見出し画像

悪性リンパ腫の日本のCAR-T細胞療法の成績

<論文>
A phase 2 study of axicabtagene ciloleucel in relapsed or refractory large B-cell lymphoma in Japan: 1-year follow-up and biomarker analysis
Int J Hematol. 2022;10.1007/s12185-022-03494-7.

<内容>
再発難治性のDLBCL患者を対象として、救援療法を行った試験のメタアナリシスであるSCHOLAR-1試験では、奏功率は26%で、生存期間の中央値は6.3ヶ月であった(Blood. 2017;130(16):1800–8.)。Axi-celはCD19を標的とするCAR-T細胞であり、ZUMA-1試験ではORR 83%, CR 58%で、観察期間中央値51.1ヶ月で4yOSは44%と優れた成績であった。

本論文は国内のPhase2試験結果の1年間観察期間を経てAxi-celの臨床転帰と治療抵抗機序について報告した。16名(DLBCL14, PMBCL1, TFL1, 10例が 2lines以上の治療を受けており、6例は自家移植後1年以内の早期再発)がAxi-celの投与を受け安全性について解析対象となり、1例は目標投与量を大きく下回ったので15例で有効性について解析が行われた。アフェレーシスからAxi-cel投与までの中央値は26.5日であった。

有効性については15例のうち、追跡期間中央値13.4カ月で、Best responseはCR8例、PR5例、SD1例、PD1例であった。1年でのPFS 53.3%、OS 73.3%であった。Axi-cel治療後7例がPDとなった。
安全性については、3ヶ月時点でのイベントに新たに追加した有害事象は認められなかった。血球減少や感染症が主体であった。神経学的毒性は発現しなかった。

<感想>
国際試験の結果と日本の臨床経過はほぼ同等の推移を示している。CAR-T細胞療法後の適切な治療法については今後の解析が期待されるところである。また、安全性の面では血球減少が長期間問題になることが挙げられる。他、バイオマーカーの検索等を行い、治療抵抗性の因子について見出そうとしているが、サンプルサイズが少ないためさらなるデータの蓄積が必要と思われる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?