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ノイチのエッセイ

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星野源が結婚し、私は自分の夢に気がついた。

「星野源が結婚」 喫茶店の窓側席、ふと開いたInstagramで私は彼の結婚を知った。ちょうど母と田村正和さんがお亡くなりになった話をしていたときのことだ。一目でいいからいつか会いたいと思っていた方のひとりが亡くなったことに、私は時間の有限さを感じ、焦っていた。 田村正和さん、細野晴臣さん、下野紘さん、星野源さん、氏田雄介さん、ぶんけいさん、ポインティさん、崎山蒼志さん……一度でいいから直接お話をしてみたい方々、いつか一緒にお仕事をしてみたい方々、尊敬している人たち。彼ら

夢を欲しがっていた、あなたへ

「自分の人生にある程度満足はしているものの、この後も一生可も不可もない人生が続くのかと思うと不安になる」という類いの話を、大人になるにつれよく耳にするようになった。 これは最近気づいたことなのだが、私は世間でいう所謂「夢ややりたいことがある」方の人間らしい。そして、これもまた最近気づいたことで、世の中には「夢ややりたいことに飢えている」人が意外と多い。 ところで、夢ややりたいことがないと話す人ほど、優しい人が多いと思うのは私だけだろうか? 🐏 🐏 🐏 つい先日、『販促

【エッセイ】悪い友人たちに愛を込めて

人の不幸を上手く笑えるようになったのは、つい最近のことだ。 先日、友人のInstagramのストーリーに、引越しの原状回復費用が16万円を越してしまったという悲劇の報告が上がっていた。友人は大人数でも、アポなしでも、なんだかんだ許して家に入れてくれる、本当に優しい人だった。 正直めちゃめちゃ笑った。4回見返して、3回声を出して笑った。それでも可哀想ではあるので、帰りの電車で必死に笑いを堪えつつ「しばらくご飯奢ってあげるね」とコメントをした。 🐱 🐱 🐱 幼い頃から、悪

【エッセイ】かわいいと言われたいけれど、私はかわいいでできてない

最後にかわいい、カッコいいと言われたのはいつですか? 正直なところ私はあまり覚えていません。 それでも書く字の形とか歌い方とか、そんな普段気にも留めていなかったものを褒められたときのことは、なぜか鮮明に覚えている気がします。 今回は、意外と人はかわいいやカッコイイでできていないのではというお話を。つまり、美味しい綿あめの話と誰かからもらった小石に助けられたという話です。 🎀 🎀 🎀 朝。 起きて、ストレッチをして、お湯に少量の水を混ぜた白湯もどきを飲む。ついでにビタミ

【エッセイ】別れるときほど、君のことを想っていた

あなたには好きな人を傷つけようとした瞬間はありますか? その瞬間、なにを考えていましたか? そろそろバレンタインということで、今回は少し苦い恋の話をしてみようと思います。 ☕️ ☕️ ☕️ 恋に落ちたとき、付き合い始めたとき、はじめて手を握ったとき、くだらない冗談で笑い合ったとき、隠れてこっそりキスをしたとき、夜中のコンビニから帰るときに、雨の日にわざわざ迎えにきてくれたとき。 恋人のことを1番考えていた瞬間って一体いつだったのだろう。 これは私の話なのだが、前の恋人

夏祭りの後、消えてしまいたいと思っていた私に。

どういうわけか「消えてしまいたい」と思ってしまう。「死にたい」じゃなくて「消えてしまいたい」。それは、現実でないどこかにいきたいというよりも、私という存在自体がぷつりと跡形もなく消えてしまう。そんなニュアンスに近い。 こんなことを思いついてしまうのは、私の身に何か嫌なことがあったからなのではと思う人もいるだろう。心配ありがとう。だが無い。全く無い。それどころか「消えてしまいたい」という感情は、ものすごく幸せだったり、楽しいことがあった後によく思う始末である。 本当、なんで

恋人に私の写真を撮ってほしい。

写真を撮られるのは嫌い。 でも、恋人には私の写真を撮って欲しい。 🌼 「はい、撮るよー!」 その声が耳に入ると、私の頭の中にポンッと、あるメモが登場する。 『  口角は真上にあげる。    上唇は少し内側に巻いて。    下の歯は見せないように。    目は、しっかりと開く。  』 私は、頭のメモに書かれた内容を丁寧に確認し、忠実に守りながら笑顔を作っていく。何度も鏡の前で練習した、自然な笑顔。 「ハイ、チーズ!」 「どう? 撮れた?」 「うん、ちゃんとキレイに写っ

【エッセイ】推しを追う日々を愛してる 〜推し活のススメ〜

推しのいる人生はすばらしい。私の人生に推しがいてくれて本当によかった。 ここ数ヶ月で急に推しにお金を使う機会が増えた。これが本当に楽しい。推し活は「いつも通り」の代わり映えしなかった私の世界を一変させてくれた。 「推しは世界を救う」は本気である。1人でどこかに行くことに抵抗がない人や、新しいことを始めたい人は、ぜひこの機会に推し活をしてみて欲しい、ということでこの文章を書くことにした。 ⚡️ ⚽️ ⚡️  初めての推しができたのは、中学2年生の頃だった。超次元サッカー

【エッセイ】我慢の先の一攫千金、やめた先のアリの幸せ

幸福は薬である。そして、良薬にも劇薬にもなるそれは、私たちにとって非常に効きすぎる代物である。 同じく、我慢も薬なのではと思う。これもまた良薬にも劇薬にもなることができ、扱いがとても難しい代物だと思う。 🕊 🕊 🕊 恋人との別れになかなか踏み切れない期間があった。 当時の私は付き合っていた彼に対して不満や不安、そしてそれに伴う辛さを山ほど抱えていた。身体は毎日ずっしりと重く、理由もないのに所構わず泣いてしまいそうになった。終いには「消えたい」という言葉が頻繁に脳裏をよ

「まだ読んでいない本」について

買ったけれどまだ読み切れていない本。 ちまたでは、この本を少し洒落た言い方で「積ん読(つんどく)」とも言うそう。 なんだか心当たりがあるぞ...と私はおそるおそる部屋の本棚に目をやる。身長の低い私には正反対のやたらに大きい本棚だ。本棚では、"いつか"読もうと古本屋のセールで買った文庫本たちが「所狭し!」と言いながら、ひしめき合い、本棚の化石となっていた。 今、社会は自粛ムードで、私は家にいる時間が増えた。しかし、まだ"いつか"はやってこない。言い訳のように聞こえるかもしれ

【エッセイ】観客席から祈るように 〜崎山蒼志ワンマンライブより〜

「まるで祈るようなライブだ」そう思ったのは、9月22日に六本木で行われた崎山蒼志くんのワンマンライブでのこと。 六本木のライブシアターって、座って鑑賞するんだね。アーティストのライブって立って観るものが割と多い気がするんだけれど、その度にどんな姿勢でいたらいいのかわからなくて、そわそわしちゃう。 だから、今回のライブが座りっぱなしで良かったのは、ライブ初心者の私にとっては結構ありがたいなーなんて思ったりもした。 そうやって座ってのライブを今回初めて経験して、気づいたこと

八方美人はやめないけれど

20、30、40の10歳違いの男女3人が集まる会がある。真ん中の30が、20の私に社会人トークを聞かせたいと言って開催してくれたのがキッカケだ。半年前に始まったこの会は、今のところ数ヶ月に一度の頻度で定期的に行っている。 今後も私が就職で遠くに行くまでは続くのだろう。というよりも、続いて欲しいと願っているという方が正しいような気もする。 定期的に集まるこの会を私は『八方美人の会』と勝手に称している。というのも、第一回で誰かが「八方美人って昔言われたことない?」と聞いたとき

【呑みながら書きました】盛大に泣きたい気分なので。

今、無性に泣きたいと思う。 心の底から愛した何かを無くし、この世の全てに絶望したように地面に這いつくばって叫ぶように泣きたい。 溜めにためた感情が思わず溢れ出てしまい、そんな自分に戸惑うように、ほろほろと泣きたい。 自分なんて到底敵いっこない、むしろ敵わなくていいと思えるような何かに陶酔しながら静かに泣きたい。 誰にもこの弱さを悟られないようにと、必死に自分を押し殺しながら、汚い顔でベソベソ泣きたい。 💧 💧 💧 泣き方も泣く理由も問わない。私は今、ただただ泣きた

とびきりのオシャレをお一人様で。

下着姿で寝転んでいる。先ほどまできちりとクローゼットに収められていた洋服たちは無造作に床に散りばめられ、寝転ぶ私の下敷きとなっていた。 なにを着てもしっくりとこない。爽やかな白いパンツも、利発そうなネイビーのシャツも、夏らしい鮮やかな赤のワンピースも、なにを着てもこれだとは到底思えそうになかった。 なんというか、心が躍らない。今日の私はファッションにげんなりしていた。 ここ数年、オシャレをするのは自分のためだと言いつつも、なんだかんだ誰かに合わせてコーデを組んでいる。そ