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ハイスペックな兄、転生したら妹の子供だった件 13話


翌日の昼過ぎ

蓮加の愛車である白の軽自動車を走らせること10分少々、俺達は都内の住宅街へ。

目的は、数週間くらい前に美月と美波と来て以来の実家に行くこと。

はぁ...まさかーー

さくら:まさか、こんなに早くまた来るなんてね〜

おっ、さくらが心の声を代弁してくれた

実家に着くと、いつからいたのか父さんと母さんが家の前で並んで待っていた。

○父:おぉ! よく来たな、蓮加!

蓮加:久しぶり。お父さん、お母さん

○母:お正月以来かしら?

蓮加:うん。中々、来れなくてごめんね。それなりに仕事が忙しくて

○父:ハハッ! 気にするな。来てくれるだけで俺達は嬉しいんだからな!

○母:そうね

○父:○ーーごほんっ、蓮もあやめもよく来たな!

あやめ:お久しぶりです。おじさん、おばさん

○父:どうだ? 学校は楽しいか?

あやめ:はい。友達と一緒なので毎日楽しいです

○父:ハハッ、それは何よりだ!

嬉しそうに笑いながらあやめの頭をクシャクシャと撫でる父さん。

○母:さぁ、とりあえず、中に入ったら?

蓮加:あっ、そうだね

母さんに促されて家の中に入って行く蓮加。

俺とあやめもその後に続いて中に入る。

あやめ:お邪魔します

ペコッとお辞儀をしてご丁寧に挨拶するあやめ。

それを見て感心の声を上げる母さん。

○母:あらあら、あやめちゃんはいつも礼儀正しいわね。本当に妹の子供なのかしら?...笑

ハハッ、たしかに....笑

母さんの言葉に思わず納得してしまう。

あやめ:お父さんに教えてもらったので

○母:流石、あやめちゃんのお父さんね〜。妹と結婚してくれてホント良かったわ〜

母さんの妹であやめの母親は、一言で表すと〝自由〟

母さん曰く、子供の頃からファッションデザイナーとしての才能があったらしく、高校卒業してすぐにファションを学びに海外に行ったとか。

そして今では、〝TSUTSUI〟というブランドを立ち上げて海外で活躍している。

もちろん、このブランドは日本でも大人気。

この前のTGCでも、〝TSUTSUI〟の服を着てランウェイを歩くモデルもいた。

さくら:○○の周りの人間どうなってんの? みんな何かしらの有名人じゃん

○○:んなもん、俺だって知りてぇよ

さくら:○○のお母さんも何か有名なんだっけか?

○○:有名かどうかは知らねぇけど、俺が中学の時までは作詞家やってたな

さくら:ほぇ〜

○○:で、その時にレコード会社の社員だった父さんと出会ったって言ってたな

さくら:それ、凄いね

ちなみに、現在、あやめの父親は母親のサポートとして一緒に海外にいる。

だから、蓮加があやめを預かってるとか。

そんな話をしながら、俺達は蓮加の部屋に荷物を運んで、父さん達がいる1階のリビングへと向かった。

その後、蓮加は久しぶりにあった父さん達と仕事や日常の事など、会話に花を咲かせた。

夜になると、母さんと蓮加の豪華な手料理が振る舞われた。

そして晩飯を食べ終えて、蓮加とあやめは一緒に風呂へと向かい、リビングには俺と父さん、母さんの3人だけとなった。

○母:蓮、何か飲む?

○○:今は、蓮加もあやめもいないから○○でいいよ

○母:あっ、それもそうね

○○:ああ。あっ、母さん。コーヒー頂戴

○母:は〜い!

母さんは返事をしながら、戸棚からカップを取り出し、既に挽き終わっているコーヒー豆をサーバーに入れる。

○父:どうだ、○○。妹の子供になった感想は?

缶ビールを口にしながら問いかける父さん。

酔っているのか、いつもよりも若干上機嫌な感じ。

○○:いや、感想もクソもねぇよ。妹に子供扱いされるとか、めちゃくちゃ変な感じだわ

○父:ハハハッ! まぁ、普通はそうだろうな!

○○:でも、何の縁か知らないけど、知り合いが近くにいたのは運が良かったかな

○父:あ〜、通ってた幼稚園の先生が高校の時の先輩だったんだっけか?

○○:そうそう

○母:そういえば、この前、美波ちゃんと飛鳥ちゃんと一緒にお出かけしたんでしょ?

湯気が立っている2つのカップの内、1つを俺の前に置きながら聞いてくる母さん。

○○:なんで知ってんだよ

○父:何だそれは! トップアイドルのエースとキャプテンと出掛けるなんて、羨ましいヤツめ!

○○:いい歳したおっさんが何言ってんだよ? ただ、喫茶店に行っただけだから

○母:カノンでしょ?

○○:ああ。奈々未に乗っ取られてたけどな...笑

ハハッと笑いながらコーヒーを一口。

○父:大学で経営を少し学んだだけで、あそこまで出来てるからな。流石、最高の世代だよな

○○:まあ、昔から奈々未は頭良かったからな。大学も結構いい所行ってたし

○父:ああいうのを天才って言うんだろうな

新しい缶ビールをグビッと飲んで、ふぅと息を吐きながらそう言う父さん。

テーブルにはビールの空き缶が3本並んでいた。

○母:あっ、天才で思い出したけど。最近のあやめちゃんどう?

洗い物が終わった母さんが濡れた手を拭きながら問いかける。

○○:どうも何も普通だと思うけど

母さんの質問の意図が分からなかったが、とりあえずありのままに答える。

○母:そうなのね

○○:てか、急に何だよ? あやめがどうかしたのか?

○母:ほら、あやめちゃんもそろそろ何かの才能が目覚めるんじゃないな〜って

○○:あ〜、筒井家の言い伝えだっけか? あんなのただの迷信だろ...笑 んなもん、漫画じゃあるまいし

○母:迷信じゃない事ぐらい○○でも分かってるでしょ? ていうか、アンタがそのいい例なんだから

○○:だったら、蓮加はどうなんだよ? 勉強とか運動も別に普通だったろ

○母:何言ってるの。蓮加には、あの可愛い顔があるじゃない

○父:そうだそうだ! 我が家の天使は、あの存在が才能だろっ!!!

酔っ払いの親バカは黙っててくれ

○○:それって才能なのかよ?

○母:そうよ。才能ってのは、先天的な物なんだから。可愛いってのも十分才能よ?

○○:あっそ。まあ、俺が知ってる限りでは、あやめにそういった感じの事は無いな

○母:そっか〜。まあ、これからが楽しみだわ〜

ニコニコした顔で言う母さん。

○○:あっ、そうだ。母さんに一つ頼みがあるんだった

○母:何かしら?

○○:明日さ、美月達のライブに呼ばれてんだろ? それに俺も連れてってくれよ

○母:あら、どこでそれを聞いたか知らないけど、それくらいなら良いわよ

○○:おっ、マジで?

○母:珍しいわね。○○からそんな事言ってくるなんて

○○:いいだろ別に。気分だよ気分

○母:へぇ、気分ねぇ〜...笑

○○:なんだよ、その顔

おそらく、俺の真意を見抜いてるであろうニヤニヤ顔の母さんになんかイラッとする。

○母:まあ、とりあえず、明日の昼過ぎには家出るからね? 行くなら準備しときなさいよ?

○○:おっけ



しばらく父さんと母さんの3人でたわいもない話をしてると蓮加とあやめが風呂から上がり、それに入れ替わるように俺は風呂に入った。

そして、風呂から上がり、寝室となる蓮加の部屋へと向かってすでに敷かれていた布団にダイブ。

蓮加とあやめは、リビングで父さん達と楽しく話していた。

○○:ふぅぅぅうう......

あぁ、風呂上がりにそのまま布団にダイブ

最高だなぁ...笑

「ねぇねぇ」

○○:ん? 何だよ、さくら

さくら:さっきの話で出てきた、筒井家の言い伝えって何?

○○:ん、あぁ....あれだよ。筒井家の人間は何かしらの才能?的なものを持って産まれるって話だよ

さくら:筒井家って、あやめちゃんだよね?

○○:ああ。母さんの旧姓だな

さくら:才能って例えば?

○○:母さんだと絶対音感を基にした作詞作曲。あやめの母さんだと天性のファッションセンス

さくら:ほへぇ....

○○:ちなみに母さん達の父親、俺にとってはじいちゃんだけど

さくら:あっ、奈々未さんの喫茶店の元店主?

○○:そうそう。じいちゃんも神の舌?だったみたいだし

さくら:はぁ...どんな家系よ

驚くのにも疲れた様子のさくら。

○○:んなことより、さっさと寝るか.....

さくら:えっ、もう寝るの? 早くない?

○○:あのなぁ、この体何気に不便なんだよ。特にしっかり寝ないと動かなくなるし

さくら:あ〜、なるほどね...笑

○○:ということで、俺は寝る!

さくら:じゃあ、私も!



……To be continued

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