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彼女の魔法にかけられて



僕の彼女は



麗奈:おはよ〜、○○くん



うん、今日もかわいい



キッチンで朝食を作ってる麗奈に見惚れながら、テレビのスイッチを入れる。

映し出されたのは、ニュース番組。

ちょうど、昨夜起きたガス爆発による事故についてやっていた。

○○:うわぁ....死傷者16人だって。あれ? ここって、麗奈の職場の近くじゃない? 大丈夫?



ニュースを見て何気なく言った言葉に、麗奈は手を止めた。



麗奈:えっ、う、うん。たぶん大丈夫じゃないかな?

○○:気をつけてね。なんか最近、物騒になってるみたいだし

麗奈:うん、そうだね。あっ、今日の午後ね、会議があって帰るの遅くなるかも

○○:えっ、それじゃあ、迎えに行こっか? 今日は僕、仕事休みだし

麗奈:ううん、大丈夫っ。友達と途中まで一緒に帰ってくるから

○○:わかった。気を付けてね







麗奈が仕事に行って、部屋には僕ひとり。


洗濯をして、部屋の掃除をする。

寝室を掃除していると、麗奈側のベッドの傍にある引出しが、ふと目に入った。


いつもは気にすることがなかった引出しなのに、何故か今は妙に意識が引っ張られる。



そういえば、中に何があるのか知らないな



てか、これっていつからあったっけ?




俺は、好奇心につられて引出しを開けた。








麗奈:ただいま〜〜


リビングに行くと、○○くんがソファーに座ってた。


麗奈:ごめんね〜、会議が長引いちゃって


○○:そっか、お疲れ様

なんか○○くんが素っ気ない

麗奈:ねぇ、○○くん。疲れちゃったから、ギューってして〜


○○:なぁ、麗奈


麗奈:ん〜? どうしたの?


○○:僕になにか隠し事してない?


麗奈:えっ、急にどうしたの〜?


○○:いいから。真面目に答えてほしい


麗奈:もうっ、れながそんなことするわけないじゃ〜ん!


○○:じゃあ、これは何?


そう言って、○○くんが一枚の紙を見せてきた。



それは、なんの変哲もないただの新聞の切り抜き。



だけど、




麗奈:な、なんでそれを.....?




差し出されたものを見て、私は動揺した。



○○:部屋の掃除をしてたら見つけた


麗奈:っ....!! そっか.....引出しの中を見たんだね


○○:どういう事だよ、麗奈!! 俺はしーー




麗奈:ーー〝■■■■■〟




○○:っ......!?


突然電源が切れたロボットのように、○○くんはその場に倒れ込んだ。



麗奈:ごめんね、○○くん


眠ったように横たわる○○を見て、麗奈は悲しげな表情でそう呟いた。








時刻は夜中の2時。


マンションのとある一室に、2人の女性がいた。


麗奈:夏鈴ちゃん......ごめんね、夜遅くに呼び出して


夏鈴:......気づかれたの?


麗奈:うん。ちゃんと認識阻害かけてたはずだったんだけど、気づかないうちに解けてたみたい


床に座り込んで、悲嘆にくれる麗奈。


その様子を、辛そうな表情で見つめる夏鈴。


夏鈴:ねぇ、守屋ちゃん。こんなことやめて、一層のこと全部忘れたら......



麗奈:......やっ


夏鈴:でも.....



麗奈:.....やだっ!!!



夏鈴:守屋ちゃん.......


麗奈:それだけは、絶対やなの......れなは、ずっと一緒にいたい


夏鈴:......わかった


折れることのない麗奈の意志に、夏鈴も覚悟を決めた。


麗奈の肩にソッと手を置いて、その隣に横たわるひとつの男性に視線を向ける。


そして、手をかざしてーー




夏鈴:ーー〝起きろ〟




一言、そう言った。


瞬間、黒いモヤのようなものが湧き上がる。


それが男性のもとに集まる。直後、螺旋を描くように天井を衝いたかと思うと、すぐに男性の体に吸い込まれるようにして消えた。


夏鈴:....終わったよ。あとは、自分でできるよね?


麗奈:.......うん。ありがと


夏鈴:それと、もう気づいてると思うけど、あいつらが探し回ってる


麗奈:目的は、れなと夏鈴ちゃん......だよね?


夏鈴:私の方は自分でどうにかする。守屋ちゃんも早くした方がいいよ


麗奈:うん、わかった


夏鈴:じゃあ、私は行くね


麗奈:ま、待って....っ!!


夏鈴:ん?


麗奈:ごめんね。れなのせいで、夏鈴ちゃんまで巻き込んじゃって


夏鈴:何それ。これは私が自分で選んだことで、別に守屋ちゃんのせいじゃないから


そう言い残すと、夏鈴は部屋を出ていった。









「ふわぁ〜......あれ? もう夜? 寝すぎちゃったな」


月明かりに照らされる部屋で、欠伸をする。


麗奈:......○○


○○:あっ、麗奈。帰ってきてたの? ごめんね、いつの間にか寝ちゃってたみたいでーーって、どうしたの!?


隣にいた、僕の彼女。



麗奈が、目に大粒の涙を浮かべいた。



麗奈:......ま、○○っ


勢いよく、僕に抱きついた。


○○:えっ、ちょっ、どうしたの? てか、何で泣いてるの!? 僕なにかしたかな? あっ、お出迎えしなかったのはごめん


麗奈:......ううん。○○くんは何もしてないよ......ただ、すごく嬉しいの


○○:嬉しい.....?


麗奈:うん。ねぇ、○○くん......○○くんはれなのこと好き?


○○:うん。好き......いや、大好きだよ


麗奈:ふふっ、れなも大好きっ!!!





その後、麗奈が膝枕をしてくれた。


麗奈の雪のように白い膝に、頭を乗せる。


優しく頭を撫でてくれる麗奈の手が、また僕の眠気を誘ってくる。


麗奈:なにがあっても、○○くんのことはれなが絶対に守るからね


○○:えっ、ふつう逆じゃない? それは男の僕が言うセリフだよ...笑


麗奈:いいの! 私が守ってあげるからっ!


○○:ふふっ.....それじゃあ......守って.......もらおうか.....な......








そのまま、僕はまた眠りに落ちてしまった


















予期せぬ来訪者の存在に気づかずに


天:あぁぁ! れなぁ発見〜〜〜っ!!!


玲:はぁ、やっと見つけたよ


保乃:もぉ、あんま逃げんといてな





麗奈:思ったよりも見つかっちゃった.....夏鈴ちゃんは大丈夫かな......






ひかる:ここまでだよ、麗奈






麗奈:絶対に守るからね。今度こそ、必ず........









麗奈:ーー〝■■■■■〟





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