失恋

結婚を前提に付き合っていた彼から一方的に別れを告げられ、脱け殻のようになった私は何をする気力もなくフラフラと街をさまよい歩いていた。

そんな時、ふと目に入った、


〝失恋レストラン〝


誘われるように店内に入ると、奥から体格のよい男性店員が現れた。

「いらっしゃいませ。お席に案内致します」

店内は薄暗く、私以外の客はいないようだ。


「わたくし店長の清水と申します。この店は、失恋で傷つき、どん底におられる方を助けたいと思いオープン致しました。もうご安心ください。失恋の悩みは消え、希望の光が見えてくる不思議なものをご用意しております」

店長の清水は、粉末状の何かを差し出してきた。

「こちらの粉をゆっくりと鼻から吸ってください。心配いりませんよ、すぐに楽になりますから」


「…これは一体、何ですか?」

「ハッピーターンの粉です」

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