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10年目の1歩目で躓いた乃木坂46はどうなるのか

 29th初週売上がついに50万を切ったそうな。まあ相次ぐ主力・中堅メンバーの卒業を5期生を急遽参加させたところで補えるはずもなく、それどころか11人という特別多くもない採用からいきなり2人活動自粛でスタートと来たもんだ。初披露も46時間TVという一大イベントの終わり際としてはあまりに水差し野郎という感想。メンバーがそれなりにダンスを仕上げていたのがせめてもの救いか。

 さて、乃木坂46ははっきり行って右肩下がりとなってきている。2018年の生駒里奈、若月佑美、西野七瀬らの卒業から初めて下落に転じ、象徴たる白石麻衣が卒業して本格的にミート&グリートに移行した26thからは半減といっても良いレベルで激減している。これははっきりと数字として出ているのだから言い訳のしようがない。

 では何故ここまで下がったのか? 全ては推測と仮設でしか無いが、個人的には期別推しに問題があるように感じる。

 まず期別推しは3期生から本格的に始まっている。3期曲を伴ってデビューし、3期だけでの番組、舞台、プリンシパル、ライブと数多く行われた。続く4期生も同じく4期だけの番組、プリンシパル、ライブも3期とほぼ同じ歩みをしている。ときには合同で行ったりもしていたが、本隊と離れて活動する時期が少なからずあったのは間違いないだろう。3期は17thで活動を開始し、20thで選抜・アンダー共に合流した。4期生は途中新4期生の合流があったたのだが、23thで活動を開始し、選抜には入るがアンダーには入らないという特殊な措置で28thに選抜・アンダー共に合流した。

 もちろん活動を開始した新メンバーを大々的にプロモーションするのは大切なことで、それによってセンター、フロント、福神を務めるメンバーを多く排出したのは間違いない。3期は今では立派にドラマに映画に舞台に生放送にラジオに活動している。4期生も多くのメンバーがレギュラーを持っており、用意されたアピールの場は非常に多く、雨後の筍の如く伸びているように思う。

 では何が問題かというと"縦の繋がりが希薄になる"ということ。乃木坂46は1つのグループであり、内部に少数のグループが存在するわけではない。期での活動もいずれは本隊に合流することになる。しかし期別での活動が長ければ長いほど、本隊と合流したときに先輩・後輩メンバーと絡むのに時間がかかっているように感じる。特に4期生で顕著。
 例えば新内眞衣卒業直前のANNに梅澤美波・佐藤楓がゲストに来た際に、「3・4期の楽屋はすごく静か。シャイなのか個々って感じがする」という発言があった。これが1,2期との楽屋となれば自身の倍以上の芸歴の先輩相手に多少は萎縮してしまうのも分からなくはないが、3,4期はコント番組やライブ等で絡みは少なくないはず。しかもそれも特別短期間でもない。
 また毎年定番のバレンタイン企画では初めてロビー活動という形式が採用された。あくまで企画として行われたので深い意味は無いとの事だったが、そのロビー活動機関中の4期生のブログやモバメで嬉しそうに報告があったあたり、もしかして普段の絡みは殆どないのではないかと感じた。また4期生も怪訝そうに思っているメンバーが居た。(結局の所ロビー活動は効果がなく、殆どがデビュー前からの推しか、ロビー活動とは関係なくお世話になった先輩に渡していたが)

 縦のつながりが希薄になり、グループでの仲の良さ、また先輩後輩という関係性から生まれるストーリーが失われるのは中々にもったいないと思う。また先輩と後輩でのお仕事でどこか余所余所しさが垣間見えると純粋に楽しめなくなる。

 また先輩後輩という関係が薄れると、"卒業したメンバーのファンの流出"が加速するのではないかと思う。勿論白石麻衣・西野七瀬といった余りにも強大な存在の補填が出来るわけがないが、三列目やアンダーセンター経験者等の中堅層の流出に対する補填も出来ていないように感じる。勿論3期生も4期生も個々で人気・ファンを獲得しているが、加速するメンバーの卒業・ファンの流出には全く追いついていない。出来ているなら初週50万を切るほどになるだろうか。
 よく箱推しという人がいるが、全員を平等に推している人はほぼ居ない。何人かを贔屓目に見て、他のメンバーは薄っすらと推しているということが殆どだろう。そのような場合、自分の贔屓目で見てるメンバーと特別関係性が、要するに導線が無いメンバーは余り注目しない。
 期別推しによって新メンバーへの推しの導線が形成されず、また反対にその推されている期が気になってファンになった人は先輩メンバーへ興味を持たないという自体になるのではないか。ファンの層で分断が起きているのではないか。

 縦のつながりが希薄になることで、別の問題が生じているように感じる。初めてそれ感じたのは今年発売された日経エンタテインメント! 乃木坂46 Special 2022梅澤美波、秋元真夏、弓木奈於のインタビューと、つい先日放送された乃木坂工事中29thヒット祈願の筒井あやめ・小川彩ペアのロケだ。

4期生は生駒里奈さんが居た頃の乃木坂46を実体験として知らない世代。初心に立ち返って、初期の先輩から教わってきたことを私達が伝えて行かないといけないと感じています。 ー梅澤美波
実はツアーの大阪公演2日目、リハーサルの時点で「今、ツアーのステージに立つということに対しての意識に差があるのでは。面と向かって話すべきでは」と感じて。(途中略)「このままの意識では乃木坂46が後退してしまう」と、私にしては強い言葉で伝えたんです。 ー秋元真夏
このツアー中に私たち4期生に対して(秋元)真夏さんや(斎藤)飛鳥さん、梅澤(美波)さん、久保(史緒里)さんが泣きながら「今のままでは、乃木坂46はだめになる。もっと危機感を持たないといけない」と話してくださったんです。(途中略)3期生のみなさんはよく「私たちが入りたての頃は、生駒(里奈)さんや桜井(玲香)さんが毎回いろいろなことを注意してくださったんだよ」と教えてくれるんです。 ー弓木奈於

 既に卒業している生駒里奈桜井玲香の名前が10周年を記念とした特集で出てきて、かつ出てきたときの内容が内容なだけに、割と不味い状態なんじゃないかと思った。生駒里奈は3期生が選抜に本格的に合流した20th『シンクロニシティ』で、桜井玲香は4期生がフロントを固める24th『夜明けまで強がらなくていい』で卒業している。
 この二人は非常にリーダーシップ、キャプテンシーのある人物だと個人的に思っている。生駒里奈はセンターという立場を経験したことで、桜井玲香はキャプテンという立場に居たことで、グループはどうすべきか考えることが必然的に多くなり、私達はこうするべきこうしていくべきという意見を多く発信して居たメンバーだからだ。当然それは冠番組やライブの舞台裏やドキュメンタリーで数多くのファンが知っているし、実際に卒業後3,4年経過してもこのように名前があたりどれだけ大きい存在だったのかが分かる。
 裏を返せば今の乃木坂にはこのような存在が欠けているのではないかと思った。現在のキャプテンである秋元真夏、副キャプテンである梅澤美波の責任が無いわけでもないし、かといって彼女らだけの責任でも無いが、その遠因はやはり期で活動していたことで共に活動する機会が少なく、問題点や改善点を指摘する機会がそもそも少なかったのではないか。また期で活動する中でそのようなリーダーシップ、少数グループ内でも音頭を取れる人物が生まれなかったのではないか。逆に4期生の立場からしたら同期の中でそう思うことがあっても先輩との関係性が築けていないために相談することが出来ないのではないかと考えてしまう。
 早川聖来は5期生に思うことはと聞かれて「私は自分を否定することしか出来なくなってしまったから、ずっとポジティブで居てほしい、自分を信じる力を消さないでほしいなと思います」と答えている。46時間TVでは相手がホリケンという危険な相手であったのもあるが、生放送中に泣き出してしまうハプニングもあった。抱えているものを相談できない、しにくい状態にあるのではないかと非常に心配になった。久保史緒里とはセーラームーンミュージカル繋がりで連絡を取り合う関係にあるとのことだが……。
 正直なところ個人的に秋元真夏が2代目キャプテンになったのは当初から反対で、彼女はキャプテンとして前に立って活動するよりも後ろで支える側の人間だと思っているからだ。いっそのこと梅澤美波をキャプテンにして、その後輩キャプテンを先輩がフォローするという形にするべきだったのではと思う。
 お隣のグループでは同期の中ですらそういった問題を解決できず、空中分解して再スタートという形になっているが、乃木坂も時間の問題だと思う。

 実際にインタビュー内容のように問題があるのでは、と感じたのが先述のヒット祈願の筒井あやめ・小川彩ペアが、羊にやるエサの入った台車を倒してしまった際に棒立ちだったことだ。その際にバナナマンから「何故おじさんに全部やらせてんの」と指摘があった。実際そのとおりで何故棒立ちしていたのか分からない。初ロケになるであろう小川彩に関しては仕方ない面もあるが、筒井あやめは後輩を率いる先輩としてなのだから率先して動くべきだったのではと思う。
 対象的に20thヒット祈願で生駒里奈が大園桃子・与田祐希・山下美月・久保史緒里と登山に行った際、最初の挨拶で関していきなり「声が小さい!」と注意する一コマがあった。
 これを踏まえて日経エンタテインメントの記事を見ると、たしかに3期生は生駒里奈ら1期生から多くのことを注意されて成長してきたが、4期生には上手く伝えられていないと納得する。多くの1期生が卒業した今、4期生は新たに入ってくる5期生に対して先輩として振る舞うことが果たしてどれだけ出来るのだろうか。

 1期生中心に話してきたが、2期生の卒業も中々に痛手だと思う。これも期別推しによる弊害だと思うが、3,4期が期で推されるも2期はその殆どが実現せず、一度ニッポン放送の後押しでようやく2期生ライブが開催されかけるも中止となり、堀未央奈という選抜常連のメンバーの卒業コンサートとして開催された。その結果悲願かなった2期生は思い残すことがないと1年で6人が卒業し残すところ鈴木絢音・山崎怜奈となってしまった
 というのも1期生と共に活動し、時には強く叱咤されて成長し、その教えを身に着けていた2期生は選抜で無くとも後輩に何か伝えられたはずだからだ。秋元真夏や梅澤美波への負担を大きく軽く出来ていたかもしれない。
 実際に先述の弓木奈於は何かと悩みがあれば鈴木絢音に相談しているし、清宮レイ松尾美佑は二人でやっているラジオの悩みを、北川悠理は外番組や学業との両立について山崎怜奈に相談している。また卒業後に移籍した渡辺みり愛は事務所のyoutubeチャンネルにてTime Fliesカフェへの来店レポ動画を上げているが、その中で3期生4期生との話をよく上げている。特にダンスの相談に乗ることが多かったようで、時期的に殆ど絡むことが出来なかったであろう新4期の黒見明香らとのエピソードが明かされている。
 これらの存在を失い、失われつつあるのが痛くないはずがない。
 乃木坂の1大コンテンツであるアンダーライブでもそうだ。今回はもう先輩が和田まあや山崎怜奈のみ。座長である佐藤楓を中心に歴代でも屈指のアンダーライブだったが同時に和田まあやの存在感も強く感じた。存在するだけで場が明るくなり、スタッフやファンに対しても棘のない言い方で指摘ができ、後輩とも近い目線で接することが出来、アンダーで東京ドームに行こうという夢を掲示してくれたのた、10年で多くの経験をしている彼女が果たしていつまで居てくれるのだろうか。

 さて、5期生がお披露目・デビューしたは良いものの、運営の怠慢か傲慢か、いきなり2名活動自粛、そのうち1名はいきなりのセンターという抜擢をした存在だ。内容が内容だけにファンからの反発も大きく、実際にCD売上に影響が出ている。
 当然これまでの通り5期生番組や5期生ライブを開催するだろうが、いきなり足並みが揃わない状態だ。全員が揃っても果たしてどれだけの効果があるものか。本隊に合流したときに今の乃木坂にどれほどのものをもたらしてくれるのか。
 10年経ち、グループを率いてきた1期生、共に戦ってきた2期生はいつ卒業するかわからない状態。3期生は教えを受け継いでいるがどれだけ伝えていけるのか。4期生は自分たちがグループの中心となりつつある時代の流れにどれだけ対応できるのか。

 推しが卒業するか、バナナマンが降板するまでは見ていたい。

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