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鳥インフルエンザの発生が深刻化しています 消毒措置は確実にそして継続して防ぎましょう

9月より野鳥からの検出が始まり、例年より早い養鶏場からの検出が危惧されていましたが、10月下旬から立て続いて発生が確認されています。

一部の県では、9月の野鳥検出と同時に消石灰の配布を開始しています。
これも例年より早い光景です。

皆様の農場でも、消石灰や鶏舎へのウイルス持ち込み遮断措置の強化をされていることと存じます。
11月4日現在の養鶏場発生規模は5例となり、
・10月28日岡山県倉敷市採卵鶏農場17万羽
・10月28日北海道厚真町肉養鶏農場17万羽
・10月31日香川県観音寺市採卵鶏農場4万羽
・11月4日岡山県倉敷市採卵鶏農場51万羽
・11月4日茨城県かすみがうら市採卵鶏農場104万羽
以上5農場、総羽数193万羽となりました。
例年はこの時期から話題となりますし、すでに昨年の防疫措置数を超える見込みです。
茨城県の通報等の状況を見ますと、
3日11時に農場より死亡が多い旨通報があり、県南家畜保健衛生所が立ち入り検査を行い、簡易検査の検体13羽中13羽に陽性が確認されました。
4日午前7時農林水産省より疑似患畜と判定され、殺処分に入ります。
これにより移動および搬出制限区域を設定し、移動制限区域には2農場が該当し、検査を行っています。
影響を受ける農場等は、移動制限区域に2農場99万羽
搬出制限区域に該当する農場は25農場41万羽となります。(茨城県発表)

ブログや会員様向け業界情報のご案内の通り、一昨年の大流行に匹敵する規模とも言われますので、一層の警戒をお願いいたします。

家畜保健衛生所より鳥インフルエンザの情報が逐一流れてきていると思います。必ず目を通していただき、地域から遠いからという意識ではなく、明日はわが県にやってくるぐらいの準備をしていただきたいものです。

関東地方でも、鳥インフルエンザの発生が見られるようになりました。
茨城や千葉県は大規模農場が多く集まる傾向があり、一昨年でも100万羽成鶏農場が2回発生したり、70万羽規模や50万羽規模といった被害数が一気に増えることもありました。

中には新規開場5年を経過する前に大規模発生があり、設備が新しく費用の支払いに窮する農場も見られました。
保険に加入されている農場も多いと思いますが、保険はその後の再開まで補償しているわけではありません。

やはり、空舎後の再導入までには長い時間と衛生状況の確認が続き、そして大びなの導入と時間と、スケジュール調整負担が大きくなる傾向があります。
特に規模が大きいほど再稼働までの準備や大びなを仕入れる手間を要している傾向があります。

一部の種鶏場や孵卵場では、農場へ収める為のヒナの生産量が、固定客を中心にスケジュール化しており、まとめて10万羽の手配といわれても一昔前と異なり、断るケースも聞きます。

これは、意地悪しているわけではなく、種鶏を減らしているために固定客以外の大規模需要に応えきれないというのが理由のようです。

本年は、配合飼料価格が大変高い傾向が続いており、種鶏を減らして固定費を下げるような状況にならざるを得ないと聞きます。

これは、夏に被害があった地鶏の農場でも同様な話を聞きます。
種鶏が少なく運用しており再稼働にはすぐには答えられないというものです。
採卵鶏でも中小の種鶏場や孵卵場でそのようなお話を聞きます。

今後、全国的に被害が増えていきますと、再稼働までのスケジュールを組み立てることの困難さが予想されますので、昔のように複数の孵卵場からかき集めるというのも難しいかもしれません。

だからこそ、被害のないように衛生対策を講じていくことが、経済的損失のみならず、再開後までのスケジュールや経済的見通し不良を防ぐことができます。

どうか、皆様の農場に被害ということがないように十分にご対応ください。

すでに、岡山県倉敷市の2農場からの鳥インフルエンザの発生があることで、地域により連鎖的発生が予想できます。
この事例では、前回10月にあった農場半径3キロ圏内から数キロ南に位置する場所ともいわれ、狭い範囲から発生したような状況です。

一昨年の千葉県北東部のように近隣が発生すると数キロ先の農場でも発生していくという事例です。
一般的に密集地域や養鶏団地ではこのような事例もあるように感じます。
その要因には、団地では排せつ物を処理する場所や機材の共用から広がるとされるケースや道幅3メートルの隣接農場で再発したという事例もあります。
今回はそのような事例ではないかもしれませんが、いずれも汚染源が鶏舎で遮断できなかったことが要因ともされます。

適切な消毒作業の他長靴の汚染も考慮して鶏舎では専用の物を使用して断ち切るような意識が必要です。

香川県での続発事例では、強制換気により鶏舎の外へ羽等の飛散が疫学調査時に確認されていたことから、これによるリスクも検証していくとされ、履物以外にも、皆さんの農場周辺にある同業の方の農場の構造も知っておくとよいでしょう。

多くの地域では、発生が確認されると県や市町村では幹線道路や養鶏場近隣の道路の消毒を実施していたと思います。

これによる感染軽減は未知数ではありますが、散発的に発生した2020年では汚染リスクが高まる傾向があることでこのような対応をしていたところも多かったと思います。

ウインドレスだから安心であるということはありません。
現実2020年発生の採卵鶏農場の約7割はウインドレス鶏舎です。
つまり窓はなく野鳥は入らないから安心であるということだけではこの危機から回避できることはありません。

鶏舎までにウイルスを遮断するということやねずみ等小動物の侵入から被害がある可能性も予想できるわけですから、十分に対策を講じてください。

昨年は野鳥の感染事例も多く聞きます。
ハシブトガラスの検出が見られ、哺乳類動物の感染もありました。
捕食して保菌してしまう中型動物がいるとも予測されます。

農場の周辺はこのような空から野鳥が排せつ物を落として感染機会をうかがうこともあります。
陸でも、中型動物やネズミ等小型動物が農場内やその周辺や鶏舎まで侵入してウイルスを広げる可能性もあります。

油断はできません。
11月に入りこれからが発生の本格的時期になります。
例年は「そろそろ消石灰でもまくとするか」という程度でしたが、もう5例の発生がありその被害は193万羽に達しています。

高病原性鳥インフルエンザが発生しており、本日確定以外の3事例全てがH5N1であることが確定しており、昨年発生した型でもあり、世界で流行している型でもあります。

関東地方でも検出されました。
大規模農場での発生が続く可能性を示唆しています。
毎日同じ作業の繰り返しで飽きてしまうという声も聞きますが、本当の危機はこれからやってくるとも言えます。

鶏舎での遮断、農場に入れないという意識を持ち毎日の作業を行うように従業員の皆様にお伝えください。
それがあることで必ず農場をウイルスから守っていることにつながっています。
その繰り返しで、農場への侵入をふせいでいるのです。
そして、消毒をする意義をもう一度再確認してください。
自動車ではタイヤとその周りのウイルスを殺菌して農場に入るということ、
作業前には更衣をして外からのウイルス付着を除去していること。
鶏舎では、鶏舎専用の長靴を履き、外を歩いてウイルスを付着した履物ではないことで遮断できるていること。
皆さんの手指もあらゆるものを触りますので、その都度(鶏舎に入る前と鶏舎から出た後)消毒も必要です。汚染された手で鶏を触ることのリスクもありえます。

当たり前のことではありますが、その当たり前は時間が経過するとどうしても少し忘れたり、大事なことが抜け落ちてしまうこともあります。

冬は消毒液の効力が低下することもあります。
鶏舎周りは強アルカリで殺菌(消石灰をしていて)して、鶏舎の足ふみ消毒層は酸性の消毒液では効果が減じてしまいます。予備の踏み込み層を用意して、ダイレクトに飛び込まないように事前処理をしていきましょう。
そして、1日に複数回の足ふみ消毒層の薬剤を交換して効果を持続させましょう。

継続は力なり。
毎日の積み重ねは微々たるものかもしれませんが、その成果は来年の春被害がなく安全な鶏卵を生産していることにつながります。
11月に入り例年以上に速い農場からの鳥インフルエンザの発生という報道。
皆様の農場は、被害にあわないように一緒に努力してまいりましょう。

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