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さく、メイドになるってよ 6話


美波:○○様! あれほど、勝手に出て行ってはいけないと言いましたよね!?

○○:はい....

○○様とまゆたんと一緒に戻って来たら、先に戻っていた梅澤さんからの怒涛のお説教が待っていた。

正座をして梅澤さんのお説教を受ける○○様。

11歳の○○様の正座は、なんと言うか....可愛いかも

美波:こんな物まで使って!

怒る梅澤さんの手には、○○様が羽織っていた黒い外套が。

美月:マナ遮断の外套か〜。これじゃあ、出て行ったのは気づかないね。やるじゃん、○○!

美波:山下は黙ってて!

美月:はい.....

美波:とりあえず、これは没収します!

○○:えっ、ちょっ、それは.....

美波:なにか?

○○:いえ....どうぞ、お持ちください

狼狽えながらも、必死に阻止しようとする○○様(11歳)。

しかし、梅澤さんの圧がそれを許さない!

美波:それに、剣術の稽古までサボって!

○○:いや、だって....ほら、剣術って疲れるじゃん

美波:だっても何もありません! 王子であるあなたがそんな態度だから他の人達から色々と言われるんです!

○○:別に僕はいいよ.....王位継承とか興味無いし。てか、そもそもそんな権利ないじゃん

美波:○○様が良くても、私達が我慢ならないんです! ○○様への侮辱の言葉を聞く度に、この手で真っ二つにしたいのを我慢してるんですよ!

○○:えぇ.....

美月:そうそう。私も、何度、魔法で葬り去ってやろうと思ったことか

祐希:祐希もボコボコにしたくて我慢してたけん!

蓮加:夜中に部屋に忍び込んで、首を掻き切ろうとする理々杏を何度止めたことか

理々杏:そう言う蓮加だって、その銃で撃ち殺そうとしてたじゃん!

遥香:みなさん物騒ですね〜

璃果:かっきーだって、自作のゴーレムで攻撃しようとしてたじゃん

遥香:璃果ちゃん、何言ってるか分からない

みんな、すごく危ないこと言っるんだけど

えっ? みんなメイドだよね? ね?

さくら:ねぇ、まゆたん。梅澤さん達ってメイドだよね?

真佑:えっ、違うけど

さくら:えっ....?

真佑:ん?

さくら:........

真佑:........

さくら:ホ、ホントに?

真佑:ホントだよ。メイドは私と璃果ちゃん、そして、さくちゃんの3人だけ

さくら:........

真佑:........

さくら:えぇぇぇぇぇぇええっ!!!?

美波:そこ、うるさい!

さくら:うっ、ごめんなさい.....

ギロッと睨む梅澤さん、怖いよぉぉ......

てか、その梅澤さん達ってメイドじゃなかったの?

たしかに、他よりもメイドの数多いなとは思ってたけど!

でも、みんなメイド服着てるし、まゆたん達とも仲良く話してるじゃん!

じゃあ、梅澤さん達って何者なの!?

さくら:ねぇ、まゆたーー

「○○様!」

まゆたんに梅澤さん達の正体を聞こうとしたけど、一つの声に遮られた。

みんなが声のした方向を見ると、そこにいたのは、少し前に廊下で会った久保さんだった。

○○:ん? あっ、史緒里。どうしたの?

史緒里:浩介様がお呼びです

浩介って、あっ、なんか聞いたことあるような.....

○○:えぇ、行かなきゃダメ?

美波:そうよ! 今は私と○○様だけの時間なの! 愛あるお説教なの! そんなのは後にして!

○○:ちょっ、美波....その言い方、なんか誤解を生みそうだし、説教に愛も何もないと思うけど

美波:何か?

○○:いえ、何でもないです.....

梅澤さんのニッコリ笑顔に○○様またもや沈黙!

真佑:いや、ダメでしょ! 第二王子だよ? お兄様から直々呼び出しだよ? 行かなきゃダメでしょ!

○○:いや、でも、面倒臭いし......

真佑:ダメです! 後で怒られるの私なんですからね!? 

○○:何? 怖いの?

真佑:そうです! 怖いんですよ! あの人に怒られるのは!! 毎回、泣きそうなんですよ! チビっちゃいそうなんですよ! 何か文句ありますかっ!?  え゙ぇっ!?

なんかいい顔でキレたまゆたん。

最後のセリフは、可愛い顔に似合わずメンチを切っていた。

○○:ありません.....

さくら:璃果ちゃん、あの人って?

璃果:○○様のメイド長だよ。今はいないけどね

あれ? まゆたんがメイド長じゃないの?

璃果:ほら、○○様とまゆたんは早く行ってください。浩介様を待たせないように

○○:はーい

痺れた足を擦りながら、渋々立ち上がる○○様。

真佑:さくちゃんも行くよ?

さくら:えっ、私も!?

真佑:ほら、浩介様に挨拶しないといけないしさ

あぁ、なるほど。たしかにそうだ

さくら:分かった

真佑:よし。じゃあ、行こ!

面倒くさそな○○様に元気なまゆたんと一緒に○○様のお兄ちゃんである浩介様の部屋へと向かう。

歩いてる途中でまゆたんが色々教えてくれた。

曰く、このノギー王国には上は26歳、下は3歳まで計50人の子供がいるらしく、○○様は46番目の子供になる。

いや、子供多くない? ってことはさておき、今から会いに行く浩介様は次男(24歳)。

○○様とはひと回り年が離れているが、気さくな性格らしく、身分や年齢関係なく優しく接していて人気だとか。

ちなみに、今は、長男と四男との王位継承の争いでバチバチらしい。

そんな話をしていると、目的の浩介様の部屋に到着。

早速、まゆたんがドアをノック。

「どうぞ」

部屋の中からの声を聞いて、「失礼します」の声と共に一礼して部屋に入る。

浩介:やぁ、○○、待ってたよ。よく来てくれたね

迎えてくれたのは、黒髪の爽やかイケメン。

まゆたんが言ってた通り、優しそうな人。優しさが溢れ出てるよ

○○:真佑と璃果が行けって言うから

真佑:ちょっと、○○様!

浩介:ハハッ、構わないよ、真佑

真佑:申し訳ありません、浩介様

浩介:大丈夫だよ。○○も相変わらずで何より...笑  あっ、聖来、○○達にお茶を頼む

聖来:かしこまり〜

浩介様の後ろに立っていた聖来と呼ばれたメイドが軽い返事をして、カップに紅茶を注いでいく。

浩介:あれ? 真佑の隣にいる子は?

真佑:あっ、新人のさくちゃんです

さくら:は、はじめまして! 今日から○○様にお仕えしてます、遠藤さくらです! よろしくお願いします!

浩介:さくらか.....うん、いい名前だね。可愛らしい顔だし.....これから○○のことをよろしく頼むよ?

ニッコリと爽やかスマイルで言う浩介様。

さくら:は、はい....///

すると、

「アンタ、隙あらば誰彼構わずに堕としにかかるのやめた方がええで」

と、開いた部屋のドアと共に異国の訛りを含んだ声がした。

真佑:あっ、七瀬さん!

七瀬:真佑ちゃん、お疲れ〜

浩介:やめてよ、七瀬。別にそんなつもりはないんだから

七瀬:本人に自覚が無いから余計にタチが悪いんねん。迷惑やから、少しは気ぃつけや

浩介:は、はい.....

な、七瀬さん。王子様に辛辣.....

○○:なんだ、ななさんもいたんだ.....

七瀬:なんや、○○。ななに会えて嬉しくないんか?

○○:うん、まったく

七瀬:くぅ〜、相変わらず生意気な子やで!

○○:ななさんも相変わらず、浩介兄に当たり強いよね?

七瀬:こんな事ある毎に堕としてく様な、歩く天災にはこんくらいが丁度いいねん!

浩介:ぐはっ....!

あっ、浩介様の心にダメージが!

○○:それで? 僕に話って?

浩介:あぁ、そうだった

ごほんっと咳払いをして口を開く浩介様。

浩介:3日後に開かれるセイデン王国のパーティーに招待されてるんだけど、一緒に行かないかい?

○○:行かないよ

浩介:そうかそうか。行かないかーーえっ? 行かない!?

まさか断られるとは思わなかったのか、ギョッとした顔で聞き返す浩介様。

○○:うん

浩介:ど、どうしてだい?

○○:だって面倒臭いし。それに、セイデン王国って言ったら、あの人がいるじゃん......

○○様の言葉を聞いて、まゆたんや七瀬さんから「あぁ〜」といった声が出る。

えっ、誰のこと?

浩介:で、でも、パーティーだから豪華な美味しい料理がたくさん出るぞ? な? な?

必死に○○様を説得にかかる浩介様。

なんかちょっと滑稽....かな?

○○:美味しい料理かぁ......んー、仕方ない。分かった、行くよ

浩介:ホントか!? よし! そうと決まれば早速準備しよう!

七瀬:アホか、まだ3日あるやろ

べシッと浩介様の頭を躊躇なく叩く七瀬さん。

この人、登場した時から容赦無くない?

相手、王子様だよ?

○○:じゃ、これで終わりなら、僕はもう行くからね

浩介:ああ。またね!

浩介様の明るい見送りを背に、部屋に戻る。




「計画は順調か?」

"もちろんです。全て完璧に終えました"

「そうか。なら、始めようか....セイデン王国への侵攻を」




「「「「「「パーティー!?」」」」」」

真佑:うん! 浩介様に誘われて、私と○○様、璃果ちゃんとさくちゃんが行くのは決定してるんだけど.....

美月:けど?

真佑:追加で一緒に行くメンバーを決めたいと思いま〜す!

まゆたんの一言で梅澤さん達の目の色が変わった。

美波:まゆたん。どうやって決めるの?

美月:それはもちろん、実力勝負でしょ

祐希:それなら祐希が一番やけん!

蓮加:ハッ、調子に乗んないでよ

史緒里:蓮加こそ、お子様なんだから大人しくしときなさい

理々杏:勝つのはボクだよ

遥香:いやいや! 私だって負けませんよ!

各々バチバチになるほんの少し前までメイドだと思ってた人達。

どこから取り出したか分からない剣を構える梅澤さん、

拳を握ってファイティングポーズをとる与田さん、

雷の球を創り出す美月さん、

2つの銃を構える蓮加さん、

瞳が蒼くなって冷気を纏う久保さん、

短剣を逆手に持つ理々杏さん、

コントローラーのような物を持つかっきー、

全員、尋常じゃない程の殺気とオーラを放っている。

ホントこの人達、何者なの?

真佑:はいはーい! そんなやり方じゃ決めませーん!

パンパンッと手を叩いて梅澤さん達を制するまゆたん。

真佑:みなさんが戦ったら王宮が壊れます! そしたら、私が怒られるのでやめてください!

与田:じゃあ、どうやって決めるの?

与田さんの問いかけにフフッといった不敵な笑みを浮かべるまゆたん。

真佑:それは.....じゃーん! くじ引きで〜す! これで平和的に決めま〜す!

これまたどこから持ってきたのか手作り感満載のくじと箱をみんなに見せる。

梅澤:くじ引きか......

美月:フフッ、面白いじゃん

蓮加:運勝負....

祐希:やったるけん!

史緒里:いいね

理々杏:負けない......

遥香:先輩達には負けません!

それぞれの反応を見せる。

真佑:あっ、ちなみに魔法でイカサマとかの不正行為をした人は、その時点で即刻クビにしまーす! 特に美月さんとしおちゃん、OKですか?

サラっと恐ろしい事を口にするまゆたん。

まゆたんが美月さんと久保さんを見ると、2人はサッと目を逸らす。

あっ、ホントにイカサマしようとしてたんだ.....

てか、一日で2回もクビにするって聞いたんだけど

真佑:当たりくじは3つ! それじゃあ、せーの!!



........To be continued

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