。初めての高速道路。初めての時速100km。最初の合流はものすごい緊張した。とにかくスピードを出す、遅い方が迷惑がかかる、という話を教官からされた。最初はスピードを出すのが怖かったが、慣れてくるとむしろ一般道よりも楽に感じるようになった。というのも視界を遮る木々や建物、危険な飛び出しをする歩行者や自転車がいないからである。なんだかんだ楽しくドライブすることができた。
 そして後半戦は、交代して名前も知らない男の子。私より運転がずっと上手くて、安定していた。教官から指示があり、途中のパーキングエリアで一時休憩をすることになった。一旦トイレを済ませて自販機の前でぼーっとしていると、さっきの男の子も同じ場所に来た。せっかくのチャンスだと思い、「合宿ですか?」と話しかけてみた。一言話せれば、もう打ち解けるのに時間はかからなかった。その子は群馬の地元から通っているということを知り、群馬の名産品も教えてもらった。「群馬なんて魅力ないよ」という彼だが、話を聞いている限り地元愛はありそうだった。免許合宿に来てすでに13日目、初めての友達ができた。
 ちなみに、今日の夜ご飯は麻婆豆腐だった。みんな大好きなハンバーグ的料理だと思っていたら、なんとKenは嫌いらしい。辛いものと豆腐が嫌いって、もう麻婆豆腐が天敵すぎる。この危機に備えてKenはベルクでカップ焼きそばを用意していたが、なんだかんだ言ってちゃんと食べ、カップ焼きそばの出番はなかった。

day14「荷造り(番外編あり)」
 ついに、最後の教習だった。この日は今までの総復習みたいな回で、とにかく運転の精度を高めるための練習をした。路上も、縦列駐車も、方向転換も、全部完璧。いける。明日に向けて士気を高めていく。ラストの一コマで少し時間が余っていたので、私は教官に「方向転換やってもいいですか?」と聞いた。最後に成功させて明日を迎えたいと思ったからだ。許可が下りてもう一度だけやらせてもらえることになった。だが、この一回は本当に余計だった。油断したためだろうか、縁石に2回も当たってしまった。本当に欲張るべきではなかった。
 さて。最後の日なので特別に、他の合宿生にはどんな人がいるのかを少しだけ説明しようかと思う。これらはすべてお弁当を食べる昼休みに盗み聞きした話などから構成されている、健全じゃない記録である。まず紹介するのは、金髪女と銀髪女のコンビ。この二人はコミュニケーションに積極的で、周囲の男の子たちといつもつるんでいる。この二人で面白いのが、名字はそれぞれ「田中」「南」というらしい。田中南。田中みな実。そして次に紹介するのが、パーマの女の子。この子はいつも一人で単独行動している。合宿に一人で来ている珍しい子だ。あまり喋らないが、ときどき「お茶入れましょうか?」などと他の人に気を利かせていて、心優しい人であることは分かった。最後に紹介するのが、俺らの後に入ってきた男の子四人組である。以前に一度、みんながお昼を食べるその部屋でカードゲームをして遊んでいた。そのうちの一人がどうやらコミュニケーションに積極的であるらしく、パーマの女の子に絡んでいる日があった。そのとき堂々とした声で大学受験の話をしており、彼は理科大であるということが明らかになった。そんな風に、色んな人がいた。
 もう一つだけ余計な話をしよう。オンライン学科というのはどういう教材を使っているのかという話だ。これについて言えば、向こうで用意してある動画を使っていて、それがかなり問題なのだ。動画はアニメーションで、タイトルを「Don!Don!ドライブ」という。このアニメ内では「プーリーくん」と「よりともさん」という二人の人形みたいなキャラクターがコメディっぽく進めていく形式なのだが、これがまあ面白くない。もちろん従来の眠たいビデオよりは良いのだろうが、このテンポ感にイライラする人がいてもおかしかないような、そんな感じなのだ。Kenはときどきドンドラの「同人誌」を作りたいとか言っていて、もはや一周回って面白くなっているようだった。詳しくは教習所へ通って、自分の目で確かめてみてほしい。私の言っていることがきっと分かるはずだ。

https://foresthuntingone.com/works/dondora.html

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