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ハイスペックな兄、転生したら妹の子供だった件 1話


突然ですが皆さん、転生を信じますか?

「転スラ」をはじめとした数多くの作品があり、今やアニメ・漫画などの定番となっています。

かくゆう俺も大の漫画好きであるため、一度は異世界転生などを夢見たことがある。

これは転生を題材とした、主人公とその妹。そして、愉快な仲間たちの物語です。





どうも、岩本○○です。

岩本家の長男として生を受け、今年で18年目。

現在、絶賛二度寝中。

これが何とも言えない気持ちよさなのだ。

スマホで時間を確認......

うん、あと5分いける。

俺は再び布団に潜ーーん? この音はマズイ......奴が来る。

「お兄ちゃぁぁあああんっ!!」

○○:ま、待てれんーーぐふっ!?

俺目掛けてダイブしてきた、妹の蓮加。

俺の2歳下で、小さい頃から俺にめちゃくちゃ懐いてくれている。

贔屓目で見なくても、周りの子よりも頭3つくらい飛び抜けて可愛い。

○○:蓮加、頼むからもっとマシな起こし方にしてくれ

蓮加:むぅー、せっかく起こしてあげてるのに文句?

蓮加が頬をプクッと膨らませながら文句を言う。

○○:そもそも、頼んでないだろ

蓮加のダイブが見事、俺の腹部にクリーンヒットしたせいでさっきから腹が痛い。

蓮加:お兄ちゃんが全然起きてこないのが悪いんでしょ

○○:俺はギリギリまで寝てたいんだよ

蓮加:そしたら蓮加と一緒に学校行けないでしょ!

大声で恥ずかしい事を言う蓮加。

何だよその、一緒に行くのは当たり前でしょ?みたいな顔は...

○○:高校生にもなったんだから一人で行けよ

蓮加:お兄ちゃんは蓮加と一緒に行きたくないの!?

○○:俺は一人で静かに行きたい

俺はまだ痛みの残る腹を擦りながら少し冷たく言う。

あ、ヤバい.....

蓮加の目が明らかに怒っている。

蓮加:もう、お兄ちゃんなんか知らない!

怒った蓮加は、すぐ横の棚に飾ってあるフィギュアコレクションの中から一体を手に取ると、何の躊躇いもなくへし折った。

○○:うわぁぁあ、サンジィィィイ!!!

俺の足元に、無残にも腰の位置で2つに折られた、黒足コックの亡骸が転がる。

蓮加:お兄ちゃんなんて大っ嫌い!

蓮加が捨て台詞が、俺の心に追加のダメージを与える。


蓮加が部屋を出た後、俺は何とか立ち上がり、学校へ行く支度を済ませて一階のリビングへ行く。

食卓には既に俺の分の朝食が並べられていた。

○○母:あんた、蓮加に何したのよ?

○○:蓮加に嫌われた。それよりも父さん。接着剤とかある?

○○父:あるけど、何に使うんだ?

○○:これくっつけようと思って.....

○○父:なっ....俺の心の師匠に何があった!?

父さんは読んでいた新聞を落として、驚愕の表情を向ける。

○○:さっき蓮加に折られた

○○父:な、なんて惨い事を......とりあえず、すぐに接着剤持ってくる!

そう言ってリビングを出ていく父さん。

あの慌て様からして、余程目の前の悲劇に驚いたのだろう。

このやり取りで分かるように、俺のワンピース好きは父さんの影響。

父さんの推しはサンジ。

曰く、「サンジは漢の鑑だっ!」らしい。

そんな俺もサンジが好きで中学の頃、とある時期が重なってた事もあり本気でサンジの足技を真似した事もあった。

○○母:○○、時間大丈夫なの?

○○:あ、ヤバっ.....

時間がそれなりにヤバい事に気づいた俺は、数分で朝食を食べ終わる。

○○父:○○、接着剤持ってきたぞ!

○○:サンキュー。時間無いから学校で直す

○○父:そうか、師匠を頼んだぞ!

○○:任せろ! 行ってきます!

折れたサンジと接着剤をビニール袋に入れて、家を出る。





その後、無事に学校に到着して自分の席に直行。そのまま机につっ伏す。

○○:あぁ....朝からどっと疲れた.....

しかし、そんな俺にお構い無しに突っ込んできた一人の人影が。

「○○〜!!」

俺の名前を呼ぶ声と一緒に、衝撃が襲ってきた。

○○:ぐふっ!? な、なんなんだよ。朝から騒がしいなぁ.....

「ちょっと! 何よその態度は!? 愛しの美月ちゃんが来たっていうのに!」

○○:ったく、お前はいつから俺の愛しの存在になったんだよ?

美月:もう冷たいっ!

「だから、やめなさいって言ったのに」

愛しのとか朝からアホな事を言ってるのが山下美月。

その美月に対して、呆れた表情を向けているのが梅澤美波。

美月とは幼馴染で、美波とは中学からの付き合い。

○○:おい美波。こいつの世話はお前の仕事だろ

美波:世話って....そういうのは幼馴染の役目じゃないの?

○○:こんなアホの世話なんかやってられるかよ

美月:アホって言う方がアホなんだからね!

美波:美月落ち着いて。あっ、そういえば蓮加は?

美月:たしかに。いつもなら教室まで着いてくるのに。今日休み?

○○:蓮加なら先行った

美月:えっ、珍しいじゃん。いつも一緒に来てるのに

美波:一年生って、何かあったっけ?

○○:あー、喧嘩した.....

「「えぇぇぇえええええっ!!?」」





昼休み

美月:○○〜、ご飯食べーーって、何してんの?

弁当片手にやって来た美月が、俺の机の上の状況を見て首を傾げる。

美波:それってワンピースのキャラだっけ?

美月:真っ二つじゃん...笑

○○:朝の喧嘩の代償.....

美波:あー、蓮加か

○○:イエス

美波:ハイスペックなあんたでも、妹のご機嫌取りには失敗するんだね...笑

○○:高校入ってから、精神的に疲れっぱなしなんだけど

美月:まあ、先輩達が卒業したと思ったら、今度はブラコンの蓮加だもんね

○○:一個下のやつらも大概だろ

美波:たしかに、この高校キャラ強い子多いもんね

いや、人のこと言えねぇだろ

お前らも十分キャラ濃いわ

美月:そんな疲れてる○○を癒してあ・げ・る♡

○○:お断りします

美月:ねぇ〜!

○○:うるせぇな....てか、史緒里とハジメは?

美波:史緒里は生徒の仕事で、火野君は部活のミーティングだって

○○:へぇ、そりゃ忙しいことで......よし、できた

俺は接着剤で修復したサンジのフィギュアを机に立てる。

美波:さすが○○。器用だね

○○:接着剤でくっ付けただけで、まだ乾いてないから触んなーー

「○○ぅぅぅううう!!!」

俺の注意喚起を遮るように、俺の名前が叫ばれる。

それとほぼ同時に本日三度目の衝撃が。

美月:あっ.....

そのせいで、接着剤でくっ付けたばかりのサンジの胴体が床に落ちる。

そして、落下の衝撃で再び体と足がお別れに。それに追加して、サンジの首がポキッと。

「あれ? みんなどうしたの?」

不思議そうに首を傾げる小動物こと、クラスメイトの与田祐希。

○○:このクソチビがぁぁぁぁあ!

俺は与田の頭を両手挟み込み、力を加えてプレス。

与田:い、痛だだだだだだだっ!!!

美波:ちょ、ちょっと! 与田の頭潰れちゃうって!

○○:人の頭はそんな簡単に潰れねぇぇぇぇぇ! それにサンジの首まで折れちまったじゃねかぁぁぁぁぁあ!!

そんな俺の叫びと与田の悲鳴が、昼休みの校舎に響き渡った。





放課後

美月や美波は、それぞれ部活動。

部活が休みの俺は、クラスメイトで同じ部活の宮間魁人と一緒に帰っていた。

魁人:お前、蓮加ちゃんと仲直りしないのか?

○○:できるならしてるよ

魁人:まっ、もしダメだったら俺に任せろよ

○○:それは断る

魁人:おい...笑 あっ、じゃあ俺こっちだから。じゃあな

○○:おう。また明日な

魁人と別れて一人になった俺は、途中にあったケーキ屋に寄る。

○○:仕方ない。買ってってやるか

俺は蓮加が好きなプリンを買って店出る。

ありったけの夢を〜 かき集め〜

人通りの多い交差点で信号待ちしていると俺のスマホから「ウィーアー」が流れる。

着信音にしている俺のお気に入りの曲。

スマホには【蓮加】の表記。

蓮加:『も、もしもし.....』

○○:ん? どうした蓮加?

蓮加:『あ、あのね。言いたいことがあって.....』

○○:言いたいこと?

蓮加:『うんーーって、ちょっとやめてよ!』

電話向こうから、微かに美月の声が聞こえてくる。

あいつら部活サボって何してんだよ.....

○○:それで言いたい事って?

蓮加:『今日の朝、お兄ちゃんのーー』


ドンッ.....


○○:えっ.....?

突如、体が前のめりになる。

そう思ったのも一瞬のこと。次の瞬間には、鉄の塊と人の肉がぶつかる音が耳に入ってきた。

宙を舞っている自分の体から、俺は瞬時に状況を理解する。

あぁ、轢かれたのか.....

その直後、体が勢い良くアスファルトの道路に叩きつけられる。

物凄い痛みが全身を駆け巡る。

しかし、それも束の間。頭がボッーとしだした。

おそらく、出血多量による意識障害か。

蓮加:『ーーーーーーーーー』

近くに転がってるスマホから、蓮加の声が聞こえるが今の俺には何を言ってるのかわからない。

ヤベぇ.....これ完全に死ぬやつだ

まだ...死ねないのに....


ワンピースもまだ完結してないのに.......

まだ...アイツらと.....やりたい事あったのに........

蓮加の....花嫁姿.....見るって...約束したのに........

クソが....ここまで......か........










どれくらい経ったのかわからない。

ただ、まだ意識が続いている。

あれ...もしかして俺、まだ死んでない?

てことは、助かったのか?

そんな俺の耳に一つの声が聞こえる。

「ーーーーー!!」

何だって?

「ーーーーてっ!!」

もしかして、呼ばれてるのか?

「ーーーきてっ!!」

わかったから......

「ーーおきてっ!!」

やっぱりか。はいはい.......起きますよ

「あっ、やっと起きた」


........は?


目の前には見知らぬ少女。

見た目からして看護師ではない。

だって、明らかにガキだから。見た目的に中学生くらいか?

○○:.....おまえ、だれ?

「何それ? お姉ちゃんの顔忘れたの?」

目の前の少女は呆れた表情を見せる。

おねえちゃん.....?

いや、俺には姉なんていない

いるのは妹だけだ。

てか、この子。中学生くらいなのにやけにでかいな。

「そのアホ面、どうにかならないの?」

○○:あ、アホ面?

「鏡見てみなよ。ほらっ」

○○:ふぇ?

思わず間抜けな声が出る。

でも、しょうがない。

何故って?

そりゃあ、鏡に知らない子供が写ってるから!

○○:誰だ...こいつ........

「なに? 自分のことも忘れたの? 頭大丈夫?」

このガキ......後で泣かしてやる........

「あやめ〜ん! れん起きた!? 」

あやめ:うん! いま起きたとこ!

あやめん? もしかしてこの子名前か?

変な名前だな。

いや、それよりも...今の声聞いた事のある......

俺はその声のする方へと目を向ける。

○○:ふぉぇ!?

本日二度目の間抜けな声が出る。

しかし、それもそのはず.......

だってーー

蓮加:やっと起きたね、蓮!

大人の蓮加がいるから!

○○:えっ、何これ...どゆこと?



……To be continued

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